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「八重の桜」の新島八重に続き、来年のNHK大河で主人公となるのは、巧みな弁舌と軍略で豊臣秀吉を支えた軍師・黒田官兵衛。司馬遼太郎、池波正太郎、松本清張など、数々の小説や評伝に取り上げられながら、キリシタンだったことが隠蔽され、あるいはすぐに棄教したなど、さまざまな誤解や間違った描写も散見されるという。
敬虔な信徒として信仰を貫き、側室を持たずただ一人の妻と添い遂げた官兵衛の人となりを、歴史的文献などをひも解きながら丁寧に検証する。同時代を生きた宣教師やキリシタン大名、大村純忠、小西行長、高山右近らについてのマニアックな記述も、歴史好きにはたまらない。通説として語られてきた人物伝などが、いかに疑わしいものであるかを改めて知ると同時に、「キリスト教音痴」故の危うさを思う。
「八重の桜」は、ゆかりのある会津や同志社を中心に一大ブームを巻き起こした。関係者の間では「思いのほかキリスト教的要素を丁寧に描いている」と、評判も悪くない。来春刊行予定の下巻と共に、岡田准一演じる官兵衛に会えるのが今から待ち遠しい。(松ちゃん)