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○ メモ
○ 死人を起こす
高校生グループが,1階がレンガ造り,2階が古い日本の民家という奇妙な建物に泊まりに行く。その最中,メンバーの一人である生野という男が2階の窓から落ちて死亡する。警察は事故死と判断するが,本当に事故死か疑問があったメンバーの一人,長谷友幸,メルカトル鮎に依頼し,真相を調査してもらう。
メルカトルが訪れる日に,再びメンバーが集まるが,今度は新井という男が死亡する。道中で,ワトソン役の美袋が死体が乗った車を見つけてしまったことから,到着が遅れたメルカトル鮎は,依頼があった15年前の生野の死の真相と,新井の死について残ったメンバーに告げる。
メルカトルが,高校生グループに告げたダミーの真相。それは,1年前の生野の死は,警察の見立てどおり事故死であるということ。そして,新たに生じた新井の死は蝶が嫌いな男が犯人であると推理し,生野が蝶が大嫌いだったことを告げる。真犯人は,1年前に死んだ生野であることを,状況が論理的に示していると告げた。その証拠として,今いるメンバーの誰のものでもない男物のシューズを建物の裏で拾ったことを告げる。それが生野が建物に来て,新井を殺した証拠であるとして。
本当の真相。15年前の生野の死は事故死。新井殺しは,蝶が嫌いな謎の人物が犯人だが,それ以上は限定するための要素がない。容疑者は日本人全員,いやこの地球上の全員。事件があった建物は閉鎖空間でもなんでもなく,誰でも忍び込めた状態だった。メルカトル鮎が持っている犯人の条件は,蝶が嫌いな人物ということだけ。メルカトルは,報酬である館をすぐに手に入れるために,たまたま真犯人と同じ「蝶が嫌い」という性癖を持つ生野を犯人に仕立て挙げたのだった。
この短編の犯人は,地球上の人間全員が容疑者というところまでしか限定できないというのが真相。そうい短編である。麻耶雄嵩らしいといえば麻耶雄嵩らしい,なんとも言えない真相。メルカトルのキャラクターとめちゃめちゃな筋書きが楽しめないわけではないが,サプライズや爽快感はない。
○ 九州旅行
メルカトルは捜査で手に入れたロムディスクを美袋のパソコンに挿入し,美袋のパソコンのハードディスクを大破させる。たまたま,原稿のバックアップは取ってあったが,美袋はメルカトルを糾弾。メルカトルはお詫びに次の作品のアイディアを提供するという。事件を探すために部屋を出ると,メルカトルは美袋の部屋のすぐ近くの301号室の前で,「血の匂いがする。」と言い出す。
メルカトルと美袋が勝手に部屋に入るとこたつの脇に,背中に包丁を突き立てられた男が俯せに倒れていた。メルカトルは,美袋の作品のネタのために推理を始める。
死体は,右手にキャップをしたままの太目の油性マジックペンを持っていた。持ち去られたダイイングメッセージと嵌められたキャップの謎。しばらくするとテレビが勝手についた。そして午前6時頃,新聞が投函される。メルカトルは美袋に短編のネタがほしいなら3時間警察への通報を待つように言う。メルカトルは小説のネタとして人物設定について考え始める。容疑者と被害者の名前,温和で人見知りで実家が裕��といったパーソナリティについての推理をした後,寸劇を始める。
メルカトルは最後の詰めをしなければならないので少し出かけるという。美袋に,キャップをしたマジックペンとダイイングメッセージの謎と,ピースが欠けていると思われるジグソーパズルの存在について示唆した上で部屋を出る。美袋は推理を始める。
2時間ほど経って,メルカトルからの電話。真相を語る。真犯人はアリバイ作りをしていたという。メルカトルと美袋は,犯人が偽装工作をしている途中の部屋に入り込んだのだという。マジックのキャップはそもそも空いていなかった。これから,新聞の朝刊に,偽のダイイングメッセージを書く。被害者は,新聞が投函されるまでは生きていた,そう見せかけ,真の殺害時間のアリバイを作るというわけだ。
