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銘探偵メルカトル鮎シリーズ。自分は今回はじめて読みました。
で・・・なんだこれ?まったく解決せずに終わる。連作短編みたいなことで最後に全部が繋がった事件があって真相が・・・とか思って読み進めましたが最後までこんな感じで。「結末は読者の想像に任せる」とか「読者に推理してもらう」とかじゃなしに。なんだこれ?
と思ったら、どうも初めからこういう目的で書かれた一冊らしいですね。アンチフーダニット、というか。
うーん・・・じゃあ文句を言うのも筋違いか。。。うーん。。。興味深い試みの一冊ではあると思いますが、自分にはちょっとあわないかな?
あと、シリーズ探偵のキャラクターってホント難しいですね。エキセントリックなのも行き過ぎると単に嫌味な人物像でしかなくなっちゃうし。そのさじ加減が。メルカトル鮎はあんまり好感がもてず今後読みたいなとも思えずに終わってしまいました・・
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ジャズやミステリーの実験作ってハードル高いねんなぁ。
ディープなファンなら良さが分かるんだろうけど、「心地よい音楽を聴きたい」とか「あっと驚く犯人探しで楽しみたい」とか、そういうスタンスでジャスやミステリーを求めている俺みたいなナンパなファンは、戸惑うばかり。
この本に収録されている作品も、どこをどういう風に楽しめばいいのかさっぱり。他の評価やこのミスのランク(2012年7位)を見たら、そんなにひどい作品ではないんだろうけど…、オモロいかオモロないかの手掛かりすらつかめず。
恥ずかしながら、星数が少ない理由は、俺のスキル不足に尽きます。トホホ
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異端な作家が生み出した問題作
前代未聞の結末を見事に揃えた短編集。個人的には3話目が大変気に入った。もちろん奇抜な内容だけあって、後味が悪い部分もある。極限までミステリを追求した結果行き着いた境地なのだろう。ミステリ初心者や、王道派には推薦できないが、マニアックな人には読んでもらいたい。
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メルカトルが相変わらずと言う感じで、とても好き。
自分の目的の為なら犯人でっちあげなんて当たり前。
なのでメルカトルと美袋の為の殺人同様、本当の犯人が誰か?というのはわからないまま。
それがメルカトル鮎なので、そういうものだと受け入れるしかないけど今回本当に誰が犯人なんだよ!ってなりすぎて。
それが狙いなので仕方ないのはわかってるけど。
個人的には「九州旅行」が最高に好きです。
また、美袋がメルカトルの所為で酷い目に会います。
でもこの話で特によくわかるけど、美袋自身も相当アレな人間なので(翼ある闇を読めば更にわかる)、同情の余地が余りない(笑)
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2015年8月31日読了。「このミステリーがすごい!」2012年版の第7位の作品。「銘」探偵メルカトル鮎が強固な論理検証を武器に挑む事件の数々、その真相は・・・。バカミスというかメタミスというか、ミステリ初心者が読んだら怒り出すか本を投げ出すかしそうなトリックの数々だが、読んでいくうちに逆に「探偵とは何か?」「推理とは何か?」といったミステリの根本を問われているような気になってきて面白い。「犯人を特定する必要がないのであれば、それは事件ではない」「論理と現実に整合性がとれない場合に、論理を正とする」など・・・。変人だけに強固なメルカトル鮎のロジック、あなどれない。この探偵が活躍するシリーズはじめ著者の本は複数あるようだが、どれも頭が混乱しそうだ。
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論理的、詳しく書くなら論理的に正しく証明されている小説。
普段の常識が如何に論理的で無いのか。それを思い知らされる。いや、やっぱり変だよ。
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このミスベスト10、2012版7位。銘探偵、メルカトル鮎を主人公とした連作短編集。殺人が起きて探偵が推理するんだけど結局犯人が誰だかわからない話が並んででる。登場人物に魅力も感じなけりゃ、感情移入するわけでもなく、自分には何が面白いのかさっぱりわからない。
