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どこかで、「今年最も重要な本」とか紹介されてましたが、確かにインパクトはすごいです。タイトルそのままで、あと2〜30年で資本主義は破綻する、という論旨。元エコノミスト(証券会社と内閣府)が、過去1000年にもわたる「利子率」と経済システムの関係やら、国家と資本の関係やら、新興国が発展するためのコストやらを、縦横無尽に展開します。
僕は経済に関しては素人ですが、「中央」が発展するには「周辺」が必要で、地理的な「空間」がなくなった1990年代に、アメリカが「金融資本主義」に転換して、「サブプライム層」や「非正規社員」を「周辺」としたっていうのは説得力があります。
ということは、これからの資本主義は経済的な格差を「必然的に生む」アベノミクスなんて全部間違ってるし、TPPなんて冗談じゃないし、原発ももう無理。「景気と所得との分離」「富者と銀行には国家社会主義で臨むが、中間層と貧者には新自由主義で臨む」ってのはきついけど、真理だと思う。
著者は「成長を前提とする資本主義に代わるゼロ成長の社会が何だかまだわからない」って言ってますが、前に読んだ「里山資本主義」とはつながらないんだろうか?地産地消、ゼロ成長、貨幣とモノの交換を最小限にする、くらいじゃダメなんでしょうかね。
ちょっと難しいところもありますが、大いにお薦めです。
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水野氏の本を何冊か読んで論点はわかっている。100年200年1000年のスパンで社会を見ているのだ。
今、現代は大きな変化の中にある。新たな経済システムを探る時なのだ。
この本に安易な解答はない。水野氏の中にも解答はない。こうすれば、日本経済は持ち直すとか、世界経済の行方はこうだなどという、現在の経済システムの延長線上にあるような解答はないのだ。
だが、この本はスリリングだ。歴史が動く時とはこのような状況になるのだということが書かれているといって良い。今、歴史が動いているのだ。
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歴史が過去の繰り返しだとしたら本書の主張には正当性がある。しかし、「歴史主義の貧困」を読んだいま、本書の主張をすんなりと受け入れることは難しい。
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サブプライム問題からTPP、石油価格の上昇、移民政策など、昨今の経済問題が資本主義の抱える問題だど、パズルのピースがはまるように納得でき、著者の明察に感服した。これを読んでみると、新聞などのニュースの見方も大きく変わった。
「経済学の理論と合っていない」との批判もあるが、社会科学での理論は、事象を最も上手く説明するものが理論なのであり、社会の構造を的確で斬新な視点から分析している点がもっと評価されるべきと感じる。
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以前から読みたかった本であるが、筆者は、国債の利率が低いことから資本主義の終焉が近いといっているが、これが、16世紀と状況が似ているということで、結論を出すことは、安易、早いと思う。まだ、どんな感じになるかわからない。でも、筆者が推奨するゼロ成長社会は、実現が難しいと思う。最終的に成長志向社会で、いくところまで、行くのではないか。いろいろ今まで、未来を予想する本が出てきたが、外れた本も多かった。
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過去の歴史と詳細なデータを分析し、資本主義の終焉について論理的に考察している。
だが、現在の「資本主義」が終焉を迎えていることは、既に感覚的に予想できている人も多いのではないだろうか。
問題は、その先のシステムをどう設計していくかである。
次の社会システムが明確になり、ゴールに向けて人々が動き出さない限り、資本主義は、恐らくまだまだまだ対象を広げ、延命を続けていくだろう。
原丈二氏が『21世紀の国富論』で唱える「公益資本主義」のように、まだ考察段階のシステムでもよいので、ポスト資本主義の姿を考えるためのヒントを提示して欲しかった。
本書に「日本は新しいシステムを生み出すポテンシャルという点で、世界のなかでもっとも優位な立場にある」とあるとおり、ゼロ金利が長く続き、世界のなかでも資本主義の限界に近づいている日本は、ポスト資本主義にもっとも近づいているとも言える。