メルカトルは,美袋が原稿のバックアップを取っていることに気付いていた。そこで,原稿を消去した上で,ネタとして,殺人犯とミステリ作家の遭遇という機会を与えようとしていた。ラストシーンは,これまで推理していた恋人のナースではなく,謎の大柄なおっさんと美袋が対面するシーンで終わる。
これは傑作といっていい作品。キャップをしたままの油性マジックの謎に,偽装工作中に出くわしており,アリバイ工作の途中だったという真相は,それだけでもそれなりのアイデア。それを,このような形で料理するとは。犯人が恋人の看護師…ではなく謎のおっさんで,謎のおっさんと美袋が出くわすというオチのインパクトも抜群。犯人のパーソナリティ情報が一切分からないという点で,全ての短編が犯人不明のまま終わるというこの短編集の中に入っているが,その部分だけでなく,全体として完成度が高い。
○ 収束
冒頭で,3つの殺人シーンが描かれる。タイトルは収束。この短編は,冒頭の3つの殺人シーンのどれが本当に起こるのか。2番目の被害者となる可能性がある3人のうち,誰が本当に死ぬかで,実際に起こる殺人が決まるというプロットで描かれている。すなわち,3人の犯人の候補者がいるが,誰が犯人になるかまだ収束していない…というプロットの短編である。
冒頭部分とラストをつなぐ部分には,新興宗教の存在がある。「カテジナ書」という聖書を手に入れた小針満英という元IT長者が,新興宗教を起こした。5人の信者と2人の使用人とともに,ある島で生活をする。
メルカトルは神秘博士アストロという人物と称し,美袋を助手のヴァレスカと偽って島にやってくる。目的は使用人の一人である家政婦の娘を連れ戻すため。
小針が殺害される。メルカトルが連れ戻そうとしていた家政婦の青山が疑われる。台風が来ており,警察が来るのは翌日。メルカトルは青山を閉じ込めることを提案する。
ここで冒頭部分につながる。メルカトルは,翌日までに,もう一つの殺人,それも自殺に偽装された殺人が起こると推理する。冒頭部分で描かれた3つの殺人シーンのうちの一つが本当に生じる…のである。
被害者となり得るものは3人まで絞れるが,それ以上は絞れない。メルカトルは殺人が起こるのを寝て待つという。美袋も,それに反対はするが…犯罪を止める勇気はない。どの殺人が本当に起こるのか,収束前の場面で終わる。
九州旅行ほど���インパクトはないが,よくできているなと感じさせる作品。情より理よりというか,面白くないけど,面白そうな作品というか。シュレディンガーの猫を思わせる全体のプロットは面白いが,短編向きではないようにも思える。もう少し作りこんで長編にすれば傑作になったかも。
○ 答えのない絵本
メフィスト学園で物理の教師の那須野山彦が殺害される。容疑者は20人の生徒。被害者の那須野には5つの傷があり,4つは灰皿で殴られ,1つは角材のようなもので殴られていた。犯行時刻は午後4時から午後5時の間
メルカトルは,警察関係者と堅気でない者,2人か容疑者となっている娘のために真犯人を暴き,娘の容疑を晴らしてほしいという依頼を受けていた。
問題作というか話題作というか,犯人が特定されない短編だけで構成された「メルカトルかく語りき」の中でも,最も異端の作品。メルカトルが推理した結果,容疑者の20人の中から犯人足りえる者がいなくなるという作品である。
メルカトルの推理は怒涛の消去法。まず,犯人は被害者が殺害現場である準備室にいないと考えたことが推理される。それは,被害者が廊下を通らなかったことを確認できなかった者,すなわち,4度の放送があったときにずっと1組と2組にいた生徒が除外される。これで6人が除外。残りは14人
続いて,被害者のパソコンの画面,スクリーンセイバーの状況から,殺害時刻が午後4時40分以前であると推理。犯人は,1度目か2度目の放送を聞いて侵入を思いたったものであり,最初の2回の放送時に,放送が流れなかった2組と4組にいた生徒を除外。これで5人が消去。1つ目の条件と併せて11人が消去される。残りは9人
