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2012年に「エソラvol.15」に掲載されたものに加筆し単行本化。
大化改新の5年後、中大兄皇子と藤原鎌足は地方への道路を作り、全国の支配を目指した。
しかし、山に住む神を殺し、民、妖をも支配下に置こうとする政(まつりごと)に対し、山で修行する役小角が山の民の味方となって阻止しようとする。
のちに持統天皇となる鸕野讃良皇女も幼いながら験術者として活躍するが、それがなぜなのかは明らかではない。
この時代って鎮護国家の仏教対古い神々という図式なんじゃないの?
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http://denki.txt-nifty.com/mitamond/2014/03/post-2b5b.html
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なんだか、凄く重い感じ・カバーに軽いイメージのイラストがあったら、それはそれで軽すぎて嫌なんだけど~物部韓国連広足は蘇我氏に家を焼かれ、家宝の天日槍だけを持って賀茂大蔵の弟子になったが、師は乙巳の変後の飛鳥の宮で妖あいてに苦戦し、賀茂役小角の助けを求め、飯炊きが上手な広足を弟子に貰い受ける約束を交わした。やがて約束が実行され、広足は小角に招かれて山に入った。中大兄皇子や鎌足が大道を巡らし古き民への支配を広げている中、里では人の魂魄を食う鬼が跋扈し、山では神殺しが起きていた。都を移す計画もある中、古き民の若き長は都まで大人しくやってきたが、神が去った山を前に、大海人皇子とその姪に当たる鵜野讃良は狼人の舎人である蹴速と共に、小角の招きに応じた。人食いの鬼を呼んだのは誰か、神殺しは誰の仕業か。賀茂大蔵は中大兄皇子と鎌足に妖と戦う全権を預けるように迫る…~なんだか大事なんだけど、狭い範囲での争いで登場人物も極めて少ない。わかりやすくて良いとも思うけど、楽しさに欠けるねぇ
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★強い国、大きな国など、悲しみしか生まない。強さの上に立った民の幸せなど幻に過ぎん。(p.256)
・時代は大化の改新直後。力のある料理をつくれる娘広足は役小角に従うことになり変革期を駆ける。
・国民すべてが一枚岩となり広く長い道をつくり強く豊かになろうという新政府の方針による開発の歪みと、これまで通りゆるく別の意味で豊かでいたい山の民や、よってたつ居場所を奪われる神々の抵抗。
・都には鬼が出て人(の魂)を喰らい、山では神喰いが神を喰らい互いに互いがもたらしたのではないかと疑っている。
■簡単なメモ■
【一行目】ある日帰ると、家が燃え落ちていた。
【蘆日/あしび】広足の友人。韓(から)から来た商人、広山頭(こうさんとう)と先帝の采女だった女との間に生まれた子。
【阿倍比羅夫/あべのひらふ】朝廷随一の武人。脳筋と思われているが実は聡明で中大兄皇子と中臣鎌足の理想に共鳴している。
【天日槍/あめのひぼこ】物部一族の宝。厩戸皇子と蘇我氏連合軍との戦いではなぜか使われなかった。広足が仕える代償に大蔵のものになった。
【洗糸/あらいと】土蜘蛛の長。大峯の長であり玉置の姫。強い力を持っている。山の異変に対するために動き始めた。
【大海人皇子】中大兄皇子の息子。後の天武天皇。山野に身を置くのが好き。讃良いわく《大海人さまは生まれながらにして多くを持っているけど、いつもまだ足りないって顔してる》p.152
【大蔵】賀茂氏の長。広足の料理が持つ力に着目し仕えることになった。術を教えてくれることになったようだがその代価として天日槍を得ておのが武器とした。あやかしに対して残虐。
【遠智/おち】讃良(ささら)の母。
【小角/おづぬ】美しい行者。見た目は少年と青年の間くらい。黒髪ロングが美しい。賀茂役君小角(かものえだちのきみおづぬ)。賀茂氏の傍流の出。自由に山野を逍遥している。広足の料理に興味を抱く。大蔵がピンチに陥ったとき助けを求めたほどの力を持つ。《しかし生憎、私は揉め事が大好きでね。雨が振らねば虹もかからぬ。》p.43。《私は大抵のことはよくご存知だよ》p.180
【音】小角「人が聞いている音など、世に溢れる音のほんの一部に過ぎない。己の見えないところは無ではなく、聞こえないところは静ではないと知れば、夜はさらに豊かになる」p.184
【鬼】普通に出没しているらしい。人の魂を喰らう。
【鬼の子】小角《鬼の子の声は、己に恐怖や害意を抱く者の心に強く働きかける。それが彼らの身を護る武器なのだ。私と広足、そして讃良にはそれが効かないのだろう》p.181
【陰口】《こちらが明るく胸を張っていれば、陰口はやがて陰の力となって口にしたものを追いつめていくのだ。》p.10
【風早/かぜはや】大峯に鷹の姿をとって眠っていた古い神。小角に起こされた。
【鎌足】中臣鎌足。中大兄皇子の側近。
【神喰い】神を喰らうもの。神々は人間が寄越しているのではないかと疑っている。大峯を襲ったときは黒い蔦のような姿だった。「ノッカー」みたいなの?
