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第三章 介護労働は社会から外れた人の受け皿 を読み、慄然とする。高いプライド、低い精神年齢、責任転嫁、周囲が悪いと思っている、愚痴…… “一部の問題のある人々に見られる特徴”を兼ね備えた三十代男性を思い出しました。(介護にかぎらず、就業人口に占める割合も増えていくことでしょう) 諸事情で就業が難しい人たちのセーフティネットとして機能してきた性産業と、介護業界の親密性。業界が抱える課題。全章が凝縮されたような、目が眩むようなあとがき。とても刺激的で、危機感が後ろから迫ってくるような内容でした。けれど逃げ道はありません。現場からの声を聞き、どうすればよいのか、全ての人が考える時期が来ています。
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介護従事者・経営者の実態について。職員が売春をしていたり、メンタルが不安定で周囲を振り回したりなど、極端な例だと信じたい部分もあるが、可能性としてあるかもしれないと思ってしまう部分も。とくに生保受給者を受け入れてたりするような、格安有料老人などの実態はどうなんだろう。介護は資格なくてもできるしね。病院のヘルパー事情も似たようなところがあるのか。准看護師なども同じかもしれない。事務職は…など考えていくと恐ろしいが。
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○ノンフィクション作家、ライターである、中村淳彦氏の著作。
○需要と供給がミスマッチである介護業界の実情について、重労働や低賃金と言ったいわゆる“3K労働問題”だけでなく、そもそもの介護労働者のタイプ(人種?)を詳細に分析したもの。
○紹介されている事例が極端なケースであるため、全てを鵜呑みにして先入観を持つことは望ましくないが、このような世界が広がっているということは意外。
○著者も書いていたが、介護関係の仕事をする人は「善人」というイメージを持っていたが、そんなことはないんだな(むしろ、社会不適合者がいる)ということにショックを受けた。
○短絡的に制度の問題と言うことはできないが、これから何らかのテコ入れを行う必要があるだろう。
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「『やっぱり介護保険は廃止します』とすべての営利法人を潰して行政主導に戻るのもいいかもしれないし、少し動きのあった外国人介護士を障壁なしに大量に受け入れるのもいいかもしれない。流れる血を入れ替える劇薬が必要である。」
本書の結びの文である。うーん、救いがないねぇ。タイトルもそうだが本書の大半は、介護現場の暗部が描かれている。これから、介護職に就こうと燃えている人が読むと、希望を打ち砕く事になるかもしれない。が、介護職になってもう少しで10年になろうとしている俺には、「わかる、わかる」と頷ける事ばかり。
世間的には、介護職の問題点は、深刻な人手不足と低賃金が言われている。確かにその二点も大きな問題点ではあるが、介護職の社会人としての未熟さ(全ての職員がそうであるわけではない)、人材面での問題を真っ正面からこれほど、踏み込んだのは、本書が初めてではないだろうか。
この様に書くと、介護職の人から反発を受けるかもしれないが、俺は介護職に就く前に営業の仕事をしていた事があり、営業という相手に対して失礼の無いように接する仕事から比べると、介護職の人はかなりの割合で、失礼な人間が多かった。年下でそんなに話をしてないのにいきなりタメ口を利いてくる奴、何回遅刻をしてもケロっとしてる奴、仕事中に隠れもせずにメールを打つ奴、利用者を放置しておしゃべりに夢中になる奴。これらは、まだ同僚に迷惑かける程度、けじめがないとか本人の悪いクセで済まされるが(が、転倒など事故を増やす原因には充分なりうる)、利用者に対してヒステリックな口調で責めたてる奴(まあ、時と場合により仕方ない場合もあるが怒りの沸点が低い人を指す)、脱水症の利用者に食後は一杯のお茶を飲んで頂く様にスタッフ全体で決めたにも関わらず、その利用者がお茶を飲むスピードの遅さに待ちきれず、職員が他の利用者の介助でその場を離れるやいなや、お茶を引っ込めて流しに捨てる奴、パットや紙パンツを平気で何重にも装着させる奴(介護の研修会では、それらを何重にも装着すると利用者が気持ち悪く感じる為、なるべくそういった事は止めましょう、とされている。場合によっては仕方がない場合もあるが、それでもせいぜい二重までだと俺は思う)と、本業の介護が雑な人間も多い。断っておくが、そういった人間ではない、責任感のある人も多々いるが、いい加減な奴、社会人として未熟な奴がいる比率は高い。
また、普通の職場なら当たり前に整っているルールが(有休といった労働者の権利とか)整備されておらず、そういった事を指摘すると、施設長や現場の上層部から、冷遇されたり、と大人気ないまだまだ未熟な業界なのだ。