被害者は午後4時30分頃までアニメを見ていた。犯人が忍び込もうとした時間にはテレビは消えていたはず。そうすると,午後4時30分の放送時に3組の教室にいた中に犯人がいると推理。これで5人が消去され,4人が残る。
残る4人は,鳳,佐倉,信濃,土岐。奇しくも,メルカトルに依頼した2人の依頼人の娘は両方残っていた。
佐倉と土岐は,犯行時刻にずっと3組にいたことが分かる。残るは鳳と信濃。依頼者の娘の二人が残った。ところが,鳳と信濃も消去されてしまう。鳳は1組から3組に移っているので,2回放送を聞いているので,放送を聞いてすぐに犯行に及んだのなら午後4時30分には犯行はしないはず。信濃は3組にずっといたのだから,被害者が居眠りをしている可能性を考え,犯行を躊躇したのではないかとの推理だ。
容疑者は20人の生徒の中にしかいない。被害者は明らかな他殺。容疑者は嘘を付く理由がない。メルカトルの推理は間違っていない。そうすると犯人がいなくなってしまう。
メルカトルは1つだけ可能性を告げる。背後にとんでもない優秀な人物がいて,事件後に生徒全員に口裏合わせを計画し,全く偽の証言を教え込んだ場合の存在だ。それも全員にアリバイがあるというのではなく,一見アリバイがないように見せかけて,論理によって犯人がいなくなるように仕向けたという。メルカトルは,自分以外にそんな真似ができる人物が存在するとは思えないという。
この事件に犯人は存在しない。それが唯一の答えだ。「神��のごときメルの言葉は重々しく室内に響いた。」という一文でこの短編は終わる。
なんなんだ,この短編は。これが傑作という人もいるかもしれないが,私にはまったく合わなかった。駄作としか思えない。
しっかり読めば納得できるのかもしれないが,犯人がいないわけはないので,どこかに何らかの仕掛けがあるはずだ。その仕掛けを明らかにしないで終わるというのは・・・。ミステリを娯楽として楽しんでいる人にとっては,オチが隠されたまま終わっているだけ。未完成の作品に感じてしまう。
あとがきで,麻耶雄嵩自身が,「さすがに,これは額面通り受け取ってくれないだろうな。」という不安が強く過ぎりました。」とある。「ロジック重視のミステリとしては袋小路の作品で,それはそれでいいのですが,塀で囲まれた曲がり角を一つ曲がったところにゴール地点があるので,誰もゴールの旗に気付かないというか…」とある。ならば,要所要所に目印となる旗を立てた方がいいだろう。として,いわば橋渡しの意味合いを込めて,死人を起こすから収束に至る作品を書いたという。
この部分をどう読めばいいのか。死人が至るから収束までの作品は,行ってみれば犯人が特定されていない作品ばかりである。死人を起こすは,容疑者が全人類で終わる。九州旅行は,犯人のパーソナリティ情報が全く分からない。収束は,3つの殺人のうち,どの殺人が起こるのかが分からない。これらを見ると,すなわち,どの短編も解決まで至る途中で終わっているという点に特徴がある。
すると,答えのない絵本もまだ途中だと考えれば。作中に,メルカトルの「自分以外にそんな真似ができる人物が存在するとは思えない。」という発言があることを踏まえると,メルカトルが黒幕と考えるべき作品なのだろうか。
そういう風に推理しているサイトもあるし,そう考えるのが穏当か。しかし,個人的には,やはり作者に作品の中で答えを示してほしいと思う。そういう作品が好みだ。
○ 密室荘
メルカトルと美袋しか存在しない,完全な密室に謎の男の死体が存在する。年は20代半ば。170センチ前後。金髪の日本人。メルカトルがいうには,容疑者は2人しかいない。メルカトル自身と美袋。ほかには容疑者はいない。犯人足りえないという。
そして,メルカトルは自分は犯人ではないという。そうすると犯人は美袋しかいない。しかし,美袋は自分は犯人ではないと知っている。どういうことだ?
