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文章を書く人は一度は読むべき本。著者の説く作法だけでなく、様々な「実験」や、これまでの著者の(当然だが膨大な量の)読書履歴から、参考となる読んでみたい本も見つけられる美味しい本。
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筒井康隆が好きなところが実験的な作品の部分なので、面白く読みました。繰り返しのところ、ダンシングバニティのところが一番最近だからかリアルに読めた。蓮見さんの話は出てくるけど、オペラオペラシオネルの話は出てこない。反復を使った小説としては、高橋源一郎かこれかなと私は思います。そして、小説の可能性はここらあたりにあるのかな。コラージュとか、列挙とか、それらを入れるコンテナとしてもうまく機能する気がする。
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ある程度御大の本を読んで来た方なら分かると思うが、本書は本当にこれから創作を始めようという者が読んで心底膝を打ち開眼する類のものではない。寧ろ語る御大のその声音に心地よく酔う為の本である。為に大半はすでに何処かで聞いたことのある内容であったり語り口であったり論調であったりしてもそれだけにファンは却って喜び安心する。御大も今やそういう存在なのだと一ファンは奉っているのだ。
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とにかく面白い。著者の小説に関する恐ろしい博識と深い考察が軽妙な文章になっている。
ただただ、小説がいとおしくなる一冊。
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エッセイ形式で、小説の「凄味」「色気」「文体」「反復」とテーマごとに実例をあげながら解説してくれる。新しい形式の文章読本ともいえるかも。しかも筆者らしいユーモア満載で楽しい。こんなに手練手管を駆使しているものかと感心しちゃう。同時に解説されて初めて「そうだったのか」と分かったりする。作家のみなさん「ごめんなさい」。
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自分は作家ではなくライターなのであって、本書を読むとこの両者の距離は1000光年ほども違うということがわかる(本書を読まなくてもわかってたけど)。
それはともかく、プロの作家が全員、本書のような心構えで書いてはいないであろうが、少なくも著者が本書で説いている半分でもできていれば立派なプロの作家ではないか。
また、本書を読んでわかるのは、「創作」とはアウトプット(書く)はもちろん、インプット(読書)の大切さであって。というのは、著者が本書で紹介している小説とその解説は格好の書籍レビューとなっており、よき書き手はよい読み手であるということを痛感させられる。
よい書き手ではない自分はだから、少なくともよい読み手になりたいものである、と思った次第でございます。
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小説作法の本だが、その姿勢はもろもろの創造活動に敷衍できる。考えてみれば自分はこの人から、大勢が喚き立てる意見に対する懐疑、未開の地を拓く姿勢の貴さ、リアリティを生む正直さなどを学んだ。誰しも原点があると思うが、これは自分の零座標のような本。
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文学理論の本というよりは、文学理論にまつわるエッセイ。気楽に読める。その割に結構本格的なことも書いてあって勉強になる。特に長いキャリアに裏打ちされ、実験的な小説を多く試みている筆者の経験に基づいた本エッセイはかなり興味深いものが多くあった。
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プロの作家、また作家を目指す人へ向けて書かれた文芸理論エッセイ。本作を読むとますます、安易に小説を書いてみようなどとは思えなくなる。そのくらい小説を書くには覚悟が必要なのでは、と思った。その覚悟が、本作で最初に取り上げられる作家の「凄み」に繋がるのかも。作家歴六十年になる筒井先生の実践的かつ親切な教えは、小説を書かない、書けない私にも面白く、また本作がきっかけで今後自分の読みが深くなればなぁ…とも思うけど、それはまだまだ難しそう…。
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“要するにどうでもいい” 本書で最も目にした単語では無いだろうか(後半は減ったが)。それではこの指南書に意味は無いかといえばそんなことはない。著者の膨大な読書量とそれに裏打ちされた知識と実体験としての無数の執筆体験が詰め込まれている。そして、その上で発せられた“要するにどうでもいい”は重い。
