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2014年19冊目。
「いない」のではなく、「いたものを失う」の方が、
一見収録された6つの短編を貫くテーマとしては合っているかもしれない。
だけど、描写されているのは「失う」瞬間以上に、
やはり「いない」という時間の中で現れる心情だったりするから、
タイトルはこれでいいのだと納得したり。
人はいつだって、「過ぎ行く出来事」を生きる以上に、
「出来事に対する瞬間瞬間の解釈」を生きるもの。
それが人を苦しめもするし、豊かにもする。
読後ものすごく余韻に浸るかと言われたらそんなことはなかったが、
なんだかんだで一気読みしてしまった。
「色彩を持たない・・・」のタイトルもそうだが、
概してこれといって見た目や性格が際立たない人物こそ、
変化を起こしたり何かを引き出す触媒になるのが面白い。
触媒ってそういうものだな、と。
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今までの村上作品で、謎のままに
されてきたことの「答え」が
だいぶはっきりした言葉で
近くに見えてきたような…
そんな気持ちになりました。
そう、いつも「続き」が知りたかった。
自分では予想もできない「続き」が、
自分の深い所につながっていく「続き」が。
そのもどかしさが、少しクリアになって、
また、新しい「続き」が楽しみになった。
そんな感じです。
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『1Q84』以前の濃密なハルキらしさからは少し離れた『つくる』に引き続いてさらっとしたハルキ作品だった。ただ、後半に行くほど、少しまた深くもぐっていきそうな感じはある。なんだかんだで一番最初の『ドライブ・マイ・カー』がいちばんよかった。少し前に『風の歌を聴け』を読んだからかもしれないが。
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どの話も生臭い。短編が続けば続くほど生臭くなる。さらに村上春樹のわかる人だけわかればいい的な傲慢さが出てくる。ケチがついた作品を集めた感じが、取って付けた表題作に結集して終わる。だからこそ最初の期待して読んだ短編のある種のストイックさが気持ちよく感じられた。面白かったかと聞かれればイエス。楽しかったかと聞かれればノー。ちなみに読み終わったのがちょうど一時過ぎだったが、電話は鳴らなかった。
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成熟して厚みを増した男たちの話。
村上春樹は短編だろうが長編だろうが、なんでもいいからとにかく読みたい作家の一人。
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やはりこの人は長編より短編の方が個人的には好みのようだ。
イエスタディと独立器官が好きだった。あとは、木野。自分の感情から目を背けない。
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六つの物語からなる短編集、やや物足りなさがあるのか(特に五話、六話)妙な余韻が頭の中をグルグル回る感じ、久しぶりの短編村上ワールドでした。
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喪失感を描き続けてきた作家なのだと思う。
今回の作品「女のいない」の「女」とは感情のことなのかな、と。
合理的(近代的と言い換えてもよいのかも)に生活することで、感情を喪失していく。それは年齢とともに感情を抑制する術を身につけることと、現象としては似ているけど異なるものなのだ。主人公たちはそれに気づけない。
「木野」「独立器官」がお気に入り。「イエスタディ」も可愛らしい。
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6つの短篇を収録。ただし、最後のは「あとがき」のようなものなので、5つの物語+1といったところ。いずれも、シングルモルト・ウイスキーとビターチョコレートの味わいだ。恋の物語は、通常はその成就までを描くが、ここではその喪失を描く。鷗外の『舞姫』に似た手法だ。失われた時間は、それ自体でロマネスクだという意味において。タイトルは「女のいない男たち」だが、内容的にはむしろ、男にとっては、とうとう最後まで理解の及ばない、女のある部分を描いた小説だと思う。つまり、これは喪失とすれ違いの末に取り残された男の物語なのだ。
篇中でもっともせつなかったのは「イエスタデイ」。ちょっと珍しいのは「吉備津の釜」(『雨月物語』)の物忌みを思わせる「木野」か。
また、「木野」にトーレンスのプレーヤーとラックスマンのアンプとJBLのスピーカーを組んだオーディオが出てくる。たしかにジャズを聴くのだから、これでいいような気もするが、トーレンスとラックスマンの組み合わせなら、スピーカーはむしろタンノイかと思う。
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早速買いました。春樹さんの短編大好きです。ゆっくりゆっくり読みたいです。
読みました。
9年ぶりの短編集ということでしたが、期待通り面白かったです。まさに村上春樹ワールドなので、好き嫌いがはっきり分かれるかもしれません。私は彼の文体が好きなので読みながらニヤニヤしちゃいました。最後の方はなんだか、ねじまき鳥を思い出させてくれました。
村上さんは、いつも私をわけのわからない世界に連れてってくれる…。
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村上春樹だなー。
最後の「女のいない男たち」はよくわかんなかったけど、あとは面白かった。
シェエラザードが一番好き
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村上春樹の短篇集は,どれも好きだけど,これもなかなか良かった.
どのエピソードも,「女がいない男たち」というテーマで書かれているけど,一つ選ぶとするなら,「独立器官」の渡会医師の話が良かった.
しかし,それよりも,個人的に,前書きがあまりにも村上春樹過ぎてそこが一番お気に入りなところだったりする.
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う〜ん。
長い人生、一日くらいこういう気分になってもいいけれど、長くいたい場所じゃないな。
個人的には『パン屋再襲撃』みたいな短編が好きなのですが、これはどちらかというと『1Q84』タイプ?
本質を描くために様々な人間を描いているように感じましたが、ぐるぐる迷路をたどっているようで、少々健全性に欠けます(笑)
村上春樹作品に一定の解釈を求めるのは野暮というものでしょうが、収録作品の一つ『木野」だけ、ちょっと不思議な人物が登場していて、「アレは何だったの?」とちょっと気持ちが残りました。
全体的に中年男性の悲哀みたいなものを感じてしまったのですが、まさか作者の反映じゃないよね?(苦笑)
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初、村上春樹さんです。好みが分かれるとの事で、構えて読みましたが読みやすい。読み終わりました。私としては、『独立器官』が好きです。恋煩いで死ぬというのは、ある意味では幸せなのか?
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20140608
村上春樹の短編を始めて読んだ。そもそも女のいない男たちというテーマが好き。
一番強烈だったのは「独立機関」。一人の女性を愛し過ぎたため餓死自殺した特別な人。強烈。
後味悪かったのは「木野」。痛みを感じない人はたぶんいない。本当は深く傷ついてるのに傷つくことから逃げている。その代償はあとから必ずやってくる。
「イエスタデイ」はなんとも。関西弁とか意味わからなすぎる。
「シェエラザード」は中年女の語る過去は病的だけど、恋って得てしてそういうものだとも思いました。
一番好きなのが「ドライブマイカー」。失った妻と関係を持っていたたいしたことない男。生きていれば自分の娘と同い年の女性に車の中でそんな話をする。いいなあ。そういう出会い。