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▼あらすじ
戦後の闇市に暮らす稔は、GHQの日系人大尉・ハラダと知り合う。
彼に親切にされ、徐々に惹かれていく稔だったが…。
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終戦してまだ間もない頃のお話でした。
作者さん曰く闇市の雑多な雰囲気が大好きという事で、このお話はそういった内容をテーマに描かれております。
戦後、闇市、GHQ、と何やら不穏な単語がずらりと並んでいた為、シリアス路線の重たいお話なのかと思っていたのですが、思っていた以上に糖度高めで個人的には凄く読みやすかったです。
攻めも傲慢系かと思いきや割と紳士だし、甘々好きには嬉しい誤算でした。
かと言ってサラッと読んではい終わりというようなライト過ぎる印象はなく、色々と考えさせられる点もあったりして、結構深い作品だと感じました。
特に食べ物関係の描写が秀逸でしたね。
アイスクリームやチョコレートなど、今でこそ当たり前のように口に出来て何の有り難みも感じないそれらを好きな時に好きなだけ口に出来る事がどれだけ幸せな事なのか、私達が今、どれだけ恵まれた時代に生きているのかを改めて意識させられるような、そんな巧みな描写でした。
つまり、凄く美味しそうに見えたって事なんですが…お腹が空いたのは私だけ?(笑)
それと、食べ物の描写と同じぐらい良かったのがキャラクターの心理描写で、とても丁寧に描かれていたので攻め、受け共に感情移入しやすかったです。
特に、稔と離れ離れになってからのハラダの心理描写は印象的で、ハラダの後悔や苦悩が痛いほど伝わって来ました。
書き下ろしがただの変態でちょっとイメージ崩れたけど、まぁ、愛情はちゃんと伝わって来るし…良いかなっていう(笑)
後はとにかく稔が良い子過ぎた…。
純情で健気で、どこまでも一途なんだけど、芯が強くて根性があるというまさに私の大好きなタイプの受けでした。女々し過ぎないのが良いですね。
特典ペーパーでもハラダの誕生日をお祝いする為に苦労してアップルパイ作ってて、こんな受けに愛されるハラダはかなり幸せ者だと思いました。ああ、羨ましい…(笑)
思いがけず後味の良い後読感だったので★4つです!