メルカトルは,この不条理を解消するために,死体を密室荘の地下にセメントで埋めるという。不条理の根源の地下室の身元不明の死体をなくす。不条理な死体には不条理な解決がふさわしいという。
美袋は納得がいかない。死体を埋めるというのは,犯人に負けを認めるのでは?解けない謎から目を背けているのでは?メルカトルは,犯人が美袋だと確信しているという。その上で,死体を隠ぺいすると。
自分が犯人でないと確信している双方にとって,犯人は相手。永年の友人を失いたくないから解決法として死体を隠ぺいするというメルカトル
美袋は,密室荘までも事故物件となり,虎の子のオアシスを失うことに,ただただ肩を落とした。
これも何というか。私にとってみれば未完成の作品としか思えない。この短編集の流れで見れば,この作品も途中で終わっている。隠された真相は,メルカトルが犯人というものであろうか。そもそもこの作品は,ミステリではなく不条理な作品として描いているのか。
メルカトルかく語りきという短編集が,答えのない絵本という短編のために構成されているのであれば,答えのない絵本の黒幕はメルカトル。そして,この作品の犯人もメルカトルと考えるべきなのか。「私はこんなくだらない殺人などしないよ。」というメルカトルの発言。くだらない殺人ではないものにしようとしたのか。
好きな人には好きな作品なのだろうが,個人的には好きな作風ではない。手品とは種明かしをしたらつまらないものなのかもしれないが,種明かしがされないままの手品も嫌いなのである。
問題作という評価が,この短編集にはふさわしい。キャラクターや作品の雰囲気,文体等は好きだが,作者が解決まで書いていない作品はどうしても好きになれない。完全な駄作ではないが,好きな作品ではない。★3としておく。
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いやー面白かった。
あとがきで著者自身も語っていたように、普通の短編集に入っていたらどの短編も「はぁ⁉︎」ってなりそうだけど、同じ趣向で固めてるからどんどんその毒に侵されていく。メルカトル鮎という唯一無二の"銘"探偵にハマっていく。
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もやもやもやーーー(笑)
ミステリーと思って読んだらあかんやつでした(笑)メルカトルと言うキャラを楽しむ短編集!
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何度目かの再読。メルカトル鮎物の中短編が五篇収録されている。最初に書いておく事としては、これを読む前の諸君、この小説を正統な本格ミステリ物と思って読み始めてはいけないということだ。かく言う私は「麻耶雄嵩先生の小説だからな!どんな物でもこいや!」という精神で読み進めたが敢え無く撃沈した。仕方ないよね麻耶先生だもの。この五篇に共通の趣向がわかった時はちょっと復活したけどね。流石は麻耶先生だぜ!
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なんかもう、すんごいな…
本格ミステリでありながら、アンチミステリを楽しませてくれる。麻耶さんのことだから何かがあるはずといつも覚悟して読んでるのに、絶対負けちゃう…!!答えのない〜はもちろんのこと、他も全部楽しかったし、メルカトルはほんとメルカトル…。
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傲岸不遜にして唯一無二の銘探偵、メルカトル鮎シリーズの短編集。そこはもちろんメルなので、事件を素直に解決はしない。事件そのものを破壊するのである。論理的に。何の予備知識もない読者が本書を読むと、なんだこれはと放り投げてしまうかもしれない。
ミステリにおける探偵とは、いわば作者という神の神託を告げる者だ。ゆえに、かの者が白と言えば黒いものも白くなる。絶対的な存在であり、無謬である。そういう自分をメルは軽やかに演じる。シルクハットにタキシードという道化のような装いは、彼がトリックスターである証でもある。
本書収載の短編は、いかにもメルカトル鮎的なものばかりだが、個人的に好きなのは「答えのない絵本」。
思えば、それまで海外ミステリ一辺倒だった私が日本の新本格に目覚めたのは、島田荘司作品でも綾辻行人作品でも法月倫太郎作品でもなく、麻耶雄嵩さんのデビュー作『翼ある闇』だった。衝撃のあまり読後すぐに再読したミステリは後にも先にもこれだけである。そんな作家の作品が継続して読める幸せに感謝。