【国】小角《強い国、大きな国など、悲しみしか生まない。強さの上に立った民の幸せなど幻に過ぎん。》p.256
【国常立神/くにのとこたちのかみ】大峯と同時に顕現したとかで大和のほとんどの神より古く強い。
【蹴速】大海人皇子の舎人。狼人。
【コンガラ】山の子。不動明王の眷属。
【坂上老/さかのうえのおきな】阿倍比羅夫の側近。
【讃良/ささら】鸕野讃良(うののささら)。中大兄皇子の娘。大海人皇子より大物っぽい。後の持統天皇。
【呪禁】広足もいくらか使えるがもっと強力なものを覚えたいと思っている。
【正義】比羅夫「それでは危ういのだ。正義は誰か一人が決めて良いものではない。そのために、皇子と鎌足さまがこれから作る国の形と法の秩序が大切になってくる」p.202
【セイタカ】山の子。不動明王の眷属。
【蘇我氏】現在権力を握っている一族。
【蘇我石川麻呂/そがのいしかわのまろ】蘇我氏でありながら中大兄皇子側について揺らがなかった。また、物部一族を倒した勢力の一人。《倒すべき相手がいないのは、つまらんものだ。》p.218
【蘇我入鹿】権力者だが天皇家をないがしろにしたので反発も強かった。蘇我蝦夷の息子。
【土蜘蛛】紀州南部の山の民。戦闘能力は高いが団結することはしない。
【中大兄皇子】後の天智天皇。大化という元号を始める。鎌足《美醜のない平凡よりも、飛び抜けた美点と補いようのない欠点がある極端こそ、広き天下を統べることができるのだ。》p.234
【悲田院/ひでんいん】広足が働く場所。推古帝が創設した、貧しい民の世話をする施設。
【人】風早「だが、人という生き物はどうにも矮小だな。もっと悠然と、天地にある全てと時を分け合い、楽しめばよいのに」p.135
【一言主】葛城の主神。自分から力を引き出している大蔵に愛想を尽かした。
【火トカゲ】炎をしょったトカゲ。広足の家が燃え落ちた跡にいた。ポケモンではない。
【広足/ひろたり】物部の姫。正式名は「物部唐国連広足/もののべのからくにのむらじ」。彼女のつくる料理は神饌であり呪術者の能力を上げたり回復したりする力があるようだ。僕僕先生みたいやね?
【変化】小角「苦労するから変化がある。変化は熱を持ち、時に天地の形すら変えていく。変わることは諸刃の剣だ。衰えにも育ちにも通じる」p.194
【保呂/ほろ】都祁(つげ)を守る少年。
【槙/まき】坂上老が囲っている娘。
【山】役小角「委ねることができるかどうか、ただそれだけだ。山はそこしか見ていない。正しいと思うのは傲慢だ」p.42
【豊かさ】小角「都が豊かになるとして、それは誰かの豊かさを奪っているからだと思わないかな」p.73