著者の中村淳彦さんは、元々はフリーライター、今は介護の事業所を運営しながら、ルポやノンフィクションを執筆されている。
中村さんの過去の経験、人脈が活きている第二章の「売春する介護職員」は、正直ここまでキちまったか、と驚きつつ、呆れる。が、女性職員に「売春してる?」など、聞けるわけないし、聞いたとしても絶対隠すだろうから、実感はできない。けど、興味深い話だった。
第二章に代表される様に、元々介護畑では���い中村さんだからこそ冷静で客観的、時に残酷に介護現場を抉っている。で、俺が思うに、介護の人間は、社会的に介護職とは、といった目線に立って物事を考えている人は少ない様に感じる。で、介護関係の本は多々あるが、多くは介護技術や利用者との接し方や、感動話と、介護の世界の暗部は無かった事にされてるが如く、触れられない。
で、俺がにんまりしたのは、介護業界の多くの法人代表が「夢」、「やりがい」、「絆」、「熱い情熱」といったポジティブな言葉を多用している様に中村さんが違和感を覚え、介護関係者にそれを語ると、「夢や絆を求めていない、あなたの方がおかしい」と、一蹴された所である。
いるよ、いるよ、こんな奴。独りよがりの正義。「二十四時間テレビ」とかマザーテレサじゃあるまいし、こんな青臭い言葉に酔う前に、大の大人として気恥ずかしくないのかね。確かに綺麗事を全否定しては、どんな仕事も成り立たないとは、思うが、なんの照れ臭さもなく、シラフな顔で言えちゃう奴、一般的には「イタイ奴」と、される(そう言えば、介護職員って、ブラックユーモアが通じない奴が多いな)。俺はマザーテレサには絶対なれんし、生きる手段として、介護を生業としている。でっかいスローガンはないが、小さなこだわりはある。必要以上に介護を特別な仕事と思うのはあつかましいと思う(まあ、特殊な部分もあるが)。が、世間の中の一サービス業と思ってやった方が、健康的だと思う。
と、まあ、とりとめなく、ダラダラと書いてしまった。この本を俺は、色々な人達に読んで欲しいが、特に読んで欲しいのがこれから介護職員になる人と、介護には全く関係ない金持ち、政治家、介護事業に関わりがある省庁の人達に読んで欲しい。確かにここ十年で、介護職員を取り巻く状況は少しずつ改善されてはいるが、まだまだ課題は山積みである。
これから介護職員になる人には、「なら、俺が変えてやるか」、金持ちには「利用者にも職員にも優しい介護事業を実現させてみるぜ」、政治家、関係省庁には、行政にはこういった状況を如何に関与し、改善していく術を探って欲しい。と、俺が青臭い言葉を吐いちまいしたが、綺麗事が大嫌いな俺がこんな言葉を吐いちまうぐらい、介護業界には問題山積みなんだ。
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馬鹿げた個人的見解と偏見に満ちた描写が前半繰りだされていたが、著者の遍歴を知った上では別段不思議にも感じない。ハズレかなと思っていたが、読み進めて第4章「夢喰いが牛耳る介護業界の闇」で突然社会問題を鋭く捉えるルポライターとしての腕を見せてくれた。介護保険制度を軸に「福祉」を「ビジネス」に、「措置」を「契約」に置き換えたことにより生じる現在の介護現場の歪みと崩壊を客観的にあぶりだし未来を示唆し読む者に恐怖と怒りを感じさせる力は、じわじわと迫る2025年問題についてはっきりと危機感と制度の誤りに気付かされた。
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著者の得意とする性産業からの切り口は取っ付きにくいけど、これもまた介護業界の一面。劣悪な労働環境は、多くの産業にみられる貧困問題でもある。
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介護事業所を運営した経験のある著者による『愚痴本』のようなもの。レビューなどで賛同の声が多いことからも事実に近い部分が多いだろうけど、著者の主観に偏った本ともいえる。本書の中で出てくる『割合』は分母が50人以下のデータだったりして正確な情報としては言い難かったり。
著者が過去に書いた本が『AV女優』『ワタミ』『中年童貞』などなのでその色が強い。介護士の売春とかワタミ式宗教経営とか、中年童貞の職員の質がどうとか・・悪く言ってしまえば著者の本の内容の寄せ集め。それに加えてサイコパス職員の話が新たに述べられていた。
愚痴を言って終わり感が強く、著者自体が介護業界を諦めてしまっている雰囲気が全体から漂っているので、改善の兆しなどそういった部分についても考察して欲しかった。それから気にかかったのは著者が人のことをしっかり深く理解しようとしていないのでは?と思わされてしまった点。表現上そう書いているのかもしれないが、偏った見方をしているように感じさせられる部分も多々あり。
丁寧に書かれた2ちゃんまとめのような本。全く知らない業界の片鱗を知れるという意味では、無意味ではない本。
