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角田美代子の恐怖支配と金銭強奪、連続殺人について詳細に書き記している。
警察関係者や過去の友人など多くのインタビューを行って積上げたドキュメンタリーで、角田美代子の人格形成過程がよく分かる。
犯行内容についてはワイドショーで放映された範疇を出ず、少しがっかり。
本著のポイントは、角田美代子に犯行手口を教えた、師匠ともいえる「M」の存在。
最初から最後まで「M」の存在をちらつかせながら、その「M」について奥歯にものの挟まった表現しかしていないのが残念である。
簡単に言うと、「M」は暴力団構成員で多くの人脈を持っている。特に警察人脈に太いパイプを持ち、あの北九州連続監禁殺人事件の松永太を取り調べた内容をリアルタイムで知り得ていた。
松永太の犯行は支配に置く構成員を暴力とヒエラルキーで統率し、自ら手を下すことなく構成員同士で暴力をふるわせ合う。最終的には教唆するだけで親でも子供でも殺すというおぞましき支配。
この松永太の監禁殺人は以後の犯罪の模範となっているようで、人の弱みに付け込むやり方、人を恐怖支配に置くやり方、自ら手を下さず互いに殺し合わせるやり方、が角田だけでなく実際に多々続いている。
「M」はこの手法を角田美代子に手ほどきしていた、というのが本著の芯であるが、であるならもっと「M」について取材を重ねて欲しかった。
奥にものの挟まった表現、と先ほど述べたが、どうも著者が言いたいのは、『警察と暴力団が常人では考えられないほど癒着しており、実は角田美代子の自殺も両者いずれかもしくは両者の意図が働いたのではないか』、ということだと思う。しかしこのことを書くと自らに危険が及ぶことを恐れ、奥歯にものの挟まった表現しかしていないのではないかと、行間から推測する。
確かに、あれだけ図太い角田美代子がある日突然、同室者がいるにもかかわらず、引きちぎったTシャツにより自分の手で首を絞めて死んだというのは俄かに信じがたい。同室者はすぐ隣で寝ていたというし、1時間に6回もある警察による巡回の、その隙をついて死んだということも不自然さを助長させる。最初に発見した女性警察官はすぐに人を呼ぶわけでもなく、10分近くに渡り角田美代子の寝息に聞き耳を立て、おかしいと感じても拘置部屋に入るわけでもなく人を呼びに行ったという。
何か一般人には知らない、というか知ってはいけない事情が裏にあるはずだと、本著を読んで感じた
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一橋文哉さんの尼崎連続殺人事件を扱った『モンスター』、取材で得た情報を淡々と記しながらも、同テーマの『家族喰い』にも出ていなかった情報が出てきてゾワっとした。今も取材続行中なようなので、早く続報を読みたい。
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梅田の地下の旭屋書店で買った。尼崎の事件についてはイメージだけで、ちゃんと把握してなかったが、なかなか、です。でも、日常に遠い話でもない気もする。人間、紙一重でどこまでも狂える。家族が絡む方が余計に。実家の寝床で読むのは重かった。
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「家族喰い」に比べると俯瞰的なルポ。人物の関係も、簡潔でわかりやすい。ただなんというか、食い足りない感じ。「家族喰い」でわからなかったことがこっちでわかるかといえば、それほどでもないなあという印象。
とはいえ、「家族喰い」ではひたすら「かわいそうな被害者」として描かれていた人物が、意外と自業自得だったらしいことがわかった点は良かった。
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2013年に発覚をした『尼崎連続変死事件』をジャーナリストである著者が独自に調べた事をまとめている。以前、小野一光の『家族喰い――尼崎連続変死事件の真相』を読んだがそちらよりこちらの方が詳しく書かれている。相関図があるが被害者が多いのと主犯格とされる角田美代子と擬似家族のメンバー達を把握するのが難しいくらい複雑でこの事件の闇の深さというものを感じる。角田美代子はサイコパスのような気もするがただ、自分自身を強く見せるためにこのような事をして威厳を見せたかったのかは不明だが、どちらにしろ恐ろしい。