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ミステリマニア向け。個人的には伝説級の作品だが、評価が分かれる気はする。麻耶雄嵩を初めて読むのには全く勧めない。
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「答えのない絵本」のためにある短編集。全てに共通する項目があって、それが推理小説として成立しているのか?と疑問を持たざるを得ない。
主人公がひどいと言うより作者がひどい。「読者に挑戦状!」なんて甘っちょろいものなんかじゃない。「なんなんだこれ!」って本を放り投げるのを、鉈を振り上げてじっくり機会を伺われてる感じ。そんなひどい目に遭ったのに、読後にメルカトルを欲している自分がいる。麻耶雄嵩おそろしい。
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『~最後の事件』の後、いきなりこれを読んでしまいました。順番を間違えた感。
銘探偵メルカトル鮎が事件を解決しない、犯人を特定しないお話ばかりの短編集です。「本当に天才なのか」とか、言ってはいけないのだろうな。多分。これは狙って書かれているのだから。
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これは自分にはハイレベルすぎたかもしれない。
アンチミステリとわかって読んでいても、一話を読むたびに終わり方に茫然としてしまう。そして、読んでいるうちにそれが癖になって、もっと読みたくなる。
特に「密室荘」の「固めてポン」にはまってしまった。
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斜め上を行く麻耶ワールド全開。
マジでクソ(褒めてる)なメルカトル鮎は、本作品でも相も変わらずマジでクソである。
クソ人間は好きじゃないので、私が本シリーズを読んでしまうのは麻耶ワールドが好きだからと、一編一編の質の高さゆえであろう。
本作品では、メルカトル鮎が類い稀なる推理力を発揮して、論理的に犯人がいない(または絞れない)ことを明らかにする。
言ってることがよく分からないと思うけど、書いてる私もよく分からない。
普通、犯人がいないという結論に達したら、推理の方が間違ってるってことになるけど、論理は破綻してないので、「犯人がいない」という結論と「メル優秀」という評価が併存できている。
この奇妙な読後感が、麻耶ワールドの麻耶ワールドたる所以だ。
場合によっては、誤った結論に誘導されてる気がしないでもない。
まぁメルならやりかねないと思わせて終わるあたりが、メルがこれまで獲得した人徳(の無さ)のなせる技か。
真相が解明されてスッキリしたい読者には向かないと思う。
「死人を起こす」…学生グループが父親の伝で借りた風変わりな物件でお泊まり会を催すが、一人が転落死してしまう。一年後、弔いのために同じメンバーが現場に集って一夜を明かすことになり、ついでに真相を解明すべくメルに探偵を依頼する。しかしその夜、さらにもう一人が撲殺される。
メルはあろうことか、一年前に転落死した学生が今回の殺人事件の犯人だとする無茶苦茶な推理で関係者を論破。
もちろん有り得ないんだけど。
それより、遺棄された(らしい)第三の死体の行方が気になるわ。
「九州旅行」…美袋くんのマンションの同じ階の一室で住人が殺されているのをひょんなことから発見してしまう美袋くんとメル。小説のネタに困る美袋くんに、メルはネタ提供がてら状況から犯人を推理し出すも、ラストで「あくまでもフィクションの話だからね」と言い放ち、果たして現場に戻ってきた犯人は推理とは全く違う人、というね。
メルの美袋くん虐めが特に酷い一話。ウィルスが仕込まれてるかもしれないディスクを美袋くんのPCで試し(そして壊し)、巧みな話術で美袋くんを犯人が戻る現場に留まらせるメル、最低である。
「収束」…幻の書カテジナ書を入手した男と、彼を宗主と崇める若者たちが暮らす島。その島から戻らない娘を取り戻すよう依頼されたメルだったが、島に渡った日の夜にその宗主が射殺される。メルは推理で次に起こるだろう殺人の被害者と犯人候補を各三人にまで絞る。終わり。
