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絶対に譲れないものがあってこその侍魂。己の信念に偽りを許さない生き様はせつなくも美しい、切腹の日まで誇り高き時間を生きる戸田秋谷はもはや、運命に流されながら生きるか、運命と戦いながら生きるかという次元を超越。「心の向かうところが志であり、それが果たされるのであれば、命を絶たれることも恐ろしくはない。」 秋谷の子、郁太郎も源吉のために家老に気持ちで一太刀浴びせることに。「いま、ご家老は武士にあるまじき言葉を吐かれた。武士として生涯、消せぬ恥辱となろう。」 あっぱれ。 スピード変化がもてはやされる現代にあって、かつて変えてよいものと変えてはいけないものの境目があったことを日本人に思い出させてくれる一冊でした。
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全1巻。
葉室麟を知るきっかけとなった、
直木賞受賞作。
やっと文庫化。
ああ。
これはいい。
死が決した男と、その家族、
そして、その生活に割り込んだ主人公の、
それぞれの覚悟と決意。
自分が持っている著者のイメージ、
和歌を使用した心情表現や、トリッキーな構成、
くど過ぎる背景描写は鳴りを潜め、
ど真ん中で男らしいの書いたなあって印象。
淡々とした語り口ながら、
段々と明らかになってくる陰謀や、
ミステリアスな殺人事件、
クライマックスの殴り込みなど、
ドキドキする展開で読者を最後まで離さず、
藤沢周平や、山本周五郎を思わす
静かながらも力強い物語に仕上がっている。
哀しく、美しく、爽やかな
読み返したくなる一冊。
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ミステリー仕立ての時代劇。主人公は、気骨があり、情けも深い魅力的な人物である。ドラマの設定の奇抜さから、ストーリーがどのように展開するのかとわくわくしながら、次第に話にひきこまれて行く。予想以上に面白かった。
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少し甘いが、星5つ。
藤沢周平を思わせる作品世界だが、凛とした秋谷一家がなんとも言えずいい。庄三郎の人柄にも惹かれる。村の人間の生き方も強くていい。
悪役もしっかり役割をこなしているし、人間的に徹底していて深みを感じる。つまりは、人間造形が上手という事だ。謎解きの方は今ひとつの感もあるが、もっと読みたいと思わせる作家である。
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悲しくも静謐で美しい。この人間として厳しく正しくあらんとする武士精神こそ、日本が受け継ぐべき世界遺産。
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決して悪くはなく、静かに感動させてくれるいい作品だと思います、が・・・ 少し期待しすぎたのかも知れない。賞を獲っているからといって、その作品が必ずしも面白いとは限らないというのは分かっていたはずなのに、ついw
エンタメ志向の人間にはちょっと不向きかも。ある意味で中途半端さを感じたのは、感動で言えば「影法師」の方が圧倒的にこの作品を凌駕しているし、味わい深さでは藤沢周平作品群に及ぶはずもなく、キャラクターの魅力で言えば本来なら切腹男・秋谷なんでしょうが、源吉のスゴさにはまったくかなわない。源吉、スゴすぎるぞオマエ、その歳でw おかげで他の主要登場人物らの存在が、かすむかすむw そんなワケで、キャラ立ちも微妙な結果にw
映画化されるそうですが、微妙な結果にならないことを祈るばかりw ま、キャストは豪華な顔ぶれのようなので、意外と原作よりも出来がよくなったりして。役所さんは、まだ清洲会議のイメージが残ってるとヤバいかも、だけどww
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読み応えあり。派手な描写や、ハラハラさせる物語の急展開といったものはないが、全体を通じて張り詰めた緊張感があり、一気に読ませる。人の生き方とは何かを考えさせる作品であると同時に、エンタテインメントとしてもしっかり仕上がっている。作者の代表作になるだろう。
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直木賞受賞作が文庫化しました!出だしから掴まれて、途中で投げ出すことができなくなる。歴史小説今年のおすすめ!
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久々に感動~
無実の咎で余命3年と定められた秋谷の生き方がいい。
その生き方を、近くで感じながら過ごす家族やもう一人の主人公でもある庄三郎、村の人たち、敵対する家老…それぞれの思惑の中で翻弄される一途な少年。
その行き様のどれもが胸を打つ。
そして最後近く、慶仙和尚の言葉が、胸に響く
「この世をいとおしい、去りとうない、と思うて逝かねば、残された者が生き暮れよう」
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切腹の期日を定められた郡奉行まで務めた武士と彼を取り巻く人々の哀しくも清廉な時間。ストーリーもしっかりしています。直木賞作品。
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_死を前に。
人間は何を思いどう生きるのか。
命の期限を決められたら。
清廉だからこそ哀しいが、最後には希望の光も。
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『心の向かうところが志』理不尽な事だらけなのに「有るか無きかの微笑を浮かべて成すべき事を成す」秋谷に感動。
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武士として散る事を決意している秋谷と、どうにか助けたい周りの人たちの話。身分の差や派閥争い、貧しい暮らしに重なる災害など、生きる事が窮屈で思い通りにならない時代の物語。なんだか重たい気持ちになってしまった。
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心に染み入る名作だと思った。
誰にでもいつか訪れる死。そこに向かって如何に生きるか、ということを考えさせられた。
信念を持ち、周囲の人たちのことを大切にし、日々を泰然と丁寧に生きる一人の武士の姿を美しいと感じた。
清冽。だけれど温かい。
これからの人生で、多分何度も読み直すことだろう。
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146回の直木賞受賞作。久しぶりの時代物だった。いつの時代にも派閥や足の引っ張り合いがあり、良い者が勝ち残る訳ではなく、得てして悪い者や策略家が勝ち残ったりするものだ。何人も心惹かれる秋谷の生き様に心惹かれ、また、監視役でもある庄三郎にも共感を得た。最後は少し残念でもあったけど…。