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メルカトルのことも、麻耶雄嵩のことも良く分かっていない人にはオススメしません。はぁ?なんでここで終わるの?の続出です。ある意味記憶に残る話が多い。頭の良い人が書いた破綻推理小説って感じ。
私の中で美袋はややカッコいいに寄った平凡イメージなので、表紙の美袋がイマイチマッチしませんでした。
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短編5作のミステリー。
【死人を起こす】二つの事件が交差する。最初の事件の原因はちょっとどうかと思ってしまった。二つ目の犯人は掟破りだ。後出しジャンケンだ。
【九州旅行】良い意味で裏切られる作品である。ミステリーのストリー性はいかがなものだろう。
【収束】これは本格ミステリーだと途中までは思っていた。私の気持ちは収束しない。
【答えのない絵本】答えはあるが、メルカトルは答えはない(犯人はいない)と言う。あとは読者が推理していく。
【密室荘】同じような雰囲気がする作品。これが作風だとすると、私は麻耶雄嵩氏の作品を2度と開くことはない。そのためにももう一冊は読んでみよう。
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常識破りのミステリー。「答えのない絵本」オタク教師殺人事件。明らかに殺人事件だが、探偵が犯人はいないとする理由は、依頼人の子供が犯人で、犯人隠蔽の必要からと考えられる。(個人的見解)
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「貴族探偵」シリーズの次に、銘探偵メルカトル鮎を読もうとして、第1作の長編ではなく、こっちから読んでしまった私です(汗)でも、この傍若無人ぶり、好きです。後に「翼ある闇」から読み始め、またここに帰って来ようと思います。
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79点:あれはあくまでも君の短編、フィクションの話だからね
全然正しくはない、嘘は言わないが悪魔的に振る舞う探偵とへたれな作家。正しくなさを面白がれるかは人により分かれるが、そもそもミステリなんてものを読もうとする人には絶対面白い!
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なんと後味の悪いミステリ短編集なのか。ただ、これこそメルカトル鮎の真骨頂とも言える。これもまたアンチ・ミステリの一型なのだろう。
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悪徳探偵とヘタレなワトソン役が事件に挑む。この探偵は悪と対峙する正義漢とは無縁の人物(というより悪)なので、探偵役らしくない考え方や行動を取るのが面白い。
事件はラストでひっくり返り混乱の幕引き。ミステリの世界観を破壊するようなロジックと結末。
事件の解決は二の次。
読了後の後味の悪さがこの作者の魅力です。読んでニヤリとするか、唖然とするか、ちなみに殆どの事件は解決しません。
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天才で傲慢な探偵メルカトルが難解な事件を解決していく短編集。人物描写の際、服装に注力しているのが印象的。
※以下ネタバレ注意※
事件を解決するといっても根本的な解決ではなく、この可能性は無くなった、であったり、こうかもしれないね、という具合で事件が終了するので結局は犯人が見つからない。また、助手はぼんくらと言う設定だが、それにしてはメルカトルに対してタメ口だし、強気に出ることがままあったことも少し違和感。こういう探偵ものが好きな人もいるだろうが、私はノーサンキュー。ただし、宗教の回に関しては先に犯人になりうる人物の行動を描写する試みは面白いと思った。
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'23年6月20日、Amazon audibleで、聴き終えました。「メルカトル鮎」シリーズ、二作目。
先に聴き始めた「夏と冬の~」は、ダメで中断しましたが…これは(゜o゜;なんと凄い!ドハマり、しました!僕の常識を、根本からぶっ壊してくれました!もう、ズダボロですಥ‿ಥ
でも…(☞^o^) ☞なんだか、笑いまくってしまいました!これは、語れない!是非、体験してみてください!恐らく、8〜9割のミステリ好きな方が、壁に投げつけるのでは?ハハハ(ᗒᗩᗕ)
最後の「密室荘」で、顎が外れました(╯°□°)╯︵ ┻━┻
個人的に一番好きなのは…「九州旅行」です。
「夏と冬〜」は、全くダメ…だったけど、やはり最後まで、聴いてみようかな?迷う…人生の、残された時間が…