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縁戚関係者ばかりが被害に遭っていたとおもっていたが、そうでなかったのを知ってびっくり。
ともかく被害に遭われた家族が 本当にお気の毒でならない。
警察は何度も事件を確認するチャンスがありながら、見逃していたということも、つくづく残念でならない。
もっと早く事件が明るみに出る可能性があったのに…
そう考えると、今も表に出てない犯罪はたくさんあるのかもしれない。
色んな意味で恐ろしい。
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結局やってたことはやくざと同じってことか。美代子のバックにはやくざがいた、ってのがこの本の売りみたいだけど。しかし、一般人はやくざとは無縁だと思って生きてるわけで、急に入ってこられても対処できないんだろうな。この本はちゃんとそれに負けないために、と提唱しているところが良いと思う。前の北九州の監禁殺人事件の本はグロくて読めなかったけど、この本は大丈夫だった。ボリュームの割に事件数?が多いからか。しかし、警察の民事不介入にはほとほとあきれる。最初の猪俣家の時にきちんと捜査してくれていたら、こんな恐ろしいことにはならなかったのに。身内同士で殺し合いさせるってなぁ。しかし、本当恐怖政治の元にいたからって、自分で親を殺しといて無罪をよく主張できるなぁ。殺人で執行猶予3年、懲役2年なんて、スーパー軽い罰だと思うけど。死ぬ目にあったのに、有罪にされるのが不本意なのか。良心の呵責とかないのかね。こんなにうなされるのに、その上有罪って、ってことなのか。この状況かで生き残るってそういうことなのか。自分だったらどうするかな。あー、考えただけで気分悪い。悪い奴はいる。理性のたがを外されたら、悪くなる奴もいる。そんな奴らは多い。そう思って気をつけるだけだ。
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尼崎連続変死事件。家族ごとの乗っ取りプロセスが詳細に描写され、主犯の角田美代子がいかにして「モンスター」と化していったのかが俯瞰してようやく見られた。
一連の事件を時系列で追った一覧もあり、なかなかに分かりやすい。
彼女に犯罪のノウハウを手ほどきした黒幕が背後にいたとする新事実。暴力団やカルト教団などの洗脳、虐待の手法に精通し、人間のどこをつけばコントロール出来るのかを長年にわたり美代子に教え込んだとみている。また警察の民事不介入を逆手に取り、決して自分の手は汚さず家族同士で虐待し殺し合うよう仕向ける。
何故、大人が何人もいるのに逃げられなかったのか。
家族を人質代わりにとられているから。家族の絆がむしろ鎖となりがんじがらめになっていく。まずは洗脳されやすい子供を手懐けて、弱った親の姿を見せて子供に虐待させる。家族に裏切られた、と絶望した時に人は逃げようという気力すら削がれていく。
それはもはや悪魔の所業だ。
そして取調べ中自死した主犯の美代子も「家族」が自供し始め裏切られた、と思ったからこそなのか。家族の絆を手玉に取り悪行の限りを尽くしてきた女の最期がやりきれなさを残す。
人間同士の繋がりで永遠なんてものはない。誰もがみな終わりに向かって生きているだけなのだ、と知らしめてくれる一冊。
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尼崎連続殺人事件、角田美代子と黒幕のMの存在。本当に怖い。北九州連続監禁殺人事件ほど、ひどくなかった。
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尼崎連続殺人事件を取材したドキュメンタリ。『凶悪』『消され一家』『死体の犯罪心理学』に続いて読んだ犯罪ノンフィクションだったけど、一番よみづらかったかも。
人間関係が複雑極まりない事件なのもあるけど時間軸と話題が行ったり来たりする構成はわかりやすいものではないとおもう。著者はじめ、登場人物の主観や言動描写、憶測、意見が飛び交って「これ誰のことだっけ」となることしばしば。
