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二転三転どんでん返しの連城三紀彦。
とある映画スターのマネージャーがある夜、むしゃくしゃしながら一人で飲んでいるときに印象的な美少女と出会う。
彼女に興味を持つが実は彼女は美人局で…。
ちょっと、ネタバレ!と言うなかれこれは序の口のひっくりかえしに過ぎない。
そして、その際に彼女の兄と名乗る実は情人らしい男に彼はスターを育てないかと持ちかけるのだ。
ええこれもひっくり返しで、彼がスターにしようとたくらむのは美女ではなくその恋人の方。
もちろんここまで1/3にも達してないので、まだまだひっくり返します。
最後の最後までひっくり返しますので浜村淳ほどのネタバレじゃないよ。
そして、この作品の魅力はこの魅力的な三角関係。
連城三紀彦のお得意のコケティッシュで退廃的なのにどこか健気な美少女めいた美女。
イメージは橋本愛で読んでました。(本当はもちょっと歳いってる)
自滅的で一途な男二人。
この三人が誰に惹かれてるのか誰に嫉妬しているのか、本人たちもわからなくなるほど雰囲気がエロい。
セックスを書かない耽美的なエロさ。
ピアスのシーンと男装のシーンも行為そのものじゃなくてその動機がエロい。
なのにいじらしい。
ここまで読むとわかると思いますが、同性愛ネタ出てきますので(ベッドシーンは省略してる)苦手な方は避けてください。
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文庫化されていたので再読。ある夜出逢った三人の男女は、芸能界に一人のスターを生み出すために手を結ぶのだが……。
読者を誤導する連城ミステリの手際に酔いしれる。もう嘘つきしか出てこないんだもの。騙し騙されの虚々実々の駆け引きや、めくるめくドンデン返しの連続もさることながら、苦く切ない幕引きも見事。
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巨星墜つ
不世出の天才作家がめくるめく騙しの迷宮に読者を誘う「このミス」ランクインの衝撃作
大スター「花ジン」こと花村陣四郎のマネージャー・北上梁一は、ある夜に一組の男女と出会った。
秋場という男と鈴子というその恋人に、ある話を持ち掛けることになる。
「ある人物」を大スターに仕立てあげるという夢だった。
花ジンのポジションを奪い取り、さらに上に行くために計画を練る北上だったが……。
この北上と花ジンの攻防のシーンだけでも実に読み応えがある。
このあと全体の3分の2あたりで見事などんでん返しをさく裂させてくるが、話はそれだけにとどまらず、
男女3人の思惑と愛憎が絡み合っていく。
ラストシーンと余韻が実にすばらしい作品。
解説は千街晶之氏。著者の逝去後初の文庫化作品ということで、約6ページにわたって著者の作品と系譜を簡潔にかつ丁寧にまとめている。
「連城ワールドの住人たちは、自分の本心を噓や偽りのかたちでしか表現出来ない宿命を背負った不幸なひとびとなのだ。」
「嘘を必要とするのは、不幸な人間だ」
といった解説も実に秀逸。
ミステリ :☆☆☆☆☆
ストーリー :☆☆☆☆☆
人物 :☆☆☆☆☆
文章 :☆☆☆☆
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語り部が一人称から三人称へ変わるにつれ物語の様相も変わっていく。スターのマネージャーが裏切って自分を陥れようとしたヤクザまがいをデビューさせようと目論む。そこからは時系列も入れ替わり次々と展開していく様が面白い。
昼メロのような雰囲気もあるが、小説ならではの仕掛けがあり楽しめた。
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このミスベスト10 2004年版9位。久々に普通に面白い小説読んだ。TVドラマに似合いそうなやつで、次々と盛り上がる場面があって飽きない。さくさく読める。それでも、意外性を求めるあまりちょっとストーリーひねりすぎの感があって、中盤、訳わからななってくるのと、理解させるための説明がくどすぎて中だるみになるとこああった。まあ、あんまリアリティもなく感情移入もできないけど、娯楽小説としては許容範囲内かと。白川道の小説の雰囲気もあって好きなタイプの小説。この人の本の中では一番よかった。
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毎年この時期は「おすすめ文庫王国」を買って、昨年読み落した本から面白そうなものを見繕うのだけれど、今年も3冊選んでみた。その内、このお話を今年最初の本とする。
B級シネマのような安っぽさが今ひとつだけど、うらぶれた雨でネオンが滲んだような情景の中で展開されるお話は思いもかけない展開を見せ、その奇抜さや技巧に先を読む手を急がされる。
男2人の関係に女が行きつ戻りつする三角関係も得体の知れない色を醸し出し、辿り着いた終章の侘しさに余韻あり。
