紙の本
お弁当箱にエッセイを詰めたみたい
2019/10/22 11:57
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投稿者:ら君 - この投稿者のレビュー一覧を見る
お弁当箱にエッセイを詰めてもらって、それを膝の上で広げて、ひとつひとつ味わったみたいでした。お弁当の入れ子です。幸せ。
時代、世代のちがう方々それぞれの思い出や心の内が込められた文章を味わいました。
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食いしん坊にはたまらん一冊。入江相政が収穫。著者プロフィールと話をわけないで頂けるとさらに読みやすいかと。
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お弁当の記憶は人の数だけあるけれど
お弁当に対する結果論は、誰しも似たようなものなのかしら。
『お弁当の時間は、自分の家の貧富、愛情、かまってもらっているかどうかを嫌でも考える時間』
時代が変わっておかずの品数が増えたり減ったりはするけれど、
やはりお昼時にパカッとあける中身でわかることもある。
中流だ、平等だ、という考え方は学校給食がもたらしたもので、お弁当にはありありと実態が詰め込まれてしまう。
あるひとのエッセイで、登山部の男子の弁当があまりに美味しそうだったので声をかけたら無視された、というものがあった。
お弁当は会話の取っ掛かりで、下心があったのだと正直に告白している部分に共感がもてた。
こどもにとっては、他人と比べること、他人を知ること、それによって自分を把握する第一歩なのかもしれない。
このアンソロジー集には、家庭のお弁当にまつわるエピソードだけでなく
駅弁、空弁(飛行機の中でたべる弁当)、ロケ弁、ほか弁なんかのことも書いてある。
ほかには、早弁、腰弁…いろいろある。
おんなの弁当には「お」がついて、男の弁当には「お」がつかない、なんて文章も成程なーと納得したりして、読み応えのあるお弁当でした。
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「お弁当」に関する文章をあちこちから集めてきたアンソロジー。知らなかったけど、このシリーズは他にもいくつかあるらしい。カレーライスとか、おやつとか。
書き下ろしではないため、好きな作家目当てで手に取るとどこかで読んだことのある文章でがっかり、なんてこともあるにはあるが、なにしろ収録数が膨大なので、未知の作家(に限らないが)の文章にいっぺんに触れられるのが嬉しいところ。切ないの、懐かしいの、美味しそうなの、変なの、とテイストは様々ですが、一番笑ったのは漫画「夜行」。劇画調の絵と内容のギャップにくっそ笑った。作家さんを確認したら泉昌之……やはり孤独のグルメの久住昌之さんが絡んでましたか。やられました。
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弁当をあつらえる、調える、料す、使う…言葉だけでも彩り豊か。いずれ劣らぬ名文家たちがおりなすお弁当の世界は、でも、きらきらしくはなく、素朴で慎み深い。深いよね、お弁当。ただいまの私の人生テーマなり。
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お弁当をテーマにしたアンソロジー。個人的にはたまたま先に読んだ"カレーライス"よりも格段に良かった。美術エッセイスト洲之内徹氏の、地方に住む老読者との交流(舞台となるのが馴染みのある地域であったため余計に)、入江相政氏が描く昭和天皇のエピソードをはじめ、元弁護士中坊公平氏の「温かな人柄を感じさせる」、南伸坊氏の「笑みを誘うユーモラスな」、池波正太郎氏「お得意の」、沢村貞子さんの「何度読んでも飽きない」、そして「大好きな」向田邦子さんの掌編、他にも武田百合子さん、宇野千代さん、池波志乃さんなど、どれも素晴らしかった。分けても本作中最も印象深かったのは、阿川弘之氏のエッセイの一節。詳細は書かないけれど引かせていただく。
「コレステロールの数値が高過ぎます。塩分と動物性の脂肪を控へるやうに」、医者に言はれたばかりだが、此の際そんなこと、構つてをられるか。
たかがお弁当、されどお弁当。氏のあまりに人間臭い一文に思わず快哉を叫ぶ。
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武田百合子さん他40人のお弁当に関係したエッセイ(漫画1点を含む)集。
「お弁当」を題材として書かれたものではなく、他誌に書かれたもののうちのお弁当の部分だけを抜粋して集めたものなので、お弁当から焦点がずれているものもある。期待して読んだだけにちょっと残念な感じ。
阿部了さんの写真が何点か途中に挟まれている。お弁当だけの作品もあるが、殆どはお弁当とそれを食べようとしている個人の手が一緒に写っている。しかもお弁当の中身にピントを合わせていないのでなんだか不思議な写真。
偶然にも武田百合子さんと金井美恵子さんが共に書いている「アルマイトのお弁当の蓋に描かれているオウム」 どんなんだろう みてみたいなぁ。
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中・高の6年間、週5で、冷凍食品を使わずにお弁当を作ってくれていたオカンてすごいわ、と、自分で自分のお弁当を作るようになった今実感する。
お弁当て、ええよな、と思える一冊。
