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夜警
死人宿
柘榴
万灯
関守
満願
どれも、ホラーとか要素はないリアルな短編で、ゾクリとさせられる。
主人公が他者を評価する視点がよかった。
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黒め短編集。儚い羊が大好きだったんだけどこれも物凄く面白かった。米澤さんの黒い話はあまり理不尽さが無いというか無意味さが無いというか、取り返しのつかないもんは取り返しつかないんだよ当たり前じゃん何言ってんのハハハみたいな、フラグとその回収で綺麗に成り立ってるので後味の悪さが上手くはまる感じで非常に気持ちいい。
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全体に渋めだが、歯切れのいい文で読みやすい。話ごとのキャラ立ちも良い。連城への憧憬色濃い表題作が白眉。
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50頁程度の短編が6つ載っている短編集です.
オチが読めない良作揃いで良かったです.おおむね,
人の死に関わる話でしたが,この話は米澤氏のでは
なく○○氏の作では,と思うような,系統の違う作品
が一つありました.その話も好きですが.
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ブラックなミステリ短編集。抑えた語り口がストイックで雰囲気を出してる。でも「柘榴」だけは、女としてありえない!ラストシーンのほの暗い美しさは印象的だけれど、 美少女娘⇒駄目父なんて、男の馬鹿な妄想話だと思う。学生時代は女を虜にする魅力で他の女にうらやましがられても、社会人になったら生活能力ゼロのヒモが女のトロフィーなんて、ありえない。しかも男は30半ばになったら絶対デブるかハゲてくる。そんな男に美少女が近親相姦なんて・・・いまどきの若い子はもっとしたたかだから、援交して養うハメになりかねない父親なんて選ばないよ。男性作家って時々女性にヘンな夢見るよね・・・。
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「願い」をテーマにした6編のミステリ短編集。交番勤務の警官、在外ビジネスマン、美しき中学生姉妹、フリーライターなどが遭遇する6つの奇妙な事件。それぞれ趣が異なり、上手い語り口に引き込まれていく。ミステリというより「世にも奇妙な物語」のテイストに近い感じ。事件の意外な成り行き、人の心理を巧妙に描いていて、ゾクっとするようなラストが待ち受けている。後味はよくないが不思議な余韻が残る傑作です。
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ダークな短編集。
「儚い羊たちの祝宴」が好きな人にはオススメ。
短編だけど、どれも人物描写が丁寧で、流麗な文章に引き込まれる。
最後に暗闇にドーンと落されるような感じがいい。
特に「柘榴」「関守」が怖い。
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これをあえてジャンルにするならば、メンタルミステリーホラー、というわけのわからん言葉が浮かんでしまった。
私の一押しは第一作の『夜警』と『柘榴』、どの作品も全部面白かったんだけど、一番意外性を感じたのがこの二作。感想を書くとまんまネタバレになるので、読んでくださいというしかないです。
米澤さん、お見事ですm(__)m
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謎解きというよりはサスペンスやホラーな感じの短編集。
それぞれ読み終えてぞくりとさせられます。
どちらかといえば「儚い羊たちの祝宴」が近いかな。
米澤さんは古典部や小市民のシリーズから入ったけど、
こちらが本来の書きたかった路線なんだろうか?
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祝!山本周五郎賞!
それはさておき、表題作はトリックそのものより、「めぞん一刻」のシチュエーションが楽しかった。
夜警は…辛いですね…自分も後輩に教えていて、こいつは絶対に向かないっていうタイプがいます。嫌がらせで辞めさせることはできないけど。
死人宿は不条理な終わり方でした。二人の関係がどうなるのか、わかんないなぁ。大人の関係は彼にはかけないだろうし…
万灯は既読だが、不条理な終わり方は穂信らしい。闇守はトリックは途中でわかっちゃいますね。わかっている怪談は、それはそれで面白い。
穂信、ますます文章が上手になったなぁ。直木賞も時間の問題か。
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小市民シリーズの最後を「冬期限定ブッシュドノエル事件」と予想してからもう何年だろう。その間、ぽつりぽつりと発刊するハードカバーをずっと読んできた。「
折れた竜骨」では、こんな歴史小説も(しかも中世ヨーロッパ)書けるのか…と感動したが、今回はそれを上回る驚きだった。6篇がそれぞれ異なる色合いを持ち、登場人物の心のひだまでありありと感じさせる。それでいて、きっちりミステリーの要素が盛り込まれ、無理がないところもいい。