ポスト資本主義の姿を考えるためのヒントとなるのかもしれない一冊。
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以前、飲み会で年配のとある人に
「もう成長を前提とした経済運営は無理ではないか」
と指摘したら、
「そんな考え方はあり得ない!」
と、えらい剣幕で怒られました。
その人にとっては、経済社会にとって成長は自明の事であって、疑問を差し挟む余地はない、という態度でした。
例によって勉強不足の私は大した反論も出来ずに、その話はそれで終わりとなりました。
ただ、この本を読んで、自分の考えがあながち間違っていなかったと思いました。
ただ、実は今でも「間違っていてほしい」というのが本音です。
何となれば成長の夢を見ている方が楽で、成長を前提としない経済社会というのは、少なくとも近代社会では例がないのですから、考えるだけでも大変な苦痛と困難を伴うからです。
でも、現実から目を逸らしてはいけません。
著者は資本主義終焉の予兆として、利子率の低下に着目します。
先鞭をつけたのは日本です。
「10年国債の利回りは1997年に2・0%を下回り、2014年1月末時点では0・6%です。さらにアメリカ、イギリス、ドイツの10年国債も金融危機後に2パーセントを下回り、その後、多少の上昇はあっても、短期金利の世界では事実上ゼロ金利が実現しています」(P14)
なぜ、利子率の低下が問題かというと、金利は資本利潤率とほぼ同じだから。
「資本を投下し、利潤を得て資本を自己増殖させることが資本主義の基本的な性質なのですから、利潤率が極端に低いということは、すでに資本主義が資本主義として機能していないという兆候です」(P16)
著者はグローバリゼーションにも懐疑的、というより問題視しています。
グローバリゼーションについては、ヒト・モノ・カネが国境を自由に越えるプロセスだと好ましく評価する向きもありますが、そのように捉えている限り「グローバリゼーション推進論者や礼賛論者の思うつぼ」と指摘しています。
先進国はこれまで発展途上国から資源を安く仕入れて経済発展してきました。
著者の定義にしたがえば、「中心」と「周辺」から成るシステムが資本主義だと言えます。
そして、グローバリゼーションとは、「中心」と「周辺」の組み替え作業だというのです。
グローバリゼーションによって「周辺」であった途上国が成長し、新興国に転じれば新たな「周辺」をつくる必要に迫られます。
その「周辺」とは、アメリカで言えばサブプライム層であり、日本で言えば非正規社員であり、EUで言えばギリシャやキプロスだといいます。
合点がいきますね。
中国、インドが今のOECD加盟国の所得水準に達すると、「世界の電力消費量は今までの3分の2を上乗せ(中略)さらにブラジル、インドネシア、アラブ世界といった人口の多い国々が近代化に成功すると電力消費量は現在の2倍になる」(P86)―など衝撃的な数字がいくつも紹介されてクラクラとめまいがします。
しかし、決して遠くない将来、そうなる蓋然性はかなり高いと推測されます。
そして、資本主義が延命するために必要なフロンティアはやがて消滅します。
無限であることを前提���していた資源もいずれは枯渇します。
では、仮に資本主義が終焉するとして、その先にどのようなシステムを構築すればいいのか。
残念ながら著者にも具体的な方策はないようです。
定常状態への大きなアドバンテージのある日本がフロントランナーを務めることに期待していますが、現状はアベノミクスの成長戦略のように旧態依然とした経済成長を志向しています。
「私がイメージする定常化社会、ゼロ成長社会は、貧困化社会とは異なります。拡大再生産のために『禁欲』し、余剰をストックし続けることに固執しない社会です。資本の蓄積と増殖のための『強欲』な資本主義を手放すことによって、人々の豊かさを取り戻すプロセスでもあります。日本がどのような資本主義の終焉を迎え、『歴史の危機』を乗り越えるのかは、私たちの選択にかかっているのです」(P213)
ここからは私の補足ですが、個人においては生活のレベルを落とすことを甘受することも必要でしょう。
それでも快適な生活が送れるような知恵と方法をみんなで出し合うこと。
もっとも、金銭を基準に考えるから「生活レベルが落ちる」のであって、別の基準で考えれば全く逆の結果が得られるということは大いにあり得ます。
金持ちは出来る限り域内の経済が回るよう、歯を食いしばってできるだけ多めに地域でお金を使うこと。
企業が成長を前提としないということは、これはもう現代の常識では企業にとって「死」を意味するわけですからなかなか難しいと思います。