三人に絞れたのはさすがだが、一人に絞れないのはメルの限界なんじゃなかろうか。でも堂々と「どれもが等しい確率で起こりうる」「明日になれば分かる」と言い放つメル、最低である。
真犯人はみすみす第二の殺人を起こして、連続射殺事件に発展するのだが。
探偵がいながら事件が未然に防げないからくりを見てしまった気分。まぁメルが依頼されたのは依頼人の娘の奪還であって、事件を解決する義務はないんだけど。
「答えのない絵本」…放課後、メフィスト学園の四階で物理���教員が撲殺される。四階にいた生徒は16人。そのうち二人の親から別個に事件を解決する依頼を受けたメルは、さまざまな条件から各容疑者の犯行可能性を潰してゆき、しまいには誰にも可能性が残らない、という話。
これなんか確実に誤った推理に誘導されてる気がしてならない。麻耶さんはちゃんと犯行可能な犯人をひとり用意してるんじゃないだろうか。
じっくり考えたくなる。
「密室荘」…美袋くんとメルがメルの別荘で寛いでいると、地下室から絞殺体が発見される。別荘は完全な密室で、犯行可能なのは中にいたメルと美袋くんだけ。お互いに自分はやってないと主張し、メルは不条理な死体をセメントで埋めて、無かったことにしようとする。
この話は滅茶苦茶だ。メル、マジでクソである。
ていうかメル別荘持ちすぎじゃね?
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摩耶さんの本が面白かったので、初めてメルカトルという探偵物を読んだ。
本格ミステリといわれている作品は、少し噛み応えのある硬い印象がある。
一般のミステリは結末が明かされていく開放感は謎解きが探偵でなくてもいい、登場人物たちの関係を解いて行くと、次第に謎が解けるといった作者の意図で解決することもある。
メルカトルという探偵は、天性のひらめきと判断力、事と事を結びつける、特殊なニューロンのような物質を持っている。
ということは探偵になるしかない人物のようで、そのいやみで高飛車で歯に衣着せない物言いといい、不可解な謎にでも出会わなければ逢いたくないという、実に可愛げがない人物に仕立てられている。
人間離れした趣味嗜好の持ち主だが、慣れれば、というか興に乗ればそれが病みつきになる魅力になりそうな気もする。
ワトソン役は憎めない人柄で即座のひらめきはないが、人柄としては普通人に近い。
この5編の短編集は、面白い仕掛けがさすがに理系工学部出身の作家だと再認識した。
「死人を起こす」
高校生たち6人が山中の別荘(カレー荘)で一夜を明かす。左右を線路に挟まれ、一階はレンガの壁の洋風建築で二階が純和風の木造建築という風変わりな建物だった。部屋には入り口の引き戸の内外に襖絵のような日本画が描かれていた。
二階に寝ていた一人が窓の下で死んでいた。それから一年後、メルカトルが呼ばれ死因を解明することになる。当時の状況は何かスッキリしない思いが残っていた。そしてまた一人が死んだ。自殺か他殺か、他殺なら誰が殺したか。部屋の配置、両脇にある線路を通過する列車の時間、探偵は短時間で結果を出した。
「九州旅行」
美袋のマンショの端の部屋でメルカトルが「血のにおいがする」といった。中で男が死んでいた。
死んだ男はキャップの閉まったマジックペンを持っていた。凶器らしいガラスの灰皿、宅配の不在通知、見つけた小物から様々に推理をめぐらす。美袋は予定の原稿が早く上がったので九州旅行を計画していた。解決が長引けば時間がなくなる。メルカトルは推理を提供して話のネタにするように言う。そして意外な結末が訪れる。
「収束」
島の宗教施設を訪れた二人は、台風に閉じ込められる。中庭で宗主と呼ばれる指導者が死んでいた。教会にはカテジナ書という幻の書物があった。目を通すと人神になって甦ると言う。
信者たちには様々な過去があり、島に來てからも複雑な人間関係があった。メルカトルは犯人の心理をシミュレートしながら推理する。
「答えのない絵本」
アニメやギャルゲーオタクで注意を受けていた、物理教師が理科の準備室で死んでいた。死亡時間に周りの4教室にいた生徒は20人。学校内部で処理するためにメルカトルが依頼を受ける。物理教師に来客があり、死亡時間の前後10分おきに呼び出しの校内放送が4回流れている。それを手がかりに生徒の行動を調べ、一人ずつ消去していく。
「密室荘」
二人は信州のメルカトルの別荘に来ていた。メルカトルは朝からセメントが届くといって待っている。訳を聞くと台所の��を上げて、地下室に入っていった。そこに男が首をしめられて死んでいた。
窓は全部鍵がかかり密室状態だった。
犯人は君か?僕か?
