投稿元:
レビューを見る
精神病の患者には自分自身がおかしい、異常であるという認識が欠落しているのに対し、強迫観念患者は自分が悩んでいることがらが馬鹿げている、不合理だと理性的に認識しておきながら、それでもなおかつ悩まずにいられないのである。強迫観念の人は、周囲から異常な目で見られるのを極度に警戒するのである。
(人間の知力自体が病の原因)……健康な生活を送り、より良い人生を全うしたいという、人間が本来持っている理想心・向上心・生存欲の裏返しなのである。
(森田療法とは?)……治療の原則として、薬物はまったく用いず、純粋に精神的指導によってのみ治していくものである。まず患者をテレビ・ラジオ・新聞などのまったくない個室の中に閉じこめ、外部と遮断された環境の中で、寝床の中に患者を横にならせたままにし、不安・苦悩・煩悶、すべて起こるがままにまかせ、患者を徹底的に悩み苦しませる。一週間ほどしてこの状態を突破できると、患者を個室から出し、まず最初は軽作業を行わせ、これを漸次重労働にもって行き、その間に毎晩日記を書かせて心境の変化を記録させ、これに医師が色々批判を書き加えて、強迫観念が単なる観念的な誤想に過ぎないことを、患者に悟らせていくのである。
(絶対的に生きるとは?)……「絶対的に生きるというのは、何々だから生きる、善だから生きる、楽しいから生きる、というようなことではなく、直接に端的に生きるのです。楽しかろうが、苦しかろうが、ただ生きるのです。なすべきことをなすのです。目まいしながら、数をかぞえながら生きるのです」。