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結婚について語ることはすべて、自分の結婚であれ他人の結婚であれ、「わたし」を語ることだ。語らないことのなかにさえ「わたし」が語られている。
離婚と失恋は全くべつものだった。夫を失うとは、自分のつくりあげた世界の一部をごっそり奪い取られることであり、自分をやわらかく支えてくれる過去と未来を、あたたかく見守ってくれる恋人と家族を、いっぺんに失い、裸でひとり放り出されることだった。
残欠
自分のことばーっかり考えてると、大抵行き詰まるから。自分を見つめないこと。そんなヒマがあったら、他人を見つめたほうがいいよ。
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2015年四冊目。
昨年末の、女性作家による官能アンソロジー『果てる』で気になった、作家、田中兆子の
初読み。
そして、R-18文学賞出身作家としては4人目。
連作短編集、6編収録。
個人的には、「べしみ」「残欠」が好み。次が「母にならなくてもいい」「熊沢亜理紗、公園でへらべったくなってみました」(以下、省略)の順かな。
特にR-18文学賞受章作、「べしみ」は性行為ではなく、ある女性の性欲に焦点を絞って書いている。「官能か?」と問われれば、「ん~っ」と唸ってしまいますが、別の意味で新鮮。
「残欠」はアルコール依存の主婦の話。この6編の中では、へヴィー目。配置もちょうどイイ感じで、アクセント、スパイスとしても機能してる。
残りの4編は全体的に軽快な表現&文体で、読みやすく、読んだ方々の好みが出るのかな?と思います。
主に、40代の女性主人公がリンクしあうので、順を追って読んで下さい。
この作品もアラフィフのオッサンにはすすめられない。逆に同世代、そしてその世代をいずれ迎えるであろう、女性にはちょっと読んでもらいたいかな……?!
再読の際はお気に入りの表現を引用しつつ……。なんてのも面白いだろうな。
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色々生々しい短編集。アラフォー女性には特に共感できるところがたくさんあった。
一番好きなのは「 熊沢亜理紗、公園でへらべったくなってみました」。
50才目前でリストラされ、家族も彼も居なくて、誰にもリストラされたーって言う相手すらいない。
就職活動しないと貯金は減る一方だけど、全然やる気が起きず、ほとんど引きこもりになった時に公園で寝転んで大地と一体になったような安心感があり、ささくれてた心が穏やかになり、親戚や友達にやっと会うことにして、それをきっかけに就職活動を再会して、今までとは違う自分で生きていける気がしてるという話。
私には家族もいるけど、主人公の気持ちもよくわかるし、自分がこうなったら…って考えながら読んでいった。最後は前向きになって嬉しかった。
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読み終わって、タイトル見返して、ああ、なるほど、と。何歳だって女は女だし。それはこの話のメイン40~50を過ぎても同じだから。実体験として頷けた一番最初の「結婚について私達が語ること、語らないこと」、ラストの「べしみ」はさすがのR18という感じで若干気持ち悪かったけど、その他は共感度の差はあれどさらさらっと読めました。大人の女性は読みやすいかな、と思います。作者さん、これがデビュー作なんですね。
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話題になっていたので、とりあえず図書館で借りて読み始め。
短編集ということで読みやすくて良かったし、すべての話がどことなく繋がっていたのがさらに面白かった。
性的な描写の中にもいやらしさや恥ずかしさといった感情はまったくなく、素直に読み進めることができた。
共感する部分も多く、新たな発見もあり、新鮮な気持ちで読めた本。
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独身で女性が今の時代を生き抜いていくということを考えさせられる。そして、ちょっと考えてみると、この問題は既婚であろうとあまり変わらないことにも気づく。重くて考えたくないことだけれど、うつうつとならずに読み通せ、読後はすがすがしい。
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アラサーからアラフィフまでのあらゆる生き辛さを抱えている女性たちの話の短編集。めちゃくちゃ面白くて一気読み。
予備知識なく読んだので、衝撃的な話が多くてビックリした。
話の途中でどんどん種明かしが出てくると、読むスピードが加速する。
