紙の本
映画にもなった作品
2021/02/27 05:52
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:くみみ - この投稿者のレビュー一覧を見る
映画にもなったイヤミス代表のような、悍しいけど神秘的にも思える不思議な作品。描写がやけに美しく、恐ろしいことも神聖な儀式に錯覚させるのが凄い
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主人公が実家の書斎で発見した4冊のノートに記された、謎めいた手記からストーリーは始まる。
『イヤミス』にカテゴライズされることが多い著者ではあるが、真梨幸子や湊かなえに比べるとすっきりした終わりを迎える傾向があるように思う。この『ユリゴコロ』も、一種のハッピーエンドと言えるラスト。
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ユリゴコロと題された殺人の告白文が書かれた4冊のノートを見つけ、その真相を主人公が探ろうとする話。
告白文の内容がグロテスク。
でも、最後に真相が分かり、ある意味ホッとする。でも、何だかせつないなぁ〜。
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瀕死の犬をどこかへ運び、戻って手を洗いながらいつもと同じ微笑を浮かべる…たった数行のこの文章で、細谷さんの印象がガラッと得体の知れない怖いモノに変わった。その怖さを引きずりながら辿り着いた結末に呆然。けれど涙ぐむ感動がある不思議。まさに「家族の愛の歴史。憎しみはどこにもない」という弟の言葉に集約される。
二人にしかわからない狂おしい愛、母の愛、家族の愛、異常さの中に様々な愛が溢れている希有な作品。
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主人公が実家で見つけたノートに克明に記されていたのは、どうしようもなく歪んでいる女性が、ユリゴコロに翻弄されて殺人を繰り返した後に、狂おしいほどに一人の男を愛した様を描いた生の記録であった。読み進めるにつれて肌が粟立つのがわかった。冒頭から中盤までの暗鬱な印象を受け、どんな陰惨な結末が待ち受けているのかと気が気ではなかった。けれどラストは目を背けたくなるようなものではなく、ほうと一つ息を零してしまうようなやさしいものだったように思う。歪んだ女と歪んだ男。そのひずみが丁度パズルのピースのように合致して、作り上げたのはしあわせのかたちだった。この作品がどういうものかを語るにはとてもではないけれど言葉が足らない。読まなければわからない何かが確実にある。
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最後に、ええええー、そこー!!
ってなった。
冒頭のぬめぬめした感じとか、
暗い感じが少しだけ救われたラスト。
でもちょっと現実味がないかなぁ。
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ネタバレ注意です。
あのノートに書かれている告白、狂人界の中では割とあり触れた内容だなあ、なんて思っていました 笑
けれど、ただの殺人快楽者として終わらず、きちんとキャラが乗ってて良かったです。
それから、その告白の終わりにもう一つのどんでん返し。おおスゲえと思いました。なんの疑いも持たなかった。
終わりも綺麗だし、読んで損はないです。
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気色悪い本。
ラストは鳥肌がたって、すごい!と思ったけど、やっぱ気色悪い。
何を思ってこの本を書いたんやろうか。
ただ、出産前に読んでたらすごーいで終わってたとは思う。
母親は何のうのうと生きてんの?って腹立った。まあのうのうではないんやけどさ。
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大ファンの沼田まほかるさんの超話題作が待望の文庫化。
一気読みでした。
物語は、主人公の亮介が立ち寄った実家で「ユリゴコロ」と題された4冊のノートを偶然発見するところから始まります。
そこには、殺人の生々しい告白がつづられていました。
それだけでもうページを繰る手が止まらなくなります。
書き手は誰なのか、自分の母は、家族は…。
おっと、あまり書くとネタバレになるので止めておきます。
そこに亮介自身が抱え込んでしまったトラブルも重なって、読み手を終始興奮させます。
解説の瀧井朝世さんは
「勘のいい読者なら、途中で隠された事実に気づくはずだ」
と述べていますが、鈍感な私は気づきませんでした。
そして、驚愕のラスト―。
してやられました。
私は、まほかるさんの本はすべて読んでいますが、人間が持つマイナスの感情に働きかけて、これでもかこれでもかと抉り出すような描写が著者の真骨頂だと感じています。
本書はそうした執拗なまでの描写がやや影を潜めた感が個人的にはしていて、これまでの作品と比べると淡泊ですが、その分、リーダブルです。
それよりも、不気味な殺人を愛にまで昇華させる手腕は見事というほかありません。
いや、ほんとにすごい、まほかるさん。
次回作も楽しみですっ。
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個人的には恋愛要素が一番強く印象に残る本でした。殺人は決して許されない事だとはわかっていても、完全に否定もできない。特に中盤からの心の揺れが温かくて切なくて、それはもう読んでいて苦しくなるほど。ラストは二人の言い知れない歴史を感じました。なるようになったというか、なるべくしてなったというか。運命だったのでしょうね。