ただ、局所的には成長が見受けられても、総体としてはもはや成長は望めないという現実は受け入れておいた方がいいかもしれません。
大変有意義な読書体験でした。
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代替策もないのに「原発反対だ」とか「資本主義は崩壊する」っていくら喚いても、建設的ではないから、あまりいい本とは言い切れないですが、論理は正しいのかなと納得させられるため、筋は通っていると思います。今の政策は実に現実的でしょうがないものだと思いますが、でも、見方を少し変えれば、少子化を無視して、オリンピックに投資をして、汚染水を無視して、原発再稼働はどうかと思います。うわべを取り繕い、将来の世代に負の遺産を残すのはもうやめなけばいけない絶好の機会かもしれないですね。
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新書の中に盛り込むには、盛りだくさんな内容を凝縮した著者の渾身の一冊。
著者のこれ迄の著作の主張が一本の鎖で繋がった読み応のある議論が展されている。惜しむらくは結言にあるこういう主張が成長論者の戯言に書き消されて日本がどんどん間違った方向に舵を取りつつある現状をどう変えて行けば良いか?が見えない事であろう。
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キリスト教の記述がしっかりしており、資本主義のメカニズと近代史が一望できる良書である。『超マクロ展望 世界経済の真実』では控え目だった水野が本気を出すとこうなるのね。いやはや、ぶったまげたよ。
http://sessendo.blogspot.jp/2014/07/blog-post_57.html
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非常にわかりやすい現状分析で、今後の日本経済や世界の経済がどのような道を進むのかの大略をイメージするのに少なからずこの本は影響するだろう。
ただ、資本主義が崩壊したのちに関してはわかりません地球上の知を結集してくださいという態度なので、あくまで現状の把握に留まる。
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成長がいつまでも続かない資本主義の限界はみな薄々感じてるのだろうが、現実を直視したり、ましてや成長至上主義から卒業することは、なんと難しいことか。しかしこれを変えていかないと世界の未来はない。現政権や世界の動向、そして人々の行動(自分も含め)をみてると暗澹たる気分になるのは否めないのが、正直なところ。
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これは、驚いた。
資本主義の終焉は、私が生まれた1970年には始まっていたというのである。
資本主義の基本というのは、価値の高低差を生まれる環境の中での商売であり、過去を振り返れば地域差出会ったのだろうが、現在に至っては地域格差がかなり縮まってきている。
ということは、収益を上げにくくなってきているということである。
現在の資本主義がなくなろうとも、人々の暮らしは混乱しながらも続いて行くことは歴史が証明している。
インターネットを活用した情報社会が作り出した、記入ワールドの資本主義が本当に終焉する頃、ごく一部の誰かが搾取する社会から、みんなで分け合える社会に移行できるのだろうか。
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水野和夫さんの著書は初めて読んだ。
要点としては、先進国は数十年前からすでに、資本主義に基づく投資による開拓の余地が残されておらず、それが低い利子率となって現れている。
それを克服するために生み出された金融・電子空間という投資先は、長期的にはバブルを生むだけで、バブル崩壊と同時に中間層は没落し、社会の格差は広がっていく、というもの。それほど真新しいトピックではないと感じた。
問題点の指摘はされているけれど、タイトルに「資本主義の終焉」とあるわりには次のパラダイムへの展望はなく、「歴史の危機」という言葉が何を指しているのかもよくわからなかった。
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限りある資源の中で成長し続けるのは無理なことは皆分かっているけど気がつかないふりをしてきた。大きなパラダイムシフトが起こるのは近い。