紙の本
野球の縁
2015/11/27 23:51
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投稿者:テラちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
松山が生んだ俳人、正岡子規を主人公にした青春小説。帝大に哲学を志して縫う学するも挫折、文学に方向転換した。帝大とはいえ、落ちこぼれ的な存在だった子規を支えたのが江戸っ子の夏目金之助、つまり漱石。のほほんとした子規と、神経質な漱石との交流。それぞれから見た人物像が興味深い。子規と言えば、明治時代に早くも野球に取りつかれた人で、本名の升(のぼる)をもじって野ボールの俳号も使っている。山口県防府市から立教大学の野球部に進んだ伊集院氏が子規を書くのは、必然だったのだろう。時間をかけた労作と評価したい。
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青年期からの正岡子規の生涯と夏目漱石との友情物語。坂の上の雲の配役が浮かんでしょうがない。香川照之のイメージで一気に読んでしまった。正岡子規の生涯を読み物として面白く読めた。漱石の別れの句「きりぎりすの昔を忍び帰るべし」が悲しい。
「有る程の菊投げ入れよ棺の中」
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これまでわからなかった正岡子規の人柄や、夏目漱石といった彼の周りの人たちのことも見ることができてよかった。正岡子規の生涯について書かれているから仕方のないことだが、あまりストーリー性を感じられなかったので星三つ。
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ごく普通に楽しめる娯楽小説。
子規という人は相当に魅力的で敬愛すべき人物という作家の想いがよく伝わってくる。
それにしても何だが文体が司馬遼みたい。そんなに読んだことはないのだが、何となく伊集院静らしくないように思われ。
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子規が死んだところで「坂の上の雲」終了!となった私にぴったりの本ではないかと思って読んでみた。あっちと違って、子規と漱石の友情を軸にした物語です。若干司馬遼太郎風なのは気になるけど、まあ面白かった。子規が野球についての短歌を作ったのは、だいぶ後になってからなんだね。実際やっていた元気なころでなく。子規とべーすぼーるをたどる旅、なんていいなー。
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初読。図書館。「小説正岡子規と夏目漱石」の副題のわりには小説っぽくない。事実関係を押さえながら勝手に妄想しながら読んだ。伊予訛りがノボさんを描き出すのにとても効いている。子規逝去の場面は知らないうちに涙が流れていた。でもやっぱりもうちょっとドラマチックな物語を書き込んでほしかったなあ。
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ドラマ坂の上の雲に絵が描かれていた
子規像をより詳しく辿った感じ小説。
愛すべき子規がよく出ている。
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「坂の上の雲」の香川照之が文字の上で動き回っていた。
淡々と続く解説のようでちょっと物足りない気もするけれど正岡子規を学にはとてもいい感じ。
あまりにも短いその一生。短くて濃くて豊かで。もっと時間があったなら、何をこの世に残しただろうね。
「さあ、もういっぺん痛いて言うておみ」という母の、ノボさんへのさいごの言葉が辛い。
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正岡子規。病気を抱え、短命でありながら俳句・短歌の世界で偉業を成し遂げた人。病床六尺などで病臥していたことばかりが印象にのこっていたが、発症前の生き生きした姿、摂生して生きることが性に合わないほどの好奇心。あと何年と余生を勘定しながら完全燃焼で行ききった子規の姿が鮮やかだ。
野球に夢中のころ、漱石鴎外との出会いなど、新しい子規像を描き出した。
おもしろかった。
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若かりし子規と漱石の出会いから、漱石の渡航と子規の死による別れまで。子規の器の大きさと情熱、そして荒っぽさに親近感を持ちます。前半の明るい話から、次第にカネ(は、本人は気にしていないけれど)と病気が生活に大きな影を落としますが、本人はそれでも人と交際しつづけ、家族には迷惑をかけ続けます。きつい病気による結末はわかっていてもなお、一冊を通じて付き合ってきた友を失ったような気になって、喪失感をおぼえます。いいなあ、このふたり。
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正岡升=子規の青春譚。なにものかになりたいという誰もが青春期に抱く希望と悩みが、この国の在り方に直結していた明治期。もしかしたら、才能たちが歴史にいちばん愛された時代なのかもしれない。
ということで、漱石や鴎外や一度は国語の教科書で目にしたことのある百花繚乱の登場人物たち。まるで近代日本文学黎明期の作家カタログのようで楽しい。
それと、俳句という文学の素晴らしさがよく伝わってくる。風景や時間を切り取るのに一眼レフカメラなんか要らないってことですよね。
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子規は夢の中を走り続けた人である。
これほど人々に愛され、
これほど人々を愛した人は他に類をみない。
彼のこころの空はまことに気高く澄んでいた。
子規は、今も私たち日本人の青空を疾走している。(本書より)
ほのかな恋心を抱いた女性がいたこと、夏目漱石との友情など、子規が壮絶な病と対峙するゆえに、その辺りの描写が切なく心に沁みる。
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副題は「小説正岡子規と夏目漱石」とあるけれど、あくまでも主人公は正岡子規。
正直なところ、韻文にはあまり詳しくないので、正岡子規についても一通りのことしか知らないのだけれど、子規のマイペースな中にも多くの人を巻き込んでいく魅力が描かれていると思う。
ただ、ちょっと思い余って言葉足らずな部分もあるような?伊集院さんが、よっぽど子規のことが好きなためではないかと思う。
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自分の名前がノボさんと呼ばれることもあり、あまり内容を気にせずに選んだ本。
それは正岡子規と夏目漱石を中心とした子規の生きてきた事や彼が成したことを史実を元に書かれた半分ドキュメントで脚色された物語だった。
彼が日本文学に影響した幾多のことがこの本を読んで理解でき、子規という人がどういう人だったかを垣間見ることが出来たような気がした。
もし、健康でその人生をもう少し長く生きていられたら日本の文学史は更に変わっていたのではないかと、あの時代の医学で生きた子規が惜しまれた。
子規に影響された漱石もやはり素敵な人で、この二人の優情が日本の文学史に大きく影響したことがよく分かる。
読み始めたきっかけはいいかげんなものだったかもしれないが(^^;)読んでよかった一冊だった。
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子規についてほとんど知らなかった。漱石、秋山好古、柊屋など知った名前や場所が出てくると心が踊る。読みやすく、楽しい。子規は、自由人だったのだろう。それを支えた母の偉さ。自由な生き様とほとばしる才能。漱石との同居。筆者の子規への愛情を感じる本である。