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初まほかる作品読了。これぞ小説でしか味わえない不思議なストーリー。自分の中にもまほかるブームがついに到来してしまった。
2012年本屋大賞ノミネート作品
第14回大藪春彦賞受賞作品
タイトルにある「ユリゴコロ」ということばがもつ感覚は、もしかして読者一人ひとり大きく異なるかもしれない。
主人公の亮介は父の書斎の押入れから白いハンドバッグと遺髪と4冊のノートを発見する。
不吉な予感がしながらノートを読み進めていくとそこには驚愕の内容が書かれていた。その内容は、はたして事実なのか、それとも空想なのか。
ノートの中の殺人者はもしかして自分の母なのかという絶望的恐怖が亮介に襲ってくる。
解説にもあるように、前半部分で実行される殺人と後半部分に登場する殺人とは同じ殺人なのに殺人者の心理面が大きく異なっていることがわかる。
残虐な殺人が実行されるミステリーでありながら、なぜかやさしさに溢れた人間味あふれた結末。
現実ではありえないことだらけではあるものの、でもそこから見えてくる家族への思いや愛おしさが切ないほど伝わってくる。
これが「まほかる現象」なのだろうか。
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キモオモシロイ話だった。
前半と後半とで、途中から読んでいる感触が変化する不思議な小説だと思った。前半は気色の悪いサイコホラーで読み進めるのも気が重い殺人告白文、後半は家族愛に満ちた善人たちが犯してしまう犯罪ドラマである。
吐き気を感じながらノートに書かれた告白文を読んだ。そこには人間性のカケラもない人間のできそこないによる犯行が淡々と描かれ、救いのなさを感じてしまう。一転、ノートを読んでいる主人公の現在の物語は、人間的な強い結びつきを中心に描かれ、そこで起きてしまう殺人までもが、愛の物語を紡ぎ出す。全体を流れるのは、心のないただの人型が、アナタに出会ったことで、人間になった物語。
人間になれて良かったね。
はじまりからは考えられないエンディング。見事だ。
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すごい。こんなに前半と後半で感じの変わる小説もそうそうないのでは。
読メ仲間さんが立て続けに読んでいたので、つられてポチッと。なんとなくグロ系な方かなと思い、ちょっと避けていた作家さん。ということで初読み作家さんです。
恐い系からと思ったら全然、最後は愛ですよ。家族愛全開の終盤。表現とか行動とかが普通ではないけど、でも家族愛故の表現であり行動であり。じぶんのためとかわがままではないのですよ。なんだかやられた感。洋平の言葉、「家族の愛の歴史、憎しみはどこにもない」まさにその通り。印象深い読書になりました。恐ろしい子、まほかる。
ユリゴコロ。はじめのお医者さんの話のシーンで「はーん、拠り所のことか。これを解明していく結末か」などと浅はかにも予想していたら、そんなことは早々に本人により解明。拠り所とわかってもユリゴコロはユリゴコロと。
前半は、気持ち悪いというか嫌な気分になりながらでした。殺人者の日記みたいなものですからねえ。でも、当人に罪の意識がないというか、淡々と記されているため、「もうダメ」とかそんな感じではないです。でも、そこから「アナタ」に出会ってからの文章が変わるんですよ。このガラっと変わった表現が、すごく伝わってきて。人って変われるんだなあ、というか。作中では4冊のノートを読むことで、主人公が殺人鬼の回想をしていくスタイルですが、そのノートの3冊目からは、読みながらチョイチョイ涙ぐみ。ノートの3冊目、4冊目を読むためにこれまでがあったんだ。
そしていつしか殺人者の独白から、父親が語る後日談。そして現在の亮介と千絵の話に。この父親すなわち「アナタ」も数奇な運命というか稀有な人柄というか。まさか美紗子が生きていたとは。いや、細谷さんの描写でもしかしたら、なんて思っていたら最後はそのまんまでしたね。
でも、ノートのわたしと細谷さんは全然別人ですねえ。妹の英美子があまり救われなかったかなあ・・・
沼田まほかるさん、気になる作家さんになってしまった。いつか他の作品も読んでみよう。
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文庫化心待ちにしてました。
この本の素晴らしさをどう表現したら良いのか、その言葉が全く思い浮かびません。
ただ中半から後半にかけては胸が苦しくて、痛くて、読み進めるのがとても辛くて、溢れる涙を留めるのに苦労したことは覚えています。
話の内容を話すとネタバレになってしまいそうなので触れませんが、前半はホラーミステリー、中半は恋愛、後半は家族とそれぞれテーマが違うように感じました。
しかし話に一貫性を持たせ、スムーズに話を展開させていく文章の巧みさ、感嘆しました。
そして登場人物がとても魅力的です。
特に手記に出てくる『アナタ』という人物の言葉一つ一つが胸に突き刺さり、そのたびに心が震えました。
そしていつしか手記の主に感情移入している自分に気づきました。
後半に進めば進むほどに。
特殊な環境で特殊な人生を歩んできた人物なのに何故かしら共感できる部分が多かったです。
不思議ですね。
そして読後には思わず深くため息をつきました。前回はどうだったか残念ながら覚えていませんが、既に一度目を通してる安心感からかもしれません、今回やってきたのは幸福な気持ちそのものでした。
ハッピーエンドともバッドエンドとも受け取れるこの終わり方は、読者に負担をかけず、かつ印象付ける最高の終わり方だと思いました。
沼田まほかる先生、大好きです。
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雷に打たれたような衝撃はなかったけれど、一冊目二冊目の手記の内容は読んでて怖くてたまらなかった。背筋がぞわぞわして、途中で辞めたかったけど、何とか読了。