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内閣参与で京都大学教授の藤井聡氏が国家強靭化のPJについてその必要性とプログラムの内容をわかりやすくしるしたもの。メッセージ性が非常に強く、意義深い良書。
<メモ>
・国土強靭化基本法が2013年12月4日成立している。これは国土強靭化にかかわるあらゆる国内計画の上位計画として策定されるもの。この中で策定された45の国家プログラムについて、この本は記されている
・リスクマネジメントサイクル①リスク(危機)を想定する②リスクが生じたときにどんな事態が生じるかイメージする③事態に対応するために必要なプランをたてる④プランを実行する→①へ。
・12の分野に分割してリスクを検討されている
①行政機能、警察消防②住宅・都市施設③保険医療・福祉④エネルギー⑤金融⑥情報通信⑦産業構造⑧交通・物流⑨農林水産⑩国土保全⑪環境⑫土地利用
・最悪の事態は8つに分類①国民の生命が失われる②救助・救急ができない③行政が停止する④情報通信ができなくなる⑤経済活動が停止する⑥エネルギー供給、交通などが途絶える⑦深刻な二次災害が起こる⑧地域が再建できなくなる
・超周期地震動により超高層ビルが大きく損壊する可能性があるという試算がある。
・日本の行政を横串を使いながら、平時のみならず有事も、想定したものへと徐々に変質させていこうとする試みが国土強靭化という試み
・新しい基準で建てた建物でも震度6や7では倒壊することがある。木造
・ハザードマップに記載する情報は1つの可能性でしかない。
東日本大震災のとき、最も多くの死者が出た地点は、ハザードマップで「津波がくる」と言われていた地域のすぐ外側の「津波がこない」とされていたエリアであった。
二つのことが示されている
①ハザードマップで安全とされていた土地の人はあまり逃げなかったいうこと②ハザードマップで危険だとされていた土地の人々が安全だとされていた地点まで逃げて、それ以上に高いところに逃げるのをやめたということ。
ハザードマップは一定程度の危機感を誘発するうえで重要な意味をもつ一方、それを信用し過ぎることでかえって被害を拡大してしまう可能性が存在しているということ。
・ハザードマップはそれを理解すること、そしてその次にそれを過信せず、最善の行動をとり続けることが重要である。
・リスクコミュニケーションこれが、国土強靭化を国家プロジェクトとしてすすめるにあたっての成否を分ける最も重要なものである。各主体の取り組みのレベルはすべてそれぞれの週田の「危機意識」の水準に直接依存しているため。
・リスクコミュニケーションは国民の危機意識を正しく喚起することを目的とした取り組みであり、強靭化の取り組みを活性化することを図るもの。
・その結果日本の長期的な経済成長を促す抜本的な推進力になることが期待される
・特にこどもへの教育を担当している文部科学省が重要とされており、様々な科目で連携して教えていくこととされている。
・また、政府は災害について適切なコミュニケーションを図ることができる「人材」の育���も注力しようとしている。