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脳出血や急性腹症はすぐに処置しないと命にかかわります。
やはりすぐに必要な検査というものはあるものです。
大淀町立大淀病院事件では、患者さんが病院をたらい回しされている間に脳出血で亡くなりました。頭部CTの撮影が必要だったのです。
wikipedia:大淀町立大淀病院事件
アメリカの医療制度についてのマイケル・ムーアの映画『シッコ』では、保険制度のために病院をたらい回しされているうちに急性腹症で亡くなった例が紹介されていました。
医療被曝を悪者にして叩いていると、こういった必要な検査までできなくなってしまいます。
つまり、数十年後に発生するかしないか分からない癌の心配なんかするより、今現在生きるか死ぬかの問題なのです。
「あつものにこりてなますをふく」という言葉があります。
「原発事故にこりて医療被曝を叩く」といったところでしょうか。
「リベラルのことは嫌いでも、リベラリズムは嫌いにならないでください」
というわけの分からないタイトルの本がありましたが、
「原発のことは嫌いでも放射線医学は嫌いにならないでください」
です。
確かに本書を読んで、放射線が人体に及ぼす影響についてよく分かりました。閾値もホルミシス効果もなく、被ばくすれば被ばくするだけのリスクはあります。
それでもやはり必要な検査というものはあります。
ただの頭痛か脳出血か、ただの腹痛か緊急手術が必要な急性腹症か。
自己責任であり自己判断できるように、普段から身体からのメッセージを受け取れるように気を付けていなくてはなりません。
本書では健康診断も意味がない、と主張しています。
確かにそういう考えの人も多く、そういう趣旨の本も色々出ています。
しかしやはり私は
「早期発見・早期治療」
の方が信頼できるし納得できると思うのですが。
それは考え方の問題でしょう。
しかし本書を読んで初めて知って驚いたのは
「福島原発事故で汚染された土地に住む住民の年間の線量限度は
20ミリシーベルト」
ということです。
公衆の1年間の線量限度は1ミリシーベルトですから、その20倍!
これは極端な規制緩和というか安全緩和、健康緩和です。
本書でも批判していて、これに関しては私も同意見です。
ちなみに、本書に掲載された医療被曝の参考値。
胸部レントゲンは0.12ミリシーベルト
胸部CTは7.9ミリシーベルト
バリウム注腸検査は9.2ミリシーベルト
などと記されています。
福島の年間20ミリシーベルトとは、CTやバリウム検査の2倍以上の値です。
近藤誠氏をはじめ、医療被曝否定の論客の先生方は、福島の年間20ミリシーベルトについてどう考えているのでしょうか。寡聞にして私は知らないのですが。
http://d.hatena.ne.jp/nazegaku/20170717/p1