まだ作者が30代というのが、本当にうれしい。今後も読み続けていく。
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私の評価基準
☆☆☆☆☆ 最高 すごくおもしろい ぜひおすすめ 保存版
☆☆☆☆ すごくおもしろい おすすめ 再読するかも
☆☆☆ おもしろい 気が向いたらどうぞ
☆☆ 普通 時間があれば
☆ つまらない もしくは趣味が合わない
2015.6.7読了
素晴らしいです。
夜警、死人宿、柘榴、万灯、関守、満願の6つの短編を集めたもの。各々の小説に関連は無く、近似しているところもないのだけれど、全く外れた構成のものは無いし、それぞれの小説の底を流れる何か共通した感じと、物語の暗い雰囲気では統一されていて、短編集としてまとまりがある。
それぞれの作品は、どれも雰囲気を持っていて、また、物語としての面白さもある。こういう短編集のレビューを見ると、皆の好きな作品というのが固まることが多いように思うが、本作のそれはバラけているのが、どの作品も面白いという証左であろう。
また、どの小説を読んでも、似ているということではないのだけれど、他の作者の作品を、これと指摘できる訳ではないが、想起させるようなものがある。
好みで異はあるかもしれませんが、今の時点では日本のミステリの短編集として、最高峰ではないでしょうか。
作者の過去の短編集の儚い羊たちの祝宴も素晴らしい小説でしたが、そのときに前作のものでシリーズ化して欲しいと書いたのだが、シリーズでなくても素晴らしい作品を読めたようだ。
ただ、この作者は短編と長編では作品の雰囲気がちょっと変わってきて、長編の作品の雰囲気やその雰囲気の濃度が今ひとつと感じることがあるので、次はぜひ、長編で濃い素晴らしい小説を読みたいものである。
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“来週、わたしと月子は裁判所に行かなくてはならない。子供はどう考えているのか聞くのだという。法律では十五歳以上の子供には訊かなくてはいけないと決まっているけれど、だからといって十四歳以下の子供には訊かなくてもいいということにはならないらしい。わたしは母が好きだし、父も好きだ。どちらがということはない。二人とも、それぞれ別の意味で好きだ。裁判所でうまく話せるように準備が必要だ。
そのために月子と相談することがある。そう思って教室に呼んだのだけれど、まだ来ない。待つのに飽きて、わたしは机に置いた本に手を伸ばす。
本を読むのは好きだ。なんといっても、映画や音楽よりも安い。どうやらクラスでは「夕子は綺麗だから家はお金持ちだろう」みたいな、なんの脈絡もないことを思われているらしい。とんでもない勘違いだ。図書館の本を借りるのも、読書家だからというよりお金がないからという理由の方が大きい。ただ、机の上の本はわたしのものだ。もう何度となく読み込んで、小口がすり切れている。
ただ、わたしは本を開かなかった。いまは赤い光が強すぎて目に痛い。一番読みたかったエピソードは憶えてしまって、いつでも思い出せる。柘榴のお話だ。”[P.113_柘榴]
「夜警」
「死人宿」
「柘榴」
「万灯」
「関守」
「満願」
静かでぞくりとする美しい少女像は儚い羊を少し思い出す。
ちょっとずつ方向性が違う話で、どれも面白かった。
“「塩です」
「はあ。西瓜に塩ですか。なんとも、奇妙な感じがしますが」
恥ずかしながら、私は西瓜に塩をかけるという食べ方を知らなかった。得体の知れない置物を遠巻きにする猿のように、疑いの眼差しで塩の小瓶を見るばかり。妙子さんはそんな私を見て微笑んだ。
「こうするのよ」
三角に尖った西瓜の先に塩を一振りすると、小さく口を開けてシャクッと食べてみせた。それで私もおっかなびっくり真似をしたのだが、いまに至るまで、あれほど西瓜を旨いと思ったことはない。
「なるほど。これはいい。これは旨い」
「変わった人」
妙子さんは、今度は口元を隠して笑った。”[P.293_満願]
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ブラック米澤版
願いの強い、いや、強すぎる人は恐ろしい
どれも読後が悪いけど思いは理解できる不思議な感覚
いつもながらの究極の女性嫉妬心の書き方にほれぼれ「儚い羊たちの祝宴」を思い出させる1作は米澤ワールド
夜景/死人宿/柘榴/万灯/関守/満願
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日常の謎をテーマに描く短編集。皮肉で、決して後味がいいわけではないが、それでも読後には充実感を味わえる。全体にじっとりと仄暗く、悪意や情念などの感情が縁取る雰囲気はどこかレトロで、昭和の香りがしないでもない。
人間ドラマにスポットを当てながら、ミステリとしての基本も忘れてはいない。伏線や小道具が効果的で、着地も鮮やか。この人は短編の方が向いてるのかなあ。短編用のネタの構成力がステキに巧い。そう痛感したのが『万灯』。コレ、長編だとネタが小さすぎるし、短編だからこそ、この結末が活きてくるのだろう。本格作家としての切り口の鋭さも味わえるし、久々にシビれたお話でした。
こういう短編集がもっと増えないかなー。