投稿元:
レビューを見る
幻冬舎から新書で出ている「重力とはなにか」、「強い力と弱い力」に続き、ブルーバックスでも大栗先生の本が出版された。幻冬舎の二冊では、今非常に注目をされている物理の話題が、分かりやすく説明され、楽しくて知的好奇心をそそられる本だった。
本書は、先生の専門である超弦理論について物理学を本格的に学んでない人にも丁寧に解説し、様々な比喩を用いてイメージがつかめる様に工夫されている様だ。ブルーバックス50周年を記念したこともあるのか、専門領域ということもあるのか、本書は普通の教科書的なものではなく、なんというか熱意の伝わってくるものを感じた。
書かれている内容については、朝日カルチャーセンターでの講座を聴いていたのが理解の助けとなり、かなりスムーズに読めたと思う。ただ、ゲージ原理の説明を金融市場のたとえで説明されていたので、そういう素養のない自分には少し理解が難しかった。
本書も先生の手書きのイラストがふんだんに使われており、見るだけでも楽しいと思う。理論物理の最先端に関する一冊、何度でも読み返したい。
投稿元:
レビューを見る
天才である大栗博司教授が、自身の専門である超弦理論の進展を数式なしに正確な説明を試みたものである。超弦理論は、物質や宇宙はどのような仕組みで存在しているのかを解明するための有力な手段であると見られている。素粒子が点ではなく2次元の弦であると想定して理論構築してみると、現在主流の標準理論よりもうまく説明できる場合が多々あるとのことである。
難解な学問を一般人にもわかるように、かつ変な比喩にならないような説明は、けっこううまく行っている様に思える。他にも一般人向けの素粒子物理学系の解説書を書いたり講演しているだけのことはある。
しかし、たとえば回転対称性など、この人には自明なことも一般人には難しく、説明がいまいち力が入っていないと感じられるところもある。もともとが難しい学問分野なのだから、そう簡単に理解できるものではなく、なんとなく分かったような分からないような読後感でも十分なのかもしれない。
投稿元:
レビューを見る
大変面白く一気読み。
超弦理論以前から興味あり、いろいろ啓蒙書読んできたが、あまりよく理解できたとは言えなかった。他書では通り一辺倒に触れられている部分も、本書ではたとえ話などで分かりやすく理解できるよう書かれており、とてもよかった。
また、超弦理論の最前線で実際に研究に携わってこられた方ならではの、理論誕生の歴史や現場の話は、臨場感あふれており、非常におもしろかった。
それにしても、第2次超弦理論のくだりからの、今の最前線の本理論の話は、「次元は絶対的なものではない」など、想像をこえたビジョンで、目眩がしそうだ。まだまだ、この宇宙(だけでなく多元宇宙だっけ?)には、分からないとだらけだ、と思うと、呆然とするとともに、早くこの宇宙のナゾを解き明かしてほしい。今後の超弦理論の発展に要注目だ。
投稿元:
レビューを見る
超弦理論に詳しくなりたくて、個人的に大傑作だと思う「重力とは何か」を書いた大栗先生の本ということもあり、喜び勇んで読んだのだが、ちょっと難しかった。
素人にも分かるように色々と工夫されているのだが、理解が追いつかなかった。いつかもう一度チャレンジしてみたい。
投稿元:
レビューを見る
何とか噛み砕いてわかりやすく説明してくれています。
が、やはり物理のぶの字にも触ったことのない人にはキビシイかも。
ある程度の基礎知識があって、へ~と思い、それなりに理解していて初めてスゴイ!となるような。
投稿元:
レビューを見る
「宇宙は本当にひとつなのか」「宇宙はなぜこのような宇宙なのか」を読んで、最新の宇宙論を知ると、最終的にそれが、現代物理学で相対性理論と量子力学とを結びつける最有力候補である「超ひも理論」(この本では超弦理論)と密接に結びついているようだということがわかりました。
そこに、この本が現在科学書としては異例のベストセラーになっているという記事を見かけたので、早速買って読んでみました。
最先端の理論を相当がんばって噛み砕いて説明してくれているのですが、それでもやはりかなり難解。9次元や10次元の空間の性質・幾何学を数学的に解くことによって求め、実験的に明らかにされているクオークなどの既知の素粒子の性質との適合性をみることで理論の正しさを確認して行こうとしているようだということはおぼろげに感じ取れましたが、日常体験とはかけ離れた感覚の世界で、もはやSFとの区別がつかない感じです。
ただ、いかに常識的な感覚外のSF的世界のように見えても、そこから得られた計算結果が現に実験的に確認(または否定)されているというのは、まさに科学。すごいし、おもしろいと思いました。
投稿元:
レビューを見る
ポイントは3つ。超弦理論は数学的矛盾の解消を根拠とし、実験や観測で証明されてないながらも物理学の統一理論として最有力候補であること。二つ、超弦理論へと至る素粒子論はこれまで湯川・朝永から南部・小林・益川とノーベル物理学賞を受賞してきた日本人がその研究をリードしてきたが、そのバトンを現在は大栗先生が継承していること。そして三つ、超重力理論と超弦理論を交差させることで9次元と10次元の壁は定数の変化で乗り越えられるものであり、これを突き詰めればいつか2次元と3次元の壁を超える理論も夢ではないってこと。イエィ。
投稿元:
レビューを見る
p274"自然界の基本法則の探求はこの広い世界に私たちが存在する意味について深く考える機会を与えてくれます。"
