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『アルゴールの城にて』に続くグラックの文庫化第2弾。
ある1人の士官が辺境の沿岸に赴任するところから話は始まる……と、なると、同じく岩波文庫から出ている『タタール人の砂漠』を連想するが、解説でも言及されている通り、読んでみると印象はまったく違う(「タタール人の砂漠」も面白かった)。
『シルトの岸辺』は執拗に比喩を重ねる文体がより重厚でゴシック的だった。
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架空の土地を舞台に破滅に向かう物語が絵画的な静かさで語られる。
自身も詩人である安藤元雄の翻訳も読みごたえあり。
(院生アルバイトスタッフ)
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ファルゲスタンとオルセンナは長い間冷戦状態にあった。両国の国境沿いの地であるシルトに派遣された監察将校アルドーは、現状を打破しようと悩み、動くが…。
これほどまでに地の文で比喩をてんこ盛りにした小説は読んだことがない。延々と長い修飾語句を並べているが、それでいて、比喩の中には読んでみるとたしかに比喩通りの情景を想起させるようなものもあり、巧みな文章表現になっている。ただ、たまにその地の文の比喩表現の長さがわかりづらいし、長いので苦痛になることもある。
長い長い、プロローグといったところか。重厚というか、壮大な感。