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雇用対策事業は、労働環境破壊政策である。能力不足の人間をどこかの事業所に押し込むから、職場環境が壊される。
やはり社会福祉にはどこか無理がある。正義の押し付けではいずれ破たんが来る。介護職はそれが早かった。
仕事できないダメ人間は、昔は何かしら仕事があった。非合理な世の中なら、まともじゃなくてもできる仕事があった。
しかし、合理化が進んだ現代社会では、ダメ人間の行き場がなくなりつつある。
だから介護職のような、体一つで働けるような仕事がセーフティネットのはずだったのに、行政介入のせいで書類仕事が増えて混乱してしまった。
人類はパソコンという便利アイテムを手に入れたのに、逆に仕事が増えて首を絞めているという…
本当にわけが分からないよ。
もっと楽に、自由に働ける世の中を作れないとか、頭が悪すぎる。真面目な人間ほど、頭が悪い。
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アダルト業界と介護は、仕事をするうえで、社会的弱者の受け入れや仕事の求められる能力と仕事内容の面でオーバーラップしていて垣根が低いというのは、なるほどなぁっと思った。
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サイコパス山田は確かに甚大なダメージを筆者に与えたわけだが、介護との因果関係はそんなにあるだろうか。
売春や中年童貞の問題も出ていたが給料が安いのが最大の難関。
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いくら何でも介護現場の描写がちょっと極端過ぎるんじゃないかと感じたけど、職員の質の低下が大きな問題となっていることは理解できた。私も母が介護老人保健施設におり、人ごとではなく興味深く読ませていただきました。
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崩壊する介護現場 (ベスト新書) 新書 – 2013/9/7
介護の世界には夢や希望は何もなく、将来性もあるとは思えない。あるのは「需要」だけである。
2016年9月11日記述
中村淳彦氏による著作。著者自身が2008年より介護事業所を経営しはじめ、その経験からの介護業界の異常性を訴えている。
中村淳彦は、日本のノンフィクション作家、ノンフィクションライター。
1972年東京都目黒区生まれ。
明治学院中学校・明治学院東村山高等学校、専修大学経済学部卒業。
編集プロダクション、出版社を経て、フリーライターとなる。
低賃金、重労働などのイメージがある介護業界。しかし現実はもっと厳しく複雑だ。
人材が全ての資源であるにも関わらず高い離職率。
知識、技能が蓄積しにくい構造にもなっており悪循環になっていると思った。
元からの人手不足に加え他のL型産業との人材の奪い合いに勝てると思えず・・
我が国の2025年問題(団塊の世代が後期高齢者になる時期)を問題なく乗り越えることは不可能となりつつあると思う。
本書のそれぞれの章が興味深く、もっと掘り下げ一つの本にして良いと思えた。
一章にあるサイコパスと思われる山田と著者との激闘はすごい。
著者がサイコパスである松永太を取り上げた消された一家(豊田正義 2009)を
読んでいてサイコパスという存在を知っていたことが問題解決につながった。
中村氏の経験上、サイコパスの特徴に慢性的な愛情飢餓。過剰に同情を乞う。
育った家庭の機能不全。刺青を入れている。
数多くの転職経験。異性にモテる。
同性の友達がいない、などを加えてもいいのではないかと指摘。
ドイツの医学者エミール・クレペリン氏は
「一見才能があり博学で、地理歴史技術医学など、何くれとなく通じていて話題が豊富であるが、よく調べるとその知識は他人の話からの寄せ集め」
「好んで難解な外来語や人を脅かす言説をなす」
「自己中心の空想に陶酔して、他人の批判を許さない」
というサイコパスの特徴を上げている。
サイコパスは一言で言えば
「虚言癖があり良心がなく、他人を操ることに長けている」日本にサイコパスは250人に1人の割合で存在すると言われている。
介護の世界は不規則勤務によって他の業種の人と交流する機会が少なく、出会いも少ない。
この為、不倫などが他業種よりも多い・・売春、薬物、嘘ばかりの異常者。
ネットワークビジネス・・・ワタミのような宗教的組織による洗脳、マインドコントロール。
現場で働く介護職員はホームヘルパー2級や無資格未経験の人を中心に世間のイメージから大きく乖離した「異常な人」が多すぎる。
重労働や低賃金の問題ばかりが報道されるが、本当にすぐ解決しなければならない異常な人材問題に触れている記事や報道は見かけない。
⇒これの解決の為にも低賃金は解決されるべきだろう。