基礎科学の意義は理解されにくい。それはきっと内容が難しいからではなく(もちろんそのこともあるだろうけれど)、そこで研究者達が何をしようとしているかが理解されないからだろう。役に立たないという批判を免れるために基礎科学が役に立つかのように論じてしまう本もあるけれど、この本ではそんな誤りに陥ることはない。この世に生まれた以上、誰もが一度は考えたことのある疑問を探求することの面白さを教えてくれる。基礎科学の意義は役に立つことにあるのではなくて、役に立つ・役に立たないという造り物の物差しをとっぱらった世界へ誘ってくれること。
かつて素粒子物理学を学んでいた者として、その素晴らしさの一旦を垣間見たものとして、このような書籍が一般向けに出版されていることに喜びを感じる。自分がここにいることに対する疑問を一度でも感じたことのある方には是非とも手にとってほしい本。
投稿元:
レビューを見る
・次元すらも二次的に発現しているものかもしれない
・ベルシャドスキーはくりこみの計算を株式の分析に応用している
投稿元:
レビューを見る
ブルーバックスとしては白眉といって良い出来。
類書の解説を孫引きで持って来るのではなく、本書で初めて提示される解説、喩えで記述されている。
「できるだけやさしく、しかし、ごまかしのない」と、繰り返し宣言される通りの誠意と熱意。
決して本書で理解は出来ず「わかった気になる」のが精々だし、硬派で難解と言ってよいが、同時に良書である。
カブリには優秀な人が集っているのか。
投稿元:
レビューを見る
難し過ぎてよく分からないうちに終わってしまった、、、情けない。
9次元って何ですか?理論的とか言う前に、そもそも多次元という発想を直感的に把握できない輩はまさに途方に暮れるばかり。
それはともかく誠実に丁寧に繰り返し理論を説明しようとする態度には感銘を受けざるを得ない。
こういう研究者がいて、それを支える資金の出し手がいて、啓蒙の手段が確かに存在する、あまり日本という国が好きでない当方ですが、素直に喜ばしい限りと思います。
投稿元:
レビューを見る
出張の行き帰りで読了
全然わからなかった・・・
重力とはなにかは面白く読めたのに
これが子供の頃読めて面白いと思ったやつが
将来物理学者になるんだろうな
自分の能力を思い知った1冊
評価しないというかできない
投稿元:
レビューを見る
深く理解していいる人はわかりやすく説明できる、というのは本当なんだな、と思った。今までいろいろ超弦理論の本を読んでみたけれど、腑に落ちたことはなかった。ところがこの本には実に納得感がある。
「空間は幻想である」というのは哲学にとっても重大な結論だろう。数学的素養のない、文学的な哲学研究者では書誌上の問題はともかく原理的な問題には対処できないことになる。
これだけ進んだ内容でありつつ、最後は希望に満ちて終わるのもいい。考えてみれば、こんなにいろんなことがわかっていない、というのはネガティブな言葉なのだが、科学者はそれだけいろんな研究素材がころがっている、自分も何か貢献できるし絶対に人間はそれを解明できるというように楽観的に捉えるものなのだ。難題があればあるほど、自分に自信がある限りそれは楽しめる状況なわけだ。
アタマの中が整理された、という感覚と、最後に希望と楽しみを持って読み終われる。面白かった。
投稿元:
レビューを見る
やたらと評判の良いこの本、気になり読んでみました。さすが超弦理論の第一人者、かみくだいてうまく説明されています。特に超弦理論を第一線で研究してきた著者ならではのリアリティーが感じられます。著者は第一線の研究で忙しいと思うのですが、よくこんなに丁寧な本が書けるな、と感心です。片手間で書いたという感じでは全くなく、本気が感じらせます。これに比べると世間ではいかに大学の先生が書いた手抜きないい加減な本が多いことか...
超弦理論に限らず、その基礎となる量子力学やゲージ理論の解説もわかりやすい。「量子ゆらぎのエネルギーはゼロではない」というのを振り子と不確定性原理で説明されている箇所が良かった。ゲージ理論を金融市場に例えて説明している箇所は秀逸。このゲージ原理を最初に考えたのは数学者のワイルとのことですが、”リーマン面”の著作のあるワイルなんですね。私のような数学を専攻したものにはおなじみの名前ですが、物理でこんな重要な業績があるとは知りませんした。
余談ですが、本書を読んで、世間では”超弦理論”、ということばと”超ひも理論”という言葉が使われていますが、正式には”超弦理論”だということがわかりました。
また、大栗先生と村山先生、よくごっちゃになってしまうのですが、大栗先生のが先輩なのだということがわかりました。大栗先生が東大の助手として赴任した年に村山先生が大学院1年生として入ってきたそうです。その後もカルフォルニア大学や東大でも一緒の長い付き合いとのことです。
投稿元:
レビューを見る
日本のこの分野の第一人者である大栗教授の入門書。超弦理論は、物質を形づくっているのは粒子ではなく、多次元(10次元)の中でひものように一次元に拡がった何ものかであるというものであるという理論。この理論を採用することによってのみ、重力の理論と量子力学の理論が矛盾なく統合できるというものである。
この理論を宇宙論まで突き詰めると多宇宙論に行き着くというのが最近一般にも広がりつつある流行りの理論で、リサ・ランドールやブライアン・グリーンらの本がそこそこ売れているようだ。本書はそこまで振り切れずに、超弦理論の解説をきちんとやっている。
超弦理論の研究が進化発展する現場にいた研究者らしく、研究者でしかわからないようなエピソードを本の中で色々と入れてきている。この分野で同じくいくつか書籍を出している村山斉氏とも研究人生の中で絡んでいるようだ。この世界も狭い世界なんだろうな。
はっきりと理解できたと言うのは難しいが、少しづつそういうもんなんだなと思えるようになってきたのが不思議。
ブルーバックスシリーズって、安っぽいけど、昔からそんなに悪くない。