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古今(東西ではないのがちょっと残念?!)に渡る、素晴らしいセレクト。
読んでいるうちにお弁当が食べたくなる。もっと正確に言うと、自分ではない誰かがつくってくれたお弁当が食べくなるのだが、そこはしょうがない、どうしても食べたくて、詰めなくてもいいお昼をわざわざ自分で詰めて、食べた。
すると、どうしてだろう、残り物でもお弁当箱に入れると違う。
小宇宙になるんだ、不思議不思議。
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表紙だけで、すでに美味しいw 食のエッセイって好き♪ アンソロジーの顔ぶれを見ただけで、垂涎!ww 読み始めるのが、もったいないような、味わい深い1冊です♪ 昔は、エッセイやら日記やらより、小説の方が好きだったんだけどなぁww 沢村貞子さんや宇野千代さんのお弁当、食べてみたいなぁ~(●’ᴗ’●)ノ
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わたしのために、だれかがつくってくれるお弁当が、食べたい衝動。どれも素晴らしくいいものでしたが、なかでも白石公子さんのエッセイにムネアツ。
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作品の中に書かれたお弁当に関する文章のアンソロジー。
ボリュームがあって、それぞれにおもしろく読んだ。
お焦げのおむすびが食べたくなった。
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お弁当って家庭が見えますものね~^^
作家さんたちのお弁当の思い出だったり、作る側だったり、あるいは駅弁だったり、お弁当にまつわる話ってキリがないほどあると思います。
日の丸弁当が戦地の兵隊さんに敬意を表して、贅沢を戒めるものとして持っていったお弁当だったとは知りませんでした。
私も子ども達にお弁当を持たせる身。子ども達の思い出のお弁当って何だろうなぁ。少しは記憶に残るよう、しっかり心をこめて作らないといけないかしら。
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どうしてお弁当ってどこか切ない気がするんだろう。それぞれに語られるお弁当の話は、楽しかったり、少し苦かったり、色々だけれど、どこかしら懐かしい空気をまとっていて、どれも味わい深かった。心に残ったものをいくつか。
池部良さんの文章を久々に読んで、そうそう、この人の文章はいいんだよねと思い出した。歯切れ良くあっさりと江戸っ子の「おやじ」が活写されていて、こういう書き手って最近では思い当たらない。
林真理子さんは正直あまり好きではないけれど、この「笑う弁当」は良かった。かつての高校生達のある雰囲気がとても良く伝わってくる。他の女子がお弁当の見てくれを第一にする中、お弁当を新聞紙でくるんじゃう男っぽい友人の話がいい。彼女は高校の同級生と結婚するのだが、その結婚式で林さんは思う。「私が彼女の新聞紙でくるまれたアルマイトの弁当を見つめている時に、十八歳の彼は、別のことを見ていたのに違いない。なんだか嬉しいような、損したような気持ちになった」。「嬉しいような、損したような」というところに実感がある。
華英さんの文章は、失礼ながら小学生の作文のようだけど、どういうわけか忘れられない。学校帰りの電車で見た、座席でお弁当を食べる高校生くらいの男の子。髪型も変わってるし、ひょろひょろに痩せてるし、服のセンスもイマイチ。でも、そのお弁当は「から揚げ、筑前煮、卵焼き…」という「ごくフツウの和風の『おかず』」で、華英さんは「友達のような気持ち」になったそうだ。その気持ちはわかるなあ。
酒井順子さんの「お弁当…無責任時代の象徴」には、なぜお弁当を懐かしく思うのかということへの一つの答がある。子ども時代を過ぎると「自分のことを知ってくれている人が、自分のために作ってくれたお弁当を食べる機会など、なくなってしまった」と、酒井さんは書く。私もそうだし、そういう人は多いだろう。「全てのことを何も考えずに享受していた。お弁当箱とは、まさにその幸せな無責任時代を象徴する物なのです」。知人の息子さんの運動会によばれた酒井さんは、一緒におにぎりを食べながら思う。「この”無償のおむすび”を食べていられるのは、人生の中ではほんの短い時間でしかないのだ。少年よ、よく味わって食べなさいね」
しみじみと読んできて、終わり近くに載っていた中坊公平さんの短い文章の、その結びの語に胸をつかれる。
「幸せは、実は日に何度も人を訪れているのではないですかなあ」
写真は「おべんとうの時間」でおなじみの阿部了さん。お弁当の向こうに、生活の確かな実感があって、なんだかじっと見てしまう。この表紙あってこその本だなあと思った。
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『聞く力』がベストセラーとなった阿川佐和子氏の「かつぶし弁当」に、ご自身が童謡「サッちゃん」のモデルではないかと長らく信じていたエピソードは面白い!
3年に1回くらい無性に作りたくなるという弁当熱に見舞われる角田光代氏・・・etc.人気作家はもとより、内田百聞などの明治の文豪、歌人、俳優、漫画家など41人の多種多彩の面々が収められ写真,漫画も1本添えられ,なんとも贅沢な一冊に思わず舌舐めずり(笑)