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投稿者:NATSU - この投稿者のレビュー一覧を見る
野原滋『愛されたがりの嘘つき』
記憶喪失物。
あらすじにある【ちょっとした悪戯のつもりで「二人は正式に交際していて、愛し合っていた」と嘘をつく】コレがもう総て。ご飯3杯いけます。
オイシイにも程がある。
ストーリー的には、特に荒波もなく平坦に過ぎていく感じ。
記憶喪失なのに・・・笑。
人間関係も実にサラーッとしたもので、ほぼ1対1のシンプルな構造になっています。
目新しさや際立った点はありませんが、単純に好みの話でした。特にSSは、期待通りの終わり方で良かった。
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シリアスとコミカルが交差するいつもの独特な作風とは打って変わって、最初から最後まで驚くほどしっとり切ない話でした!
記憶喪失物です。いろんな作家さんが競っているこのテーマ。読み比べるのも楽しみの一つです。
椎名は辣腕社長の朝倉を支える、有能な秘書。仕事はもちろん社長の夜のケアも抜かりなく、そして自身もセフレとして関係を持っています。クールビューティの見かけによらず、実は密かに朝倉を心から想っているのですが、オトコの意地と過去の苦い経験からなのか、本心はいっさい見せません。
そうやって、かけ引きめいた大人の関係を続けていた椎名ですが、突然朝倉がアクシデントで記憶をなくしてしまい、別人のようにひたすら自分を頼ってくる素直な男へと変貌したことから、ずっと心の中にあった願望を「嘘」に込めてしまいます。
夢見ていたことを、何も知らない相手を利用して叶えてしまうのは罪作りな行為で、案の定椎名は後に切ない苦しみを味わうことになります。肯定はできないけど、気持ちはわかるのでこのまま少しでも長く椎名に夢を見せてあげたい、とも思ってしまいました…
でも、椎名を「里斗」と呼んでくれる男も愛しいけれど、今会いたいのはあの朝倉で。
記憶を蘇らせようとする行為は、目の前の存在を否定することにもなってしまうのが辛いです。記憶喪失物は、そういう切なさが大きいですね。
こっちの朝倉もいいな~と思って読んでいたので、元に戻るシーンはうるっとしてしまいました。
でも、一番のポイントは二人?の朝倉が互いに相手を嫉妬するところ。自分の知らない自分にジェラシーというのは、かなりのツボでした。
記憶喪失があったからこそ、朝倉も椎名も今までの関係を見つめなおし反省して、改めて相手への愛に向き合えることができたのが伝わってきて、とても甘くてやさしいエンディングでした。
こういう、キュンとくるストーリーも上手い作家さんだなと、改めて感じました。
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記憶喪失ものでした。 う~ん。野原さんの本は結構好きで作家買いなんだけれど、今回はあんまり捻りがなかったような感じですね。 朝倉の変わり具合がちょっと違和感ありましたというかああいう感じの心の変化ってのはあまり好みじゃないんですよね。 でもラストのスーツを買うお約束の所の最後の最後の"やっと約束を果たせる"って所は思わず胸が詰まっちゃいましたけれど♪
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過去の痛い経験から失いたくなくて選んだ今の関係、
特殊な状況についたウソ、
椎名の気持ちが切なかったです。
ウソの上に成り立っていた
記憶喪失の朝倉との甘い生活が
後ろめたいけれど幸せで
だからこそ朝倉の記憶が戻って元の生活に戻った時、
これからは本当の愛を探すのだと
都合よく扱われた昔の男にも
気持ちをひた隠して付き合ってきた朝倉にも
毅然とした態度で自分の心境の変化を伝え
別れを告げる椎名が格好よかったです。
相手も自分も大切にできて、
初めて本当の愛を手に入れられた椎名と朝倉が
穏やかであたたかい空気をかもし出していたのが
とても心地よく感じました。