本書は指南書だが、内容そのもの以上に、作家志望者に対して「ここまでの覚悟があるのか」「こんなのを気にかけないほど書きたいものがあるのか」というのを突きつけてきている気がする。それこそが書き手にとって最も大事な指南だ。
余談だが。これだけの教養すらハッタリではないかと思える著者のキャラがまた素晴らしいな、と思う。ワシももっと勉強して、経験を積んで、深い知識の上にさりげない教養を出せる人間になりたいものだ。
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妙な思い込みをしていてそれは筒井康隆の作品はあらかた読んだという思い込みであって確かに1980年代にはそうだったかも知れないが以後たいして読んでいないという事実をどこかで否認していたとしか思えず筒井康隆作品全体を見渡したら既に私が読んだことがあるのはごく一部に過ぎないのだという事実に直面してついつい買ってしまった別にこれから文学新人賞を目指そうというわけではないのだが。
筒井康隆はことし齢80となるはずだが本書は作家としての遺言だといい対象はプロの作家になろうとしている人プロの作家すべてだという。が「単なるエッセイ」だというので評者が読んでもよかろうし大体書店で一般に販売しておったわ。山藤章二の装丁はいつもながら胡散臭い雰囲気が漂っているので誰もこれで小説が書けるとは思うまい。たとえ帯に町田康(52歳男・作家)とか伊坂幸太郎(42歳男・作家)が推薦文を書いていようとも。ただ「小説作法」のようなもののアンチテーゼを意図しており安直なノウハウでない小説とはこういうものだとか創作とはかくあるべきだとかといった筆者の思いが込められており頗る面白い。
各章は漢字二文字の題名に統一されており「凄味」では小説にはすべからく凄味が必要としつつ「死」や死に直結する「恐怖」を描いたからといって凄味が出るわけではないと述べて次の「色気」では「死」や「恐怖」は案外色気と結びつくと切り返す。そうした内容であるが後はバラすまい。
筒井康隆自身の実験的小説の解題的な記述もあって評者は未読の筒井を読んでみる気になった。そういえばかつて『虚構船団』途中で力尽きていたのであります。
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“これは、作家としての遺言”
『時をかける少女』『家族八景』等で知られる日本屈指の文豪、筒井康隆が送る正しき文の書き方作法。小説とはいかにして成り立つのか。自身の経験談も含め、多岐に渡る項目に分けて丁寧に語られる珠玉の指南書。
・凄み
凄みがあってこその小説。それは、読み手と相容れないかもしれないという不安感が与えてくれるもの。不条理感をくすぐるような独特の感覚。作者自身から滲み出る唯一無二のその凄みを存分に示すこと。
・語尾
「です、ます」なのか、あるいは「である、だろう」。文章を構築する上で、全く同じ語尾を繰り返さないことは重要。ここを疎かにしてしまえば、その文は一挙に陳腐な、子供の作文の様になってしまう。
・羅列
名詞の羅列は状況を表現するポピュラーで効果的な描写法でありながら、一方で実験的な側面にも用いられる。人名の羅列のみで一篇の作品を書いたこともある筆者だから分かる、その苦労。取扱注意。
以上の他にも「表題」「視点」「諧謔」など、読んでいると当然のようで、でも目から鱗の創作技術も。場合によっては実際の文章を引き合いに出して説明してくれるという、実に分かりやすい説明。最後を締めくくる愚痴交じりの作家としての不幸も面白い。全ての作者と読者、読んで損なし。
そんな一冊。
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92創作の極意と掟 筒井康隆
・良い作品に共通するポイントを列挙している
→良い作品について言及されているので、その作品に触れるいいきっかけとなる本
・作品に対する批判を予防するための言葉が前書きで大量に出てくる
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作者名と作品名を見て、面白い本に違いないと思ったら、やっぱり面白い本だった。
読んだら書きたくなる一冊。
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二字熟語をキーワードに、筒井康隆氏が作家としての自身の心構えと掟を説く。本書を読むと彼が読書家で勉強家かが分かる。そして心から小説を愛し、作者として時には読者として作品へ遊び心や技法をふんだんに散りばめ、実験と試行錯誤を繰り返す様が伺える。
小説作品で見せる彼とはまた違う一面が見られる著書である。