福岡の事件と共通点を指摘されながら紹介される事件自体は、また救われないはなし。
容姿にも生い立ちにも恵まれた松本太は潜在的サイコパスとして個人の才気を発揮した超凶悪者という印象なのに比べ、家庭愛に恵まれずやくざものに囲まれて育った角田美代子は環境に育てられた感が強く、また直接的にやくざと関係を持っている点でより裏社会系の脅迫力があったように思う。物理的に閉鎖された環境で隠し通された福岡の事件に対し、尼崎では標的の家庭に数ヶ月単位で上がり込み屋敷の外まで暴力行為を派生させていること、にもかかわらず多数の死者が骨になるまで法的に裁かれることなかったことが驚愕。
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戦慄しながら読んだ。
ヤクザ崩れの角田美代子が家族を乗っ取り財産を巻き上げ暗躍するが、最後は拘置所内で謎の自殺遂げる。その裏には大物ヤクザMの存在があり、それは警察幹部にもつながっていく。
被害者の人間関係を断ち、序列をつけて互いに監視させ加害者側に加えてていく手口は北九州連続殺人事件やカルト教団の手口を踏襲していた。
かくも人間はあさましく残酷だ。
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借りたもの。
主犯格の女の自殺により永遠に明かされることが無い真相――それ故に、ジャーナリストとして著者は主犯格に近しい人間関係に取材をして真相に近づこうとしたドキュメンタリー。
事件の経緯や、主犯格のその手口に多大な影響を与えたヤクザ・Mという人物の存在を示唆している。
読んでいると、被害者の周辺の怒りの声がこだましているようだった。
それは犯人たちだけでなく、警察――対応が後手になったことや、主犯格の女の自殺させてしまったことにも向けられている。
恫喝や居座りなど手口はヤクザのそれで、人の心のスキをついて惹きつける手腕は正にカルトだった。
主犯格の女が死んでから、被害者であり、加害者である人物たちが掌を返したように、主犯格の女のマインドコントロールであると言い無罪を主張するなど、オウム事件も似たような傾向があった事を彷彿させられる。
同時に、主犯格の女の凄惨な家庭環境、家族の愛に渇望しながらそれが得られず、ヤクザ的・カルト的な擬似家族しか知らなかったであろう事が伺える。
おそらく自身の体験から、人間の“劣等感”“理解や共感されないことへの不満”を敏感に察知できたのだろう。
断っておくが、同情はしない。
主犯格の女は、その不安に悪意のある毒を注ぎ込んだ(洗脳した)。人を救うことが出来ない人間だったのだから。
主犯格の女は、完全に自分本位の、自分に都合の良い面(擬似家族)しか見えていなかったとしか思えない。
そして現実が明るみになった時、「おかしい」と勝手に勘違いして、受け入れられず、逃げ出したようにしか。
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文章がイマイチで同じ話が出たり、
行ったり来たりが頻繁で読みにくいが
怖いな。
もし自分の家族に起きたら、と思うと
考えさせられた。
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気分が悪い。
実話なのが、また怖い。
幾度、業火に焼かれようと、
この大罪は消えないね‥‥。
警察に殺される‥、
いろいろ話されたら困る。
死んでくれたほうが安全。
なまじ、ホントかも。
警察の失態、
個人情報の漏洩、
この罪は、どうなったんだろ。
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『鏡の背面』の主人公がルポライターだったせいか、ノンフィクションが読みたくなったので、気になっていた尼崎連続殺人事件を。
小説で読んだとしたら、「ないない!親を死ぬまで殴るなら何故そのおばさんをやっつけないんだ⁉︎」と思うところで、ずっと関心を持って見ていた事件だけに、被疑者死亡で捜査打ち切りとなったのはほんとショックだった。完全に納得はできないが、謎のいくつかはわかった気がする。被害者の心理が痛い、辛い。ノンフィクションは逃げ場がない。。
北九州一家監禁連続殺人事件のノンフィクションを探して読んでみようかな。