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若い頃から世界各地と飛び回り実際に経験したことを本にしているライターで、今回は西サハラ地区で開催されるマラソン大会に参加したという内容だった。
西サハラ地区自体聞いたことある程度であったが、モロッコから独立できず停戦状態にある地域で、そういういきさつからモロッコはアフリカで唯一アフリカ連合に所属していない国となっている。
そんなモロッコから独立を目指すイベントの一環として開催された砂漠の中のマラソン。
非常に面白く描かれており、その地域にことも知ることができ面白かった。
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なんの自慢にもならないが、時間に余裕があっても間際にならない
と動き出さないタイプの人間である。まだ真面目に編集者家業をし
ていた頃、締め切りギリギリにならなければ原稿が書けなかった。
明日には先方に渡さないといけないという日の真夜中。ウンウンと
唸りながら資料とにらっめこをしていると、ひらめく一瞬がある。
そこで怒涛の原稿書きに突入する。うんっ、私って天才じゃないか。
これでいいだろう。さぁ、ひと眠り。
起きて自分の書いたものを読み直して愕然とする。腐っているでは
ないか。なんでこんな酷い文章であんなに満足していたのだろう。
あーーーっ、自分のバカバカ~。
このように夜中に何かを閃くと碌なことがない。本書の著者である
辺境作家・高野秀行氏も実は私とご同類だった。ただし、こちらは
ワールドワイドである。
「深夜というのは、人間がろくでもないことに燃え上がる危険な時間
帯である。」
ほろ酔い加減で何か面白いことはないかとインターネットを彷徨って
いた著者が目にしたのは「サハラマラソン」。ランナーが衣食住の
すべてを背負って7日間を掛けて走破するメジャーな方のマラソン
ではなく、モロッコと領有地争いをしている西サハラの難民キャンプ
で行われる、西サハラ支援の為のマラソン大会である。
そしてやってしまうのだ。膨らむ妄想から情熱は暴走し、著者は参加
申請をぽちっとクリックしてしまう。
その顛末を描いたのが本書のタイトルにもなっている「世にも奇妙な
マラソン大会」だ。
実に奇妙なマラソン大会ではあるのだが、もっと奇妙なのは夜中の
出来心で参加申請して、翌日には後悔しているのにマラソンに参加
する為に本当に西サハラまで行ってしまう著者である。
キャンセルすればいいだけじゃんと思うのだが、そこは辺境作家だ。
人が行かないところへ行って、人が体験しないことを体験して来る。
これまでの高野氏の作品もそうなんだよね。
「今ならまだ引き返せる」ってところはいくつもあるにに、一度間違えた
ら立ち止まりも修正もせずに、そのまま突っ走る。だから、この人の書く
作品は面白いんだけどね。
最長でも15kmのジョギングしたことがない人間の初マラソンなのであ
る。それも砂漠で。もうこれだけで間違ってるんだよね。それなのに
完走してしてしまうのだから凄い。
作家・船戸与一氏の取材旅行に同行した珍道中『ミャンマーの柳生
一族』でもそうだったのだけれど、おかしさの中に西サハラの置かれ
た環境や、旧宗主国スペインの人々が西サハラの難民を支援する
様子なども伝えてくれる。
他にもブルガリアへ向かうバスの中で出会ったおじさんに口説かれ
たり、2度の強制送還処分を受けたインドへ入国する為に改名作戦を
敢行しようとしたり、インドで出会った謎のペルシア商人の話など、
どうしてここまでおかしなことに巻��込まれるのかと思うほどの作品が
収録されている。
実は好きなんだよね、高野氏の作品。「おかしくてためになる」んだな。
そして、「こんな旅もいいかも」と読んでいる最中は思う。だが、読み
終わって冷静になると、「間違った力」を全力で発揮出来るのは、
この人の専売特許だわと思う。
本当は立て続けに高野氏の作品を読みたいんだけれど、中毒性が
強そうなので積んだままにしている本の山から時々引っ張り出して
読むのがいいのかも。
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同僚から筑波山トレイルマラソンに誘われて軽い気持ちで出場し、着ていた加圧スパッツのおかげで太腿が内出血を起こし、ゴール間際で一時うずくまりながらも這う這うの体でゴールし、その後1週間筋肉痛で使い物にならなくなったことを思い出した。「名前変更物語」は声を出して笑ってしまった。「謎のペルシア人」から始まる短編は『世にも奇妙な物語』に通じる怖さを感じた。
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1966年生まれ 早稲田大学探検部
夜に アフリカ 中東 マラソンで検索
惠谷治 西サハラ ポリサリオ戦線の記録
星の王子さま サン=テグジュペリ 国際郵便輸送機のパイロット
船戸与一 猛き方舟
ブルガリアはバラの香水で有名
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2018年11冊目。ユニークというか、マニアックな旅をする著者。純粋に面白いルポでは終わらず、民族主義やら国際関係やら、勉強になります。西サハラについて、詳しく知りたくなりました。
表題作がそんな感じの一方、アジア・アフリカ奇譚集のような、「不思議な体験談」にも引き込まれました。世にも奇妙な物語的な出来事というか。
自分の身の回りにも、おかしな出来事はちらほらあるのだから、こんなに広い世界の中では、奇妙な出来事がきっといっぱいあるはず。
なかなか遠出できないからこそ、本ってありがたい。疑似体験できます!
