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山陰中央新報で読む。澪は、この事件までの結婚生活で蔵太の魅力を見出だせなかったのはどうしたものか。幼い子女、子息でさえあれほどしっかり父の本質を理解していたのに。
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心極流の達人ながら、凡庸な勤めに留まる蔵太。二人の子供とともに穏やかに暮らす、その妻・澪。藩校の秀才と謳われ、側用人にまで出世した笙平。澪と笙平は、かつて一度だけ契りをかわした仲だった。黒島藩を揺るがす政争の嵐の中、三人の想いは交錯する…。日本人の心が紡ぐ、美しく、哀しき恋。
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最初のうちは、昔に契を交わした男を忘れずに心が揺れる澪に共感出来ませんでした。その男を救うため奔走する澪を見守り、澪の危機に助けに来る澪の夫、蔵太。蔵太の人間の大きさや自分への愛に気付く澪。蔵太と澪の子ども達もかしこい。結局は夫婦愛の話でした。澪が香をよく思ってなく、香もまたそんな澪を嫌っているというのはよく分かるし、そんなところをまた作者はよく表現してると思いました。
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今は二人の子供とともに穏やかに暮らす澪は、かつての恋人笙平の窮地を救おうと身を捨てた行動に出る。夫の藏太は……。
追い込まれたときに初めて分かる自分の思い。藏太の人間的な大きさに惹きつけられる。
美しいが、美しすぎて少し物足りないようにも思う。
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読み始めは「不倫ものかよー(›´ω`‹ )」と思ったけど、ナニコレ素敵な夫婦愛。寝言の下りとかときめくー。(๑˘∀ ˘๑) 。*
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世間では意外と評価が高めでびっくりした作品。
人妻の恋とかなんとか今流行りだからね、初恋の彼と夫との間で揺れ動く主人公の心を描いたベタなお話でした。
彼の(見た目に限らず)外観的なところに惹かれていたけれど、夫の内面の素晴らしさに気付くにつれ彼の至らなさが目について、結局この人でよかったわ、と夫婦愛を再確認してめでたしめでたし、って感じのお話です。
悪くはないんでしょうけど、深さが感じられないというか、彼らのうわべの言動や行動にときめいたり幻滅したりで、子供っぽい主人公 に共感出来ませんでした。
また、夫の、作られた安っぽいキャラクターにもリアリティが感じられなくて、ときめけなかった。
著者の直木賞作品である蜩ノ記がよかったので期待し過ぎて厳しい評価をしてしまったかな・・・
こんな薄っぺらい人物像しか描けない人じゃないと思うんだよなあ。次作に期待して☆は甘めです。。
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澪の揺れ動く心にいい加減にしろと思うが、こんな女心もあるという事でしょう。それに比べて蔵太の潔いこと。ほれぼれする。こんなよい夫がいたら何の不足もないでしょうにと思うのは、よその夫だからでしょうか。
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我が家で取っている地方新聞で連載していたときに、毎回読んでいました。
澪ちゃんと蔵太さんの夫婦愛に、ほっこりさせられるお話でした♡
万葉集の『紫草のにほへる妹を憎くあらば人妻ゆゑに吾恋めやも』(大海人皇子)をこの作品で知り、のちに、「あなたを憎く思っていたら、あなたは人妻なのですから、私は恋したりしていませんよ」=「あなたをどうしようもなく愛しています」という情景があるというのを知り、それ以来、大好きな和歌になりました。
「人妻ゆゑに~」は、互いに別の相手と結婚した幼馴染ふたりの、かつて胸に抱いた淡い想いを代弁しているかのようです。
幼馴染の危機、彼を取るか夫を取るか。
妻が幼馴染を助けたいと言ったら、妻の大切な人だからと手を貸してくれる、そんな蔵太さんの懐の広さに感服いたします。
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想いを寄せていた人との再会により、揺れ動く主人公。
最後は収まるところに治まり、良かったな、と。
子ども達も立派です。
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2012〜13に地方紙17紙に連載されたものに加筆修正し単行本化。
黒島藩郡方に勤める夫を持つ澪は、隣家の幼馴染で夫婦になるはずだった葛西笙平が、江戸詰となって側用人の娘を娶ったことにこだわりを抱えていた。
しかし無実の罪捕らえられ国元への護送の途中で脱走したことを知り、澪は匿って藩主の母に助けを請う。
追っ手が迫るなか、澪を信じる夫が駆けつけるのだが、澪、夫、笙平の思いが交錯し、澪は何が自分に最も大切なものであるかを確信してゆく。
澪の行動に度々はらはらさせられる展開なのだが、その分安堵感に満ちた想いに落ち着かせてくれる。
剣術の達人でもある夫が語る、物事を俯瞰して捉える「天の目」、わずかのゆとりを持つ「一息の抜き」という剣の心構えが、心に残った。
「天の目」
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2016.08.11
本当に久しぶり、5年以上経つか、葉室麟の本を読んだ。正しきこと、人を信じるということ、命は誰のものかということを改めて知ったように思う。迷った時は自分の心に聞け!
