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『百合のリアル』という題ではありながら、所謂「百合」の話はほぼ無く、レズビアンについても後半にやや詳しい話が出る程度。「モテるとはどういうことか?」という単純な問いから始まり、「集合体ではなく、個人として自分や相手、社会を見ることが大切」という結論に達する。つまりこれは、LGBTをきっかけに人生について考え始めた人への人生指南書のようなもの。と、いうわけで、二次元ではない三次元という意味で「百合のリアル」を知りたくて読むと拍子抜けするかな。ホモとかゲイとかレズビアンってどーいうこと? って人はもちろん、人間関係むずかしーい、或いは僕って何状態の人にもおすすめ。セクシュアリティよりパーソナリティ、という、界隈では有名なフレーズが、以前よりぐっと説得力を持って聞こえるようになる。
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これまでクィア理論やゲイスタディーズはゲイ男性の側から語られることも多く(語られたとしても多くはフェミニスト女性の立場からだった)レズビアン女性は長らく沈黙の時代が続いていたので、違和感を覚えるセクマイ女性も多かったことと思う。その意味ではこの本はかなり画期的な著書と言えるのではないだろうか。牧村さん自身の体験も交えつつ、対話形式でLGBTについてより細分化された基礎知識が語られている。セクシャリティについて悩む思春期の子たちにも読んで理解を深めてもらいたい一冊です。個人的には泣けた。
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LGBTQの本棚から
第40回「イメージはイメージ、個人を見よう!」
今回紹介するのは『百合のリアル』(牧村朝子)です。
この場合の百合というのは花ではなくて、女性同士の恋愛のことを指します。
百合=女性同士の恋愛
薔薇=男性同士の恋愛
GL(ガールズラブ),BL(ボーイズラブ)とも言ったりします。
まあこの表現は実際のことより、漫画やアニメ関連のことに使われる言葉という印象です。
本の紹介に戻りますと、この本は、とある講座の先生と4人の生徒の対話形式で、ちょこちょこ漫画をはさみつつ書かれていて
『モテるとはなにか?』
から始まります。
そこから
・ジェンダーロール(性役割)
・異性愛規範、異性愛主義
・自然界での同性愛
・性別の定義って?
などなど…
いろいろなことを考えていくんです。
まずは『ジェンダーロール(性役割)』
性役割とは男は、女はこうあるべきだというような性別によって持たされる役割のことです。
「男性は働いて、女性は専業主婦」みたいな……。
この考え方、セクマイじゃなくても嫌だったりしっくりこない人も少なくないのでは?
こういう役割や『オス/メス、男/女』という二分法にとらわれてしまうと、その中での個体差を見失ってしまって
『自分はこうあるべきだ』と思い込んでしまったりするそうです。
社会的な役割はあくまでイメージであって "決まり" ではない、ということを忘れないようにしないと……。
『男だから奢ってくれて当然』
『女だから男をたてないと!』
と思っていて、相手がそうしてくれないとイライラする……、なんて誰も得しないし、バカらしくないですか?
イメージはイメージ、相手は個人。
目の前の、生きて実在している人を尊重するほうがずっと大事なのでは?
といってもそんなイメージに囚われて相手個人を見られない人がたくさんいるのが悲しい現実です。
大切なのは
『集団の傾向や関係を、あくまで集団のものとしてとらえ、個人に押し付けないこと』
です!
そういうことを言われてムカついたら
「あなたにとってはね!!」
と心の中で(口にしてもいいですが)言ってやると、効きますよ(笑)。
さて次の話は僕が最近力説された話が関係してきます。
恋愛の話から性欲がどうとかの話をしていて、その人は
『種の存続が生命の第一の存在理由だ』
『だから子孫を残さないのは生物として間違ってる』
といいました。
僕は
「でも性欲がないひとも一定数いますよね」
とささやかな反抗をしてみましたが
『大多数の中での少数は異常になる』
そうです。
(あなたにとってはね!)
僕がFtMと知っていて言っていたら相当性格が悪いと思いますが多分知らないと思うので、純粋にそういう考えの人なんでしょう。
確かに大多数の中での少数は異常ともとれますけど、大多数の中で少数であったところで何か問題があるかと考えると、僕は特にないように思い��す。
だから何か言われたからといって、自分を責める必要はないでしょう。
少なくとも僕はそう思います。
余談ですが同性愛は人間だけ!