「密室には死体という不条理が存在する。この不条理を解決しない限り私か君かどちらかが犯人であると言うジレンマがつきまとう」
「不条理の根源は地下室の身元不明の男の死体だよ」
思いがけない、実に意外な方法でメルカトルはこれを解決する。
面白かった。こういうスタイルだってありなのだ。メルカトルの一見奇矯な人柄も、ある意味愛すべきではないかと思えてくる。
犯人はこの中にいない、ということは外の人々全てが被疑者ということもある。
メモしながら読むしかないという事件相手に、勘の鈍い読者(私)はメルカトル(作者)に頼るしかないと言うのも我ながら潔い感じで、その上事件が起きる環境の描写も何かありそうで、依頼されてメルカトルが来るまで、お決まりの事件はいつ起きるのか引っ張られ具合もいい。
だが一番の読みどころは、犯人探しではないという、いや、それはそうなのだが、最終でメルが下す結論の、珍しいアイデアに負けてしまうことだ。
「収束」は読みはじめから引き込まれ、その構想はどういうことかと二度読みしてしまった。
最後の「密室荘」でこの短編集のアイデアの意味を知ることが出来た。
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どう評価していいのかわからなくて混乱してる……。
「死人を起こす」「九州旅行」「収束」までは、色々思うところあり突っ込みつつも、まあ、ミステリの枠をはみ出てないというか、面白かったけど、「答えのない絵本」と「密室荘」はミステリではない……と思う。これがアンチ・ミステリという事なの?「密室荘」はともかく「答えのない絵本」はロジカルではあるのかな。いや……うーん??読み返して考えてみたい。
とにかく、読むごとにどんどん深みにはまる麻耶ワールドって感じ。固めてポンて。
「死人を起こす」は面白かった。本筋とは違うところでぽこんと出てくる殺人事件にちょっと笑ってしまった。
「九州旅行」も面白かった。めちゃくちゃ笑った。これはけっこうミステリ的で、あれこれこねくり回すのが面白い。落ちがすごかった。美袋このあとどうなっちゃったの……。
「収束」これも、最初の3つの事件がどうなるのか不思議だなと思っているうちに、あれよあれよとメルカトルがやってきて、事件が起きて……。てっきり3つの事件は全て起きるのかと思ってたので、最後なるほど!というのと、美袋!!!!っていうのと、でも私も同じ立場なら……見てみぬふりは出来ないにしろなんかどうにかできないものか?????とか、いろいろ考えた。とにかく、メルカトルだけじゃなくて、美袋も相当アレな人ではあるのよね。
「答えのない絵本」
「密室荘」
この2つには感想がないわけではないんだけど、どう書いていいのかわからない。
「密室荘」で思ったのは、メルカトルと美袋ってなんだかんだ普通の友人ぽい関係なんだねってこと。ほんとに嫌ならついていくなよ、と思うものね。
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毒々しさてんこ盛り。さすが、銘探偵メルカトル!
推理の筋は通っている風だけど、これで解決?!な短編集。