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L
デジャブー感満載なのだが、この手の話、葉室作品でなかっただろうか?
いや、あるはず!ってくらい既視感否めず。
澪。結婚12年で2人の子を設け、なに不自由なく暮らしていたのに、結婚前に契った男を助けようと奔走。まー本の半分までこのバカな女の行動が続く。本当に読むのをやめようかと思うくらいの浅はか。が、後半は夫の本来の姿に今更ながらに気づいて夫を見直す…ってやっぱり似たようなのあっただろ?ってくらい、これが葉室ハワールドなのか。
夫の心持ちもこれまた美しすぎるくらいの既視感。そんでもって子供達が出来過ぎでたまらない。たまらなく嫌(笑)
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澪の行動に対して、夫の蔵太が出来過ぎていて、現実離れし過ぎていて、全然共感出来ませんでした。
こんな素敵な旦那様が実際にいたらいいなとは思いましたが・・・。
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ひとのなすことはせせこましく、あまりにも小さい。けれど、小さいがゆえにせつなくもあり、いとおしくもある。
これは、主人公 ― 澪とその夫 ― 蔵太の二人が山奥の炭焼き小屋で満天の星空を見上げながらの会話の場面から抜粋ですが、この作品の主題の一つであるような気がします。
(内容紹介)
人妻の恋は罪でしょうか?
心極流の達人ながら、凡庸な勤めに留まる蔵太。二人の子供とともに穏やかに暮らす、その妻・澪。すれちがいの暮らしを送る澪の前に、一度だけ契りをかわした男・笙平があらわれる。
側用人にまで出世したかつての想い人との再会に、澪の心は揺れる。今、ここで、心のままに生きられたなら――。
紫のにほへる妹を憎くあらば 人妻ゆゑに吾恋ひめやも
直木賞作家が描く、人妻の恋。日本人の心が紡ぐ、美しく、哀しき恋。
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昨年12月、作家・葉室麟が亡くなった。
66歳であった。
葉室麟は遅咲きの作家で、デビューしたのは、2005年、54歳の時である。
わずか12年という作家生活だったわけだ。
しかしその著作は、50冊を超えるほどの量産であった。
まるで残された時間が、わずかであることを知っていたかのような多作ぶりである。
そしてそれらの小説で書き続けたのは、人間がもつ尊厳や真心といった精神の美しい輝きであった。
それはこの小説でも描かれていることである。
主な登場人物は、3人。
黒島藩六万石の郡方を務める萩蔵太とその妻・澪、そして江戸藩邸側用人の葛西笙平。
萩蔵太は心極流の剣の達人だが、普段は仕事一途なだけの地味で目立たない男であった。
その夫に18歳で嫁いで12年になる澪は、二人の子供を授かり、平穏な生活を送ってはいたが、夫にいささかの物足りなさを感じることがあった。
そんな折、幼馴染であり初恋の人である葛西笙平が、家老の意に染まぬことを行ったという理由で、国許に送り返されることになり、その旅の途中で逃げ出してしまう。
その葛西笙平が、澪の前に突然現れる。
彼を匿うことになった澪と笙平ふたりの逃避行が始まる。
それを見捨てておけなくなった蔵太が後を追い、ふたりに力を貸す、というのが物語のおおまかなストーリーである。
3人の交錯する思い、そして騒動の顛末はどうなるのか、その面白さに一気に読み終わってしまった。
それはこれまで読んできた葉室麟の、いずれの小説とも変わらぬ面白さであった。
ところで和歌や俳句に傾倒したこともあるという葉室麟の小説には、しばしば和歌や俳句の引用がなされることがあるが、この小説でもいくつかの和歌が登場してくる。
そのなかのひとつ、「紫草のにほへる妹を憎くあらば人妻ゆゑに吾恋めやも」が、小説の最後に効果的に使われている。
これがこの小説の題名として使われているわけだが、その心境に至った夫婦ふたりの慎み深い機微を表して、印象深い結末になっている。
「精神の美しい輝き」が、ここでも見ることができる。