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下巻。
主人公が読書会で述べるSF・ファンタジー小説についての意見がなかなか凄い。勿論、小説の中の話なので、さほど長いものではないのだが、鋭い批評性を持っていることが窺える。
主人公とボーイフレンドの甘酸っぱい恋愛模様がアクセントを添えている。読んでるとおばちゃんには少々恥ずかしいがw
そうそう、魔法は実在するのが前提だったようだw 正直、最後まで思いっきりどんでん返しを食らうのではないかと疑っていたww
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本を読むという行為は他人の思考をなぞるという行為であり、それに対して共感や反発を自身に尋ねる行為であるとおもう。
対書物に反して対人間にはそのような二元的な反応はあまり意味がない。ひとは、書かれたものとは違い、変わってゆくから、変わってゆけるから、だ。
解説にもあるように、主人公(語り手)は、所謂「信頼出来ない語り手」として読むことも出来る。つまりは、フィクションの上に更にフィクションを重ねたメタミステリ的に読むのが妥当なのかなと。
けれども、本を読むことで、その豊かさに触れ、自分は自分として生きるのだというものがたりが、ここにはある。フィクションも現実も超える。本を愛したなら、いつか、わたしも、あなたも、なんらかの形で、本に愛されるだろう。きっと。
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いまだに妖精とかなんやらかんやら信じられているのは本の力か。ただのピーターパン症候群か。
巻末のリスト熱い。こんなに出てきてたのか…!
インターライブラリー・ローン活用すべし。日本は同都道府県内なら年齢問わず無料(なはず)。
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ああいい終わりだった!
しかしこんなにゼラズニィに言及する話も見ないなー。
個人的に、ダニエルがんばれー。
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時代は1979年~1980年で、舞台はイギリス。SF小説が大好きな15歳の少女の、寄宿学校での出来事や、父親や叔母たちとの休暇の様子を日記形式で語る話。ストーリー自体は日常が語られるだけで特に大きな展開もなく少々退屈気味であるが、読書の楽しさや、新しい作品を手にしたワクワク感などがとてもよく伝わってきてほほえましい。図書館や書店に惹かれる気持ちは共感できてにやにやしてしまった。
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うーん、煮え切らない感じのまま終了。
本、特にSFへの愛情とそこから得られる救いという設定は良いと思うものの、母親の描写の中途半端さと何より本から対人関係の修復への接続の不足感が残念至極。
もっと広がりある話になれたと思うんだけど惜しいなぁ。
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図書館でSF好きの同好の士と毎週読書会をやるなんて羨ましすぎます。80年代イギリスSFファンダムの空気をビビットに感じさせてくれる良作でした。
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評判どおりすごくよかった! ものすごく好き。
魔法とかフェアリーとか出てくるけれども、SFやファンタジーが苦手なわたしでも気にならなかった。
1979年イギリス、学校の寮で生活する家族に恵まれず、脚が不自由な孤独な女の子の日記、なんだけど、昔の少女小説のようでもあり、でも、学校内のヒエラルキーだとかは現代風でもあり、ときに性的な話も出てきたり、哲学的なところがあったりするのはやっぱり大人の少女小説だなと思ったり。
主人公の女の子がSFファンタジーマニアなので、本の話だらけで、SFやファンタジーが好きだったらもっともっと楽しめただろうな、と。わたしも、出てきたSFやファンタジーをなにか読んでみなくては!と思っているところ。
家族も友達もいない孤独な主人公が、本を通じてだんだん仲間ができ、人生のいいところ、を知っていくところがいいなあ、と。
マジでうらやましい(笑)……。なんというか、やっぱり、読むなら、オタク、と言われるほど読まないとダメなのかも、とか……。
でも、そもそも彼女はつらい境遇にあっても自分を憐れまないし、だれにも負けないし、知恵も勇気もあるし、まさに少女小説の主人公で。この本を全部読むまでは生きていなきゃとか思うところは、さすが本好きなんだなと思ったり。