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ちょっと日常に疲れて休憩したい時、著者高野さんの本以上にうってつけの本は無いのでは。そんな思いを新たにした本でした。面白くて読みやすい文章ですし、中篇3つ+短編いくつかと、ボリュームも手頃です。
表題作は、誰しもがやっている?夜中のネットサーフィンで「アフリカ・中東 マラソン」と検索したコトをきっかけに、15km以上走ったコトのない著者がサハラ砂漠のマラソン大会に出場する、というとんでもない話。
しかも「西サハラ」からの難民キャンプで行われ、参加者もボランティアの位置づけとなると、凄い大会になるのでは…と思うのですが、著者はライターとして、どうやって西サハラ(隣国モロッコから弾圧を受けて難民が出ている不遇の国家なのです)をアピールするようなエンターテイメントを創り上げるか悩む訳で、大変なお仕事ですよね。。
マラソンの本筋をあまりここで話すと面白くないので割愛しますが、個人的には「大スペイン共栄圏」という考えが面白かったです。ノブリス・オブリージュ的な何かなんでしょうか。とりあえずスペイン語、改めて勉強しようかな。
他の作品も面白く、「名前変更物語」に至っては日本(というか東京)を全く出ていないのに、どうしてこうも変わったコトができるのか。
解説も的確。「文章力と説明能力の高さがタダモノではない小学生男子」って、ちょっと笑っちゃうけど素敵な存在です。
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読友さんにお借りした旅エッセイ。真夜中のラブレターのごとき意味のわからないテンションで申し込んでしまった西サハラのマラソン大会、ブルガリアで岩のようなおじさんから優しくされ女性の気持ちになったこと、インドへの再入国のために改名を目論む話、などなど、全部おもしろかった。こんなに失敗してる話なのに、読むと何だか旅はいいなあ、マラソン大会気になるなあ、とか思ってしまう。
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酔った勢いで西サハラの難民キャンプを走るサハラマラソンに応募してしまった作者。今までに走ったことがあるのは15km程度だというのに、砂漠でのフルマラソンを完走できるのか?
・ブルガリアの岩と薔薇
ブルガリアのバスで隣になった陽気な男。彼に誘われ、彼の家で一泊することになる。ところが彼は愛をささやき始め…。
・名前変更物語
昔、うっかりインドに密入国をしてしまったため、作者はブラックリストに載っている。しかし謎の怪魚ウモッカを探すため、どうしてもインドに行きたい。そこで彼は名前の変更の道を探し始める。
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個人的には名前変更物語が一番好きです!
国外ではなにかと振り回される作者が、奥さん達を振り回してるところを見るとなんだか新鮮!って思いました
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4/16は女子マラソンの日
「マラソン」つながりで、こちらを。
深夜の酔ったテンションでサハラマラソンに申し込む!?
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移動の際の飛行機の中で読破。
普通に楽しめた。マラソン以外は、結構昔の話も混ざったオムニバスかな。それなりにどの辺のお話かなと想像がつくようになったということは、結構同著者の本を読んできたってことかしらん。
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世界は広い。そしてこの本の著者も含めて、世界にはいろんな考えを持って行動する一見変わった人たちがいる。いや、変わってると思うのは自分の中の常識の範囲があまりにも狭いからなのかもしれない。
周りの人たちと違う考えを持てるのは、自分の中に何かしらの芯がある人なんだと思う。
わくわくしながら読むことができた。
世界を旅してみたい気持ちにさせてくれる本。
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表題のマラソン大会を本編に、その他、数篇の短編集(とは言えないほど短いものもあり)。
この本編後の短編が面白くて、離婚と改名の件はやり取りがくだらなすぎてゲラゲラ笑いながら読んだ。
ほかにも、ブルガリアでのゲイのオッサンとのやりとりも軽快。
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舞台は西サハラ。アフリカの多くの国が承認しながら、欧米の大国はその独立を承認せず、モロッコが実効支配している。最近、アメリカが西サハラをモロッコの領土だと認めたというニュースを見た。そんな西サハラを支援するための砂漠のマラソン大会に出ることになった著者の体験を面白おかしく書いている。
その他、短編のエッセイも所収されているが、これが中々味わい深い。
高野秀行は、行動も破天荒だが、文章も面白い。
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タイトルが面白そうなのと、Kindleセールなので購入してみた。なんとなく読んでみたが、西サハラの国境問題、ヨーロッパの寄付文化、苗字改正の煩雑さなどなど、いろいろと知ることができたし、自分では垣間見られないような世界を知ることができた。
サクサク読めるので、息抜きにもお勧め。