という人がたまにいるんですが、450種の動物に同性愛的行動が記録されてるそうです。
自然界に存在するなら、同性愛もまた自然の一部なのではないでしょうか。
最後に
『女性って誰ですか?』
という話題が出てきます。
『女性器がある人ですか? 子どもを産める人ですか? 戸籍に女性って書いてある人ですか? 女の格好をする人ですか? 自分を女性だと思っている人ですか? あなたにとって女性だと思える人ですか?』
う〜ん…
そう聞かれると明確な基準ってないよなあ…
僕は戸籍上は女性だけど、僕に会って女性として見る人はほとんどいないと思いますし…。
つまりそんなものは曖昧で、個人の見方や解釈によって大きく変わるものなんですよね。
だから大事なことは
『相手を個人として考えること』
『自分のことも個人として考えること』
だと、この本は教えてくれました。
この本のはじめに
『この本は、レズビアンのためだけの本ではありません。同性愛者の自伝でもありません。』
とあります。
読んでみると確かにそうで、誰が読んでも何かしらいいヒントが得られそうに思います。
特に
・ジェンダーロール(性役割)に疑問を持っている人
・自分の性のあり方に悩んでいる人
にはオススメです。
もちろんそれ以外の人も、教養として新しい知識を身につけたいかたにも……。
学校図書館に置くなら中学校からがいいかなーと思いますが、ちょっと難しそうな、見慣れない漢字にはルビがふってあるので、小学校高学年でも読めると思います。
ぜひ読んでみてください!
2018年03月12日
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牧村朝子さんが「モテる」という言葉から「セクシュアルマイノリティ」について解きほぐす本です。もともと「百合」「星海社」というキーワードで、創作系の「百合」という意味だと勘違いして読んだ本でしたが、読んで良かったと思いました。全体的に軽いノリなのですが、内容はいたって真面目。同性愛に賛成か反対か別にして、誰もが知らなければいけない、また考えないといけないことだと感じました。読みやすいので、ぜひ若い人に読んでもらって考える糸口にしてもらいたい。タイトルは勘違いするので、もう少しなんとかならなかったものか。
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レズビアンのことが分かるという期待を超え、自分とは何か?を問いなおせる本。LGBTやセキシャリティに疑問を持つ人は、この本を読むことで何らか得られると思う。
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無知に怯えるのは、誰しも同じなんだなーと思いました。
指紋ほどに性とは多様なものだけれども、
一人ではない「属するものがある」と知ることは、
私にとってはすごく大切でしたね。
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とても勉強になる一冊。小学生の教科書にしてもいいのでは。人と関わる上で必要なことがここにあります。
セクシャルに関する分類がたくさんあって、そんなに名前が付けられているのかと知りました。名前がそんなにあることも驚いたし、それに当てはまる人がいるということを知りませんでした。
この本で伝えられているのはカテゴリで分けないで、その人をその人として見るということ。
私は今それができていないと思います。LGBTに関する本は読んできていて理解がある方だと思っていました。しかし、染み付いた異性愛主義を捨てることは難しく、今周りの人間を傷つけていないか心配になってきました。
【人間は、理解できないものを恐れるものだから。その未知への恐れに、名前をつけることで理解した気になり、他者とイメージを共有した】
本文中の一文です。その通り過ぎて心に深く刻むべきだと思いました。
何度も定期的に読み返し、この本が伝えたことを忘れないようにしなければと思います。
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性別は男と女だけではないし、恋愛対象もヘテロだホモだと割り切れるものではない。多様な性についてライトな対談形式と、筆者の経験や考えなどがよくまとまっている。名前をつけて自分と切り離し、分かった気になり、イメージを共有する。妖怪発生のメカニズムと同じだと筆者は言う。「わからないものをわからないまま置いておくのは恐い。人間は、理解できないものを恐れるものだから。その未知への恐れに、名前をつけることで理解した気になり、他者とイメージを共有した、それこそが妖怪の正体だ」この部分がとても印象的だった。