彼女はこれからもどんどん本を読むだろうけれども、もうひとりじゃなくて仲間がいて、さらに、いい成績で大学にいって、もっと本を読んでもっと友達や仲間が増えて、本の話ができる恋人もいて、卒業したら好きな仕事をして、たぶん結婚もして、って、充実した人生を送るんだろうな、というのがすごく想像できる。それはとっても幸せな読後感だった。
(……でも……なんだかバカみたいなんだけど、やっぱりうらやましいというか、人生これからの人はいいなとか(笑)、なぜかすごくとり残されるような寂しさがあったのも事実……。あまりにいいラストだったので)。
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居場所のなかった少女は、読書クラブで水を得た魚のように生き生きと活動しますが、入院することになったり、周囲(母親)から悪意を投げつけられたりと、すんなりとはいきません。それでも大好きな本を支えに、懸命に「現実世界で」生きようとする少女に励まされました。
上巻・下巻ともにSF・ファンタジー作品の感想がたくさん出てきます。生活史であると同時に読書日記でもあるためです。その中で自分が読んだことのあるものは少ないのですが、それでも面白く読めました。からっと明るく、ユーモアに満ちた作品だと思います。
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なるほど~、これは話題になるはずだ。本好き(特にSF好き)の琴線に触れる、まことに愛すべき一冊。楽しみました。
とにかく、遊び心に満ちている。冒頭の「謝辞と覚書」からしてこうだ。
「この本で描かれるすべての出来事は虚構であり、ウェールズの丘陵地帯とその下に眠る炭鉱、丘を上り下りする赤い乗り合いバスなど存在しておらず、一九七九年という年も、十五歳という年齢も、地球と呼ばれる惑星も空想の産物にすぎない。ただし、妖精(フェアリー)はちゃんと実在する」
ニヤニヤしちゃうなあ。さらに、本書は十五歳の女の子の日記という体裁を取っているのだけど、その始まりにこうある。
「この本は、一種の回想録だと考えていただきたい。それも、本の発表後に筆者の嘘が露見し、読者を怒らせるような種類の回想録であると」
最初からこれは「信用できない語り手」による物語なのだと言っているわけだ。となると、読者としては常に「本当は何が起こっている(起こった)のか?」を考えながら読むことになる。
解説でも書かれているが、「フェアリーと魔法」を文字通り受け取って読むこともできるし、母や妹も含めすべてを暗喩と考えることも可能だ。実に面白いのは、どっちなのか?ということなど、あんまりたいしたことではないという気になる所。どちらであろうが魅力的なのだ。
その魅力の中心は、やはりなんといっても語り手のモリ。この少女の、なんとまぶしくキラキラしていることだろう。分身のような双子の妹を失い、自らも傷ついて、悪意ある母から逃げ出した彼女は、女子寄宿学校に入れられるが、そこでも疎外されてしまう。愛してくれた母方の祖父は遠い老人ホームにいる。
その彼女を支えるのは大好きな本と魔法だ。ファンタジーをあまり好まないので、魔法要素については今ひとつよくわからないのだが(モリの魔法についての考え方がすごくストイックだと感じた)、なんといっても本ですよ、本。学校の図書室の本を片っ端から読み、バスに乗って街の図書館や本屋に出かけていき、そうする中でSFの読書クラブを知る。ウィムという美青年とも知り合う。
モリはいつも、自分が好きだったり大事に思うものに対して、まっすぐなのだ。学校でつまはじきにされても、めそめそせず頭を上げている。自らの境遇を憐れんだりしない。自分を気にかけてくれる祖父や叔母を大切にしている。意に沿わぬことを無理強いされそうになったときは、断固闘う。本当に清々しい。
やるなあ!と思ったのは、ウィムといい感じになったときのモリの行動。何食わぬ顔で校医の診察を予約し、ピルを処方してもらうんである。ここの記述が実に事務的で、まったくウジウジもフワフワもしていないのが格好いい。
このウィムという青年、見とれるほどの美貌の持ち主なのだが、なぜか(というのもアレだが)SF好きなのだ。他にも本好き男子がいろいろ登場するが、その一人ヒューが、モリと一緒に何となく書店に向かって歩きながら言う言葉がいい。
「『向書性ってやつだな』ヒューが言った。『いつも太陽の方を向いているヒマワリみたいな花は、向日性の植���と呼ばれるだろ?向書性の人間は、常に本屋を目指すのさ」
モリはいろいろな本を読むが(プラトンの「国家」なんてのも)、中心はSFだ。SF作品への言及が作中のかなりの部分を占める。ここがもうね、たまりません(涙)。物語の設定が1979年で、この頃大学生だった私はSFをたくさん読んでいた。懐かしさと、モリの評があまりに的を射ていることに、身もだえする。
言い出したらほんとにキリがないので、一つだけあげておく。読み出してすぐ上巻の31ページにこうある。
「ひとりの作家の短篇集としてはオール・タイム・ベストの座を永久に守りつづけるであろうアーシュラ・ル・グィンの『風の十二方位』」
私もだよ、モリ!
