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こんなとてつもなく面白い本を今まで知らなかったことを恥じ入りたい。架空の山村ミナギを舞台に語られる荒々しいクロニクル。百姓が
杣びとが、幼い牧童たちが破天荒な物語を繰り広げてくれる。なのに読んでいるあいだは、この身も間違いなくミナギの畔や山や牧場に生きている気にさせられる。誰かれなく勧めてしまいたくなる一冊。
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ミナギというあるド田舎を舞台にした物語。農業、林業、牧畜業をテーマにした3編とおまけから成る。
方言丸出しの文章で大半を占め、バイオレンスな表現が多々あるので、好みは大きく分かれそう。私も最初は読みにくかったんだけど、、、途中からその生命力溢れる文章にやられてのめり込んでしまった。ミナギという舞台が同じなだけで、3編それぞれ独立した話なのだが、ゆる~く繋がっているのがまた良し。実はこの人が、というのが途中で分かって、キュンとした。私の一番好きな話は林業。最後、泣けてしまった。
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図書館で。
農業とは既存の自然を破壊するものであるというのはなんか納得。結局人間はヒトの暮らしに合うように環境を整えていった訳だし。そうやって考えると開墾するのもビルを建てるのも行動としてはさほど変わらないのかもしれない。
最初の農業辞める大作戦は面白かったんだけど次の林業は部外者っぽい女の子が一人ヒステリー起こしてるだけみたいに見えるし、その後の子供たちの話は正直、なんかバカ騒ぎしているだけのようで(しかも動物への被害が多いのが読んでいて居たたまれない)なんだかな、という感じでした。立花さんが狂言回しみたいにちょこちょこ出てくるのは面白かったけど。
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「日本の根幹を支える農業・林業・畜産を描く絆と再生の物語」
などという帯文から堅苦しい内容を想像してたらとんでもない!
中身はエンターテイメントに徹した、ロック魂炸裂のクライムノベル。
離農を考える二十代後半の農夫・林野省の役人の若い女性・牧場の手伝いにくる小学生の視点でそれぞれ語られているのだが、一人称視点の文体が全く違い、引き出しの多さに驚かされる。私は特に「第二次間伐闘争」の女性支点の、ニュートラルでポエティックな文体が好みだった。
キャラクターも立ちまくり!村中から頼りにされる最強の農夫(70目前)をはじめに、後家や古女房にモテまくりの色香匂い立たせる美青年、補聴器の上からヘッドホンを装備するその親友など、畔の区切りにおさまりきらない通称「あぜやぶり」と呼ばれる暴れん坊たちの活躍が痛快極まる。
就農・離農など、田舎の農村が抱える問題を取り上げながら、けっして堅苦しくならずエンターテイメントに落とし込んだ手腕は見事。
「(前略)百姓には百の業がある。その一つめが一揆だ」の演説はかっこよすぎる。
それでいてミステリーというにはささやかな成り代わりの仕掛けも憎い演出。
全編の共通項として「ミスリードによる人違い」が挙げられるのだが、ある人が帰還するエピローグでもそれは健在。餞別を見て初めて気付いた、自分は完全にだまされてしまった……。
登場人物も一部共通しており、「拳銃と農夫」のキャラクターが後の話に思いがけぬ形で登場する演出もスマート。同じ村を舞台にしながら時間が進んでいくので、あの人がまさかこうなるとは!と驚く。西部劇のカウボーイを例に引くまでもなく、農業とハードボイルドは相性がいいのかもしれない。
二話目の林業と共感覚を絡めた発想も面白いし、三話目は悪たれ牧童たちのジュブナイルな青春・成長小説で、皆テイストが違い飽きることなく一気読みできる。一番好きなキャラクターは惣。惚れたら一直線の血筋を感じさせる、親子の会話に痺れた。
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篤農家の老農に憧れながらも離農を考える青年
山中でのロックフェス開催に向けて感取りウッドマン達の伐採
牧童ガウチョ達の夜の戦い
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非常に評価が分かれる話かと思う
話の風呂敷の広げ方がすごく上手いと思うが、一人称の語りはとにかく読みにくい
盛り上げた割に各話のオチはちょっと物足りない感じがしてしまう
ただ田舎を牧歌的に描くだけの作品にはない魅力がある
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2020年、24冊目は、直木賞作家となった、真藤順丈の旧作。
一次産業が経済を支える、「御薙:ミナギ」村を舞台にした連作中編三本と、カーテンコール的エピローグ。
正直、『宝島』のインパクトまでは期待していなかったが、予想以上に良かった。ソレで、一晩、読了。
土地の言葉で描かれている点等は『宝島』に近い部分も感じる。『宝島』に比べれば、かなりライトであるし、土地の言葉に慣れない、各話が主人公の一人称語り的、クライマックスがドレも現実離れしている、とやや好み分かれる要素もあるが、自分的には、大きな引っ掛かりとはならず。
そして、カーテンコール的エピローグ。コレが、なかなか気が利いてる。
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「おれらの朝はばか早い。」
のっけの一文でもう心を掴まれた。
ミナギという村に暮らす人々の話である。
タイトルと表紙からすると銃をぶっぱなして戦う西部チックな物語のようだが、想像とは全然違うものだった。
鮮やかに輝く田園風景や、山を包み込む木々の青さ。
ミナギで暮らす人々の顔が映画のように頭に浮かぶ。
心温まる農業の話とも取れるが、想像とは違うものの物騒である事には変わりはなかった。
何章かに分かれていてそれぞれの主人公は違うものの、読み進めていくとすべてが繋がる気持ち良さ。
オチも無理矢理感がなく心地よく読み終える事が出来た。
少し難点なのがミナギの人達の言葉がかなり訛っており会話文が少し読みにくいところであるが、それがあるからこそ個々のキャラクターが鮮明にイメージ出来た。
理解出来ない言葉に関してはググれば良し。