紙の本
不思議なことが当たり前に起こる暮らし。
2015/09/11 09:55
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投稿者:紗螺 - この投稿者のレビュー一覧を見る
小路幸也の他の作品とはタッチが全く異なるので、少し驚いた。でもそれはいい意味での驚きだ。魍魎が出てきたり、不思議な事柄が次々起こったりして、主人公はそれに関わる。具体的には、魍魎をを開放したり封じたりする。そういった、自然の中の怪異現象をさらりと当たり前のように描いている。この「当たり前」というところが大事で、あまり大仰に書かれると白けてしまいそうなところをうまく補っている。
ただ、説明が足りないのでよくわからず、物足りない感じがするところもあった。その意味では、やや作者の自己満足的な部分も感じる。雰囲気は悪くないけれど、もうひとひねりほしいといったところ。
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家に帰ると妻が猫になっていた、っていう設定からしてじわじわ来る。しかも妻が猫になったことを認めるまでが、1ページとちょっと。淡々とあるがままに受け入れてる。
次々に現れる怪異を鎮めていく話なんですが、派手なところはなく、静かにあるがままに受け入れて為すべきこと為す。そんな静かな物語でした。くどくどと説明がないことを良しとするか物足りないと感じるか。私は良しと感じました。
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生きていく上で降ってくる災厄――事を防ぐために
脈々と受け継がれてきた技を使う長筋の者。
ひっそりと人知れず「事を為す」彼が、家に帰ると
妻は猫となって待っていた。
「事を為す」前には決まって猫となる妻。
小さなひとつひとつはすべては彼の郷、蘆野原へと繋がっていく。
唱える呪が韻を踏んでいるようで、言葉遊びのようで
つい唱えたくなってしまう。
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イマイチ!
自分が想像していた物語とは違ってた。
陰陽師とかは好きなので、この本の世界観はすきだったけどもっと説明が欲しい部分が多かった。
表紙の猫が可愛すぎる✨
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妻が猫になってしまう男の話。
最近の小路さんとは少し違った世界。
故郷を離れても感じられるのは素敵なことですね。
数十年後にはまた開かれることがあるのかな。
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「猫になる妻」というとこだけで買ってしまった・・・。
なんとなく、「家守綺譚」を思い出した。
雰囲気というか、空気が似ているのか。
派手な事件が起きるわけではない。淡々とした日常の中でひっそりと小さな綻びを繕っていく。
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嫌いじゃない。嫌いじゃないけどスッキリしない。蘆野原ってなに?「古童?」「屋鬼?」「仮祇奴?」
伝承や民話、歴史に出てくる言葉なのかな?読み進めれば分かるかと思ったけど最後まで分からなかった。
まあ、分からないのは郷の者ではないからかも知れないけど。
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家に帰ったら迎えてくれるはずの奥さんの代わりに猫が1匹、奥さんの名前を呼ぶとにゃあと鳴く猫。
最初の1ページで奥さんが猫になったことに気づき、それを受け入れる主人公。
今までに読んだことのない展開に驚き、期待をして購入しました。
この不思議な感性の主人公は、あの世とこの世とを繋ぐ土地の長筋で、この世のあれこれをその能力で解消することを定めとしている大学教官。
奥さんが突然猫になってもそこまで驚かない出自の方でした。
土地、血筋、運命、新しい時代。
郷を捨てたものの、いつも地元を想っています。
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あれ?梨木さん?と思ってしまった作風。
なるほど、小路さんもこんなん書きはるんやねぇ。好きな雰囲気の作品だけど、最初数ページは予想と違ったので違和感あったかなぁ。すぐに馴染んだけど。
こういう本を読むと、山登りに行った時に出会う廃村なんかが凄く気になるようになる。その土地土地の道祖神や氏神様や道々にたたずむお地蔵さんや祠が気になりだす。
そして日本ってやっぱり多神教がしっくりくる国なんだなぁと思う。
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和風ファンタジーって言うか 奇譚って言うか。
恩田陸さんの「常野物語」の、光の側面って感じ。
個人的には好きなムードのお話。
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何とも不思議な内容の本でした。
この本と出合ったのも偶然。たまたまブクログの新刊案内を見ていたら、猫の表紙が目にとまり、タイトルに惹かれて…その時には購入しなかったものの、後日他の本とまとめて手に入れて。
あらずじを見て購入を決意したんですが、実際に読んでみると、そのあらすじから受けた印象と文章の乖離がはなはだしく、最初の感想は「なんだこれ?」というようなものでした。
このお話は、とにかく…whyとか、whatとか、howとか、そういうものにほとんど答えが与えられません。
読者は、必ずwhat is it?と感じるはずですが、作者はその問いのほとんどに it is it としか提示しません。とにかくそれが最初から最後まで続きます。
代表的なものが、読み始めからすぐに妻が猫になり「なぜそうなったのか」を究明するでもなく「そういうものか」で話が進んでいくことでしょうか。
あらすじでは主人公が「人に災厄をもたらすモノを、祓うことが出来る」「様々な禍に立ち向かっていく」なんて書いてあります。確かにその通りなんですが…その文章からアクションやバトル的な、あるいは「陰陽師」のような活躍を想像すると、全然そんな内容ではありません。
主人公ができることがあれば、それは誰に頼まれておらずとも、できることをするだけ。できるからやる、というだけの世界。奇妙なことがあっても、そういうふうにあるからあるだけ、という世界。
災厄の意味等も一切説明されず、祓う方法も一切説明されず。ただ、そういうものだ、という。
読み始めてすぐに面食らいました。
でも、読み進めていくと惹きこまれます。
意味ありげな文章や名詞がたくさん出てきます。
「ラップ」ではなく、「和歌」的な韻をふむ言葉もたくさん出てきます。
が、それらの説明は全くありません。
面白いと感じられる人と、受けつけない人に分かれる作品ではないでしょうか。
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あの世と浮き世の境にある村。その村人達が目立つ訳でもなく、かと言って他の日本人に認められない訳でもなく静かに妖(あやかし)を祓うお話。日本のどこかにあって欲しい村。いや、あるね。きっと。こういう柳田国男とか水木しげるとか民話のような話はやはり日本人にはしっくり来ます。いや、しかし、最近猫の表紙の本ばかり読んでる(笑)
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恩田陸の常野物語を思い出した。なんだろうなんだろうと疑問に思いつつも、するすると物語に引き込まれ楽しめた。詳細な説明などはないがほんわかし良い本だった。
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タイトルだけで手に取り、読み進めました。
初め、とっつきにくいのかと思われたが、
不思議と世界に引きずり込まれた。
一つ一つの意味が分からなくても、ああ・・・そうなんだと納得させられた。面白かったような・・・・何とも言えない不思議な感覚にとらわれた・・・。
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一言でいえば、悪霊的なものを祓う現代に生きる祈祷師のような一族の話でしょうか。
恩田陸氏の常野物語シリーズに似た印象です。
細かく描写せずに雰囲気で済ませるところ、不思議な韻を踏む呪文の美しさ、全てをあるがままに受け入れる物静かな大らかさなど、日本的なところが好みです。この呪文は恐らく小路氏のオリジナルでしょうが、言葉のキレに類い稀なセンスを感じます。