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根性で通読。多岐に渡る内容で、難しかった。音楽関係で関連をみたく、もう少し調査を継続。類書をあたり、再度本書を読んでみたい。数理を楽しむシリーズなので、数式やら物理モデルも少し説明に入れれば、よりわかりやすくなる。
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ひとくちに同期現象と言ってもこの世界には非常に多彩な形態がある。群れで明滅を繰り返す蛍、惑星と衛星による自転と公転、そしてヒトが織りなす流行の伝播。様々な興味深い事象を紹介しながら数理科学の醍醐味を数式なしで説く好著。
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この本が出たとき、表紙が素敵だったのが印象に残っている。初版からは少々時間が経ったが改めて手をとった。
ホタルの同期現象がなぜ起るのかというところから書き起こしているが、昆虫生物学の本ではない。複雑性の理論の本だった。(ホタルがなぜ同期して光るのかは自分にはわからなかった...)
「同期(Sync)」ということをキーワードにして、生体の同期現象だけでなく、ジョセフソン素子で有名な量子現象や6次の隔たりで有名になったスモールワールドネットワークまで射程の幅広さを誇示するかのように話題を振っている。
はっきりいって、本書の議論は自分にはあまり刺さってこなかった。カオス理論・複雑性の理論とは相性がよくないのかもしれない。
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著者スティーヴン・ストロガッツは、『偶然の科学』のダンカン・ワッツの教師であると共に盟友で、おなじように複雑系科学の大御所の一人、であるらしい。
この本で提起されている「同期現象」は、たとえば、
・一斉に光る蛍。
・数百万の脳細胞が病的に同期することによる、てんかんの発作。
・レーザービームに現れるコヒーレンス。
・心臓に備わるペースメーカー細胞。
・月の自転は地球を回るのと全く同じ周期による。
・ルームメイトなどのごく親しく共に多くの時間を過ごす2人の女性がときどき示す「月経同期」。
こうした自然界に多数見られる「同期現象」という謎を、ストロガッツは生地に解説していく。
確かにこれは興味深いテーマだ。
無数の要素がめいめい勝手な動きをやり、入り組んだ相互作用を見せる複雑系「カオス」は、ここで驚異的な「自己組織化」現象を示すわけだ。
こういった現象は、人間にとっては極めて理解しにくいパターンである。
この「同期」という考え方を援用すれば、流行や集団ヒステリーのような、人間の社会集団の「同期」現象を解き明かすことができそうだ。しかしストロガッツは、このことにちょっと言及するものの、専門外であり、かつ、心理学分野で確固たる定説は生まれていない、として、深追いを避けている。
互いに同期するための装置として「振動子」という(架空の?)概念が登場するが、思うに、人間の脳内にもこれがあるのではないか。ミラーニューロンよりもさらに驚くべき発見が、やがて脳科学に出現し、社会的な同期現象を解く鍵を示すのではないか。私はそう期待したい。
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完璧に同期して明滅するタイの密林に群生するホタル。常におなじ面を向けて自転公転する月。生き物であろうとなかろうと自然界にはシンクロすることが多い。人間の体内時計も昼夜にシンクロしている。ブームもある意味シンクロであると考えると、そのメカニズムを理解することはとても重要。ポイントは隣人への影響力であり、弱いネットワークの強い力であり、いかにティッピングポイントを超えるか。
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「非線形科学」という聞きなれない分野の第一人者による著書。とりあえずハヤカワノンフィクションだから買っとくかという動機もなくはなかったが、とにかく表紙が美しいのでジャケ買いしたといた方が正確か。
ホタルとコオロギ、脳波、睡眠リズム、交通渋滞からコンサートの拍手、スタジアムでのウェーブまで、とにかくシンク!そして『偶然の科学』でおなじみダンカン・ワッツも過去の共同研究者として登場するあたりが楽しい。ローレンツの「あの小さなモデルのことかね?」というのもワロタ。
線形と非線形については、たとえ話を交えながら3ページほどで説明しているのだけど、非線形どころか数学のことはよく知らない自分でも良くわかった。それにしてもあらゆるものがシンクしたがるように振る舞うってほんとすげえ。
p320
線形方程式とは、結果が原因に比例し、応答が加えた力に比例するという、単純かつ理想化された状況を記述するものである。
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ホタルの発光同期や,人間のサーカディアンリズム,などの非線形の同期現象を扱った本.著者のストロガッツも翻訳者の蔵本も,この分野の第一人者.
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ホタルの発光の同期,体内時計の同期から始まって,量子物理学に進み,カオス,複雑系ネットワークから,さらに人の脳と認知まで議論が展開するとは思わなかった.
最初の方は,内心「だからどうした」と思いながら読んでいたが,同期現象がこのように幅広い領域で観測されるものと知って驚いた.
面白かった.