紙の本
誰の問題なのだろう
2013/11/05 08:13
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投稿者:オオヒラ - この投稿者のレビュー一覧を見る
一つ一つの話には素直に感動をできた。日本のおもてなしの気持ちの基本姿勢なんだと思う。このような仕事が出来たらお客様には喜んで頂けるだろうし、自分も充実した気持ちになれるだろう。ただ、なぜこのような人達が働いている会社が倒産するのだろう。経営者・社員に気持ちはあるが、この程度でいいやと、本気で実行しようとしなかったのなと考えてしまう。ただ、これを他人のことと読んでいる自分のことも考えなければと思う。倒産前はJALの人もこのような本を「わかっているなら何でやらないの」という気持ちで読んだだろうから。
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2010年の経営破綻から立ち直った日本航空を巡る実話集です。
羽田発ホノルル行きの便に乗務しているマリは、ビジネスクラスの一番後ろの席に座っている80才前後の老婦人に声をかけられる。50才台の息子さんと思われる男性とともに搭乗した老婦人は、飛行機に乗ることの不安や亡くなった夫のこと、その夫からの贈り物であるブローチのことなどをマリにとめどなく話してきた。機内業務の合間に丁寧に対応をしていたマリは、何回同じ話を聞いても始めて聞く話として丁寧に対応を行った。そんなマリに息子さんが「母はご覧のとおり認知症。私は医者をしているけれども患者の話をゆっくりと聞いてあげていなかった。あなたは最高の名医だ」と声をかけてくれた。
例として書かせていただいた実話のほかにも、空港や機内などでの出来事が全部で16話綴られています。どの話も感動的で考えさせられる内容ばかりでした。
2010年に会社更生法を適用されて経営破綻した日本航空。一時は再生不可能とも思われていたものの、驚くほど短期間で復活したのは周知のことだと思います。
復活に向けて労使問題やコスト削減など様々な厳しい課題に直面した日本航空は、3万人という大勢の社員が一丸となって再生への道を進んで来たと言われています。その道はかなり苦しかったのではないでしょうか。公費を投入しての再生は非難を浴びることも多かったと記憶していますが、それでも一人一人の社員の努力無しでは成し遂げられなかったのではないかと思います。
この本は航空会社を巡る様々なエピソードが綴られているとともに、JAL再生に向けて頑張ってきた人々の苦労や努力も同時に綴られています。実話の中には、ベースとなる出来事の描写が若干デフォルメされているのかなと思えるような話もありますが、全体的には心温まる実話が丁寧に書かれていて、内容によっては思わず目頭が熱くなってしまう話もあります。
私は出張で飛行機に乗る機会が多い仕事に携わっていますが、ここ3~4年使っているのがJAL。JAL便の方が使いやすい地域に出かけることが多いというのも理由のひとつですが、全体的にサービスが良いので知らず知らずのうちにJALファンになってしまいました。
他社に比べて機体や設備の古さはいなめないのですが、客室乗務員や地上係員の対応の良さは他の航空会社を上回っていると思います。ハードよりもソフト。気持ち良く快適に過ごせるのは、最後は人と人との"心のふれあい”なんだろうなと思っています。
企業再生に努力した人々とそれを見守る人々とのふれあいの一冊。若干、日本航空に対する擁護的な要素を含んでいながらも、全体的には得るものの多い、ビジネス書のような要素を兼ね備えた一冊でした。
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実話に基ずいた様々な、エピソードは、読む者に感動を与える。企業人としての誇りや、自らの体験から、他人を思いやるおもてなしは、日本人なら、誰もが育んだものであり、経営側の姿勢でどの企業であっても、発揮することができる。