一昨年亡くなったこの作者、私は初めて読むのだけれど、解説を読むと他の作品もなかなか面白そうに映り、新作に見えないのは確かに残念。
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斜め読み。芸能界のスター俳優のマネージャーが別の男をスターにしようと画策していくが周りは嘘つきばかりで…話が二転三転しまくりで飽きてしまった。意外な真相より話の大筋が面白くないと読み進めるのが面倒だ。
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お互いに騙し合う話。何回も繰り返されるので、最後まで真実が掴みにくかった。
個人的には連城三紀彦さんの作品は好きだけど、この作品はピンとこなかった。
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まさに連城節炸裂。
冒頭の一人称からいきなりの三人称。
その後、交互に語り手が変わる展開は、
もちろん連城センセイの罠だと分かっていても、
どこにそれが仕掛けられているのか見えてこない。
それ以上に、メイン登場人物3人の行く末も
気になっていたし。
中年のマネージャーと、彼と知り合った男女の
3人の物語。
なんとも切ない余韻のあるラストが素晴しい。
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「流れ星と遊んだころ」連城三紀彦著
この作家って常にものを斜めから見ているんじゃないかと思うほど、次々とえっ!っと思わせるストーリーを展開してくれる。そして、文章が格好いいというかうまい。サラッと流れるような文章で気持ちが良い。具体的にどこがと聞かれてもなんとなく、って言う感じだけど惹かれる。
登場人物に「鈴子」という女性がでてくるが、「れいこ」って読む。これを「すずこ」なんて読んでしまうとなんとなく昭和のイメージが出てこの小説のイメージが変わってしまう。レイコっていう響きがいいよなあ、って本筋と関係ないところで感心してしまった。
肝心の内容だが、最後まで二転三転する展開に参ってしまった。ある程度予想はできるが、なんでっていう意外性が心地よい。ちょっともの悲しいエンディングも心に残ってしまう。
作者は2013年に胃がんで65歳で亡くなったそうだが、非常に残念。私自身まだ2冊目なんでまだまだ楽しみが残っている。
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主要な登場人物2人が嘘をつき相手を罠にかけるので、二転三転する展開は面白く、叙述トリックとしては楽しめた。
ただ、個人的にキャラに対して魅力を感じられなかったので途中で騙されていたことに気付かされても「あ、そういうことだったの」程度で流せてしまいました。
鈴子にしても男性2人の視点から語られるだけなので、最後までよく判らないキャラだったし。
ラストも、もう一段階大きなどんでん返しがあるのかと期待しすぎたせいで、あっさりと終了としたような、何だか消化不良といった感じでした。
以前「造花の蜜」を読んで面白かったので、少し作者さんに対してハードルを上げ過ぎたせいかも?
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連城三紀彦長編、鬼籍に入ったのを機に文庫化したよう。
濃い人間描写を下敷きに紡ぐ、ヒューマンミステリ。
著者によると、昼ドラの様な人間関係はしっかりとした読み応えを生み、三文小説のような人物たちの言動は布石となって、完成度の高いエンターテイメントを成す。
そういう良いところが、テンポよくまとめられた一作。
深みのある短編と、この手の長編が、連城三紀彦の畢竟。
千街氏の解説の熱ぽっさも感動的。
4-
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確かな評価の定まっている作家の作品だから、プロットそのものはよくできており、筆力も高いとは思うが、小説とはいえ斜に構え過ぎた文体がちょっと私には合わなかった。
それ故か、凝らされた技巧の必然性や、3人の主要登場人物の関係性を著すモノローグなどがイマイチ腑に落ちきらず、また情愛を巡る描写も生理的に受けつけないところがあった。
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読んでいるうちにしだいによじれていって、そのうちひっくり返ってしまったという感じ。最後はもうどっちが表なのかわからなくなってしまった。登場人物の思考には理解できない部分があり、(よくわからない三角関係とか… よくわからない心中騒動とか…)よって、星3つです。
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「俺が夜空に放り投げようとした星は、天にむかって吐いた唾だったんだよ。星は俺の上に落ちてきたんだから。」
この人の書く文章はほんとうに綺麗で好き。
先の読めない展開に一気に読み終えてしまった。見事に騙されたし、恋愛小説としても面白い。