父方の祖父サムを筆頭に、本を読む人たちが皆優しい人として描かれていて、これはしみじみ嬉しかったなあ。魔法もSFも苦手な人も、きっと楽しく読めると思います。
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原題「AMONG OTHERS」の方が邦題よりしっくりくる気がする。主人公モリの境遇(母との確執や脚、妹の件)の謎は結局ハッキリしなかった。読みながら薄々そうじゃないかと思っていたけど、やはり“解説”に示唆されている通りなのだと思う。モリがあまりにも他者に懐疑的だったり頑なだったりで鬱々としてしまった。本好きさんの興味をそそるタイトルや、話の中にSFなどのリアル本ネタが多々登場するので、そこそこ良かったが、惜しい事に自分的にはどうもそれ以上の物はなかった。
高評価が多いようだが好きではない。
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いつか私(の・が・も)世界にコミットできると信じて。
モルの感じていること、語っていることは、「真実」なんだろうか。これはいわゆる「信用できない語り手」なのではないか。でも、そんなことはどうでもいいと思える。人より本の世界に親しんでいたのに、自分と同じ世界にいる人を求めていた、そんな経験のある人は、多分そう思えるんじゃないだろうか。
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ちっともSFらしくない、本好きが書いた本読みの為の本好きな女の子のお話し。
日記風に書いてあるから、少女の主観で描かれている。つまり全くの虚構の世界かも知れないし、彼女の言うとおりこの世は魔法とフェアリーて溢れているのかも知れない。
その辺は読者にお任せします、と言うスタンスなんだろう。妖精が出てくるようなファンタジーは滅多に読まないんだけどこれは特別。
日常描写の中にさりげなくフェアリーが出てくるので、あぁそうなの、大変なのね?と素直に読み下してしまう。
ラストのクライマックスでは魔女との闘いで紙を槍にしたり森にしたり、遂には人型の炎となって勝利するのだけれど、ここまでの少女の魔法の腕前と余りにもギャップが有るので、これも夢か幻か?と考えてしまう。SFらしいのはここだけ。後の9割(少しオーバーか?)は少女の読む本の感想文、これが本を読んで無くても面白いのなんの。
本好きにはたまらない、SF好きにはもっとたまらない、素晴らしいSF(ファンタジー?)でした。
最後にもっとも感銘した彼女のセリフを一つだけ。
「わたしはくすっと笑い、彼にこう質問した。『本を読むより楽しいことってなに?』」
すべての本読みにお勧め!
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精神を病んだ母親から逃れ、一度も会ったことのない父親に引き取られた15歳の少女の読書日記。
…違うかw
少女の成長譚。中二病からの快復記。
魔法やフェアリーが暗喩するものは何か?なんてところはさておき、魅力的な書物が山ほど出てきてそれだけで本読みはニヤニヤが止まらない。
ゼラズニイの真世界シリーズを読み返したくなったよ。
これがはまった人はマークース・ズーサックの『本泥棒』も読むといいんじゃないかな。
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モリは昔の私だ。読書の快楽に耽溺して生きていた思春期の自分が、そのまま書かれているので、いたたまれないほどだった。
読書という行為は、旅で冒険で、恋愛で親友。未読の本が鞄に入っていないと、不安でいてもたってもいられなかったっけなあ。授業受けに登校するんだか、図書館と本屋をハシゴするために登校するんだかわからなかった。
そんな昔をたっぷり思い出させてくれた本書。登場人物はあんまりかわいくないけど、彼らの情景にはちょっと共感できたりして。ちなみに巻末の本リスト、私は13冊読んでました。SFでなくミステリなら負けないんだけどっ!
ちなみに原題のAMONG OTHERSとは、ひとりじゃない、という意味だそうです。イングランド人の先生が教えてくれた。