どの女性主人公もいろいろと考えすぎたり、厄介事を抱えていたりして、女という性のめんどくささが細かくしつこく描写されていて、それが素晴らしかった。
オムニバスの映画みたいに、話の中に出てくる登場人物たちがニアミスしたりして同じ世界の中で違う女性のストーリーが同時進行していく感じもよかった。この主人公はさっきのこの話に出てきた人だ!ってなって。
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四十女が主人公の作品にはあまりお目にかかってなかったので新鮮でした。
公園でへらべったくなった話が最も良かったかな。
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ブクログで他の人のレビューを辿って見つけた本。
この話で出てきた幸せそうなあの人は別の話では悩んでいたり。
登場人物がつながっていて、スターシステムというよりも、あの人もこの人も自分も、みんな、それぞれ色々あるのだなと感じさせられた。
何にも解決していないし、年をとるのが怖くなる。
自分もここに出てくるような女になるのではないかと。
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ある程度分別もつき、一見はなにごともないかのようにいながら、いろいろな欲と闘いながら生きてくリアルが存分にて描かれている。
べしみ、が受賞作とのことだけど、ほかの作品も壮絶。とくに残月の凄まじさは圧巻。
こどもとおとなの中間のこども、老いていく親、夫、彼氏、友人……人間関係も仕事も友だちも、ある程度重ねてきたなかで、人と比較せず幸せに生きることはほんとうに難しいと感じた。
もちろん、悩みつつ自分と手を取り合って生きていくしかないし、出来る限り楽しく生きるのがよいと思った。
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R-18文学賞を取ったと書いてあったので借りていた。全然いやらしくないね。
30代だけどすでに共感。
他の話しも女の人特有の悩みがたくさん。
男が読んだらつまらないかもしれないが、読んでどんな事を感じたか聞いてみたい。
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40代独身、30代独身、20代既婚のキャディーたちが思う結婚観。
仲のいい夫に、もうセックスはしないと宣言されたビーズアクセサリー講師の空洞と葛藤。
バツイチ子なし独身40代の仕事と女としての人生。
アル中で毎日生きるか死ぬかの瀬戸際で息子への罪滅ぼしと家族の絆。
天涯孤独で50歳でリストラされ、途方に暮れて公園でうつぶせになってわかったこと。
突然溢れ出てきた性欲に喜び困惑する40代の悩み。
最初の話はなんだか騒がしい話だなと思い、アル中の話は壮絶。
怪しい小説家志望は西村賢太ファンとか、
酒が出てくる小説、村上春樹と川上弘美は読まないとか
川上さんは酒そんなにたくさん出てくるかな??????ってなった。
とにかく盛りだくさんで濃厚)^o^(
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結婚について私たちが語ること、語らないこと…マシンガントーク全開で全てを語り尽す。
花車…行くのか、行かないのか、揺れ動く心に色々と理由付けがされる。この焦燥感、迷い、高揚感がシェークされた感じが病みつきになったりする。
母にならなくてもいい…自分のつくりあげた世界の一部をごっそり奪い取られること、確かに離婚はこんなものだと共感した。
残欠…アルコールから逃げられない苦しみ、恐ろしさがよくわかる。1歩づつゆっくりと、しかし確実に死に近づいていく。
熊沢亜里紗、公園でへらべったくなってみました…評価はこの章。中高年の非正規は日本の抱える大きな課題。身につまされる思いで読んだ。
べしみ…こういう孤独さが今の日本に満ち溢れているのかと思うと寂しいものがある。満たされることなく消えていく性欲というのも味わい深い。
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個人的には「残欠」が良かったかな。直也くんはいじめられてたんだろうか。代わりに手作りおやつ食べたい。というか旦那さんほしい。
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2015/12/23
40女の甘くない短編集。結婚、セックスレス、リストラ等々息が詰まりそうなところをユーモアある「べしみ」で締めてくれて助かった。
「恋愛も買春も何もできない四十女ってほんと困りますよお」(べしみ/240P)
これから私も中年になるんだな..