紙の本
ホラーというべきなのだろうか?
2014/01/17 01:06
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投稿者:ハギノヒロジ - この投稿者のレビュー一覧を見る
ホラー大賞受賞作である本作品。
苔色の装丁と、西島先生のイラストには求心力がある。
今回は、海辺で拾った蟹を育てていると、
主人公は蟹が何でも食べることに気が付く。
そこで、主人公が人を殺してしまって...
という話、落ち自体は非常に予測しやすい。
また、ホラーというほどおどろおどろしてもいない。
どちらかというと、月と蟹に似ている。
主人公たちは現状に閉塞感を覚えており、
そこから発する狂気じみたものがテーマだ。
そのため、賞を取るための作品だなあ、という印象。
純文学のようなものってあまりエンタメ要素が少ないから。
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『かにみそ』の蟹と私の関係とか、話しだす蟹というファンタジーみたいな少し現実からズレた世界へひょいと自然に連れていく感じがあるので楽しく読めた。
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う~ん。
寄生獣を散々読んだから、捕食者としての人間を逆の立場でとらえることには新鮮味がない。
そして、泣けない。
むしろ、もう一つの物語のほうがよかった。
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ふと始まった蟹との奇妙な生活。
まさか相棒に蟹を選ぶとは。
ありふれたラストだと言われてしまうかもしれないが、これはこれで良かった。
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蟹はなんでも食べた。
魚肉ソーセージも、鶏もも肉も、人間さえも――
第20回日本ホラー小説大賞優秀賞受賞
(H.M)
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ホラー小説大賞優秀賞受賞作。
読み始め、「……これってホラーなの?」と思うことしきり。主人公は妙な蟹を拾ってしまいますが、この蟹が実に可愛いっ!!! 話す口調も愛らしくってユーモラス。ぜんっぜん怖くないよー。
ところが。やはり途中から変わってきますね。うん、たしかにこれはホラーでした。かなりえげつなくって残虐だけれど、シュールでユーモラスなので、ホラーが苦手だという人も大丈夫かも。
そしてラストへ向けての展開……うわあ。まあなんとなく想像のつく展開ではあったのですが。しんみりとして、ぽっかりとした哀しみが後を引きます。だけど前向きで、後味は悪くないなあ。
もう一作収録されている「百合の火葬」は、むしろこっちの方がよりホラーらしい印象。愛しい異形との生活、というのは「かにみそ」と通ずるものがあるかな。
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13/12/29
第20回ホラー小説[優秀賞]受賞作品。じわじわ怖くて、だんだん切ない。
P116ー「生きることは食べることだよ。そうでしょ?」
人を喰う蟹は生きるために食べる。
それは自然で咎めることはできない。蟹は妙に人間的だし、「悩みがあるなら言ってみ?」なんてこともいう。だんだん情が湧いてくる。人喰い蟹なのに。
P105ー「人間は面倒だね」
「そうだね。面倒なのが人間なんだよ」
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知人から教えてもらって読みました。第20回日本ホラー小説大賞優秀賞受賞作と、もうひとつ書き下ろし作品が掲載されています。大賞が該当なしのため、表題作「かにみそ」が最高賞をとったわけですが、新奇(ヌーベル)ではあるけれども怖いとは思いませんでした。生きることに前向きになれなかった主人公が、カニとのやりとりを通じて人生とは、生きるとは何かを考えるのですが、正直、あまり感情移入できませんでした。各人(カニ)の言葉や人生に対する態度を裏打ちするバックグラウンドが、もっと読みたかったです。
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面白い?怖い?では言い表せない、とても重たい読後感でした。作者はなぜ蟹を選んだのか?たぶん哺乳類だったら感情移入が過大になり、爬虫類はグロ過ぎる、昆虫は小さいし鳥類はヒッチコックが映画にしたし。いつか読み返すことがあれば、その時の気分で違う読後感が味わえそう。
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なんかね、じわじわくるホラー小説でした。
でも、読んでるときにこれ一編だけ入ってると思い込んでたから、本の真ん中らへんで、とある状況になったとき、え、まだ半分あるのにこの後どうなるの??って思ってたら、終わりだったという……(笑)。
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全てに無気力な20代無職の私が拾った小さな蟹。その蟹は体の割に何でも食べ、頭が良くて人語も解する。そんなある日、私は恋人を殺してしまう…。捕食者とその「餌」との間に生まれた友情を描く表題作など全2作品を収録。
2013年日本ホラー小説大賞優秀賞作。大賞が該当作なしなので実質的にはNo.1作品だった。異常な事態なのに淡々と描かれているから読んでいるうちに慣れて?しまう。選者たちが「現代の若者の孤独」と評していたが、そこまで深読みしなくても単純に楽しめる。今後が楽しみな作家かもしれない。
(B)
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海で見つけたカニを家で飼う派遣社員。食事の量が増加。家族のいない間、TVを見ているのに気がつく。喋るカニだった。上司でセフレの女を殺してしまう。カニと連れてって食べさせた。人間の味を覚えた。夜の街に連れて行き人間を食わせた。殺した女は疾走したことになっている。女の上司も疾走していた。彼女が殺して冷凍庫に隠していることに気がつく。死体が見るかると自分も危ないのでカニに食ってもらった。カニは自分がいない時にも人を喰いにいくようになった。友達は喰わない。いよいよ危なくなってきたのでカニを殺すことにした。カニは食っていいよ。茹でてカニを食った。
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2013年度の日本ホラー大賞 優秀作品らしいが作品の構成や質の良さ、文章力などが非常に高く、大賞を受賞しても文句無しである。表題作である『かにみそ』と『百合の火葬』どちらにも共通しているのは読了後に凄まじい虚無感が襲ってくる事。蟹と百合、どちらもこの作品の中枢を担っていたのではないだろうかと思う。どちらも背中がゾクゾクする怖さである。久しぶりにホラーを感じる作品に出会えたので嬉しい。
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読友さんの感想を読んで。すっとぼけた表紙とタイトルに惹かれたんだけど中身はなかなかに怖い、そしてキモい(笑)恐ろしいはずの蟹だけど愛嬌があってなぜか憎めない。逆に生きることに無気力な「私」の存在の方が不気味。蟹と私の奇妙な共存関係が興味深かった。「百合の火葬」はきれいにまとまってはいるが、「かにみそ」に比べてインパクトに欠けた感じ。
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描写的にホラー…っていうよりグロ…か…な…?ってなったけど映像化したらきっとホラー映画のくくりになるだろうと思ったのでホラーで。蟹の性格と口調のコミカルさにまんまと蟹可愛いよ蟹!ってなった。蟹が生き生きしてる分周囲の人間達が主人公含めちょっと描写弱い気がする特に後半の主人公が今更感すごい。でも二人の友情はよかった。
表題作ともう1篇入ってるけどホラー的にはこっちの方が好き。侵食していく百合の花と謎の美しい女性っていうビジュアルがゴシック的でそれだけで読める。