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国際機関やNGOなどでグローバルに働く人たちの仕事で必要な様々な力に関するお話。
仕事に真摯に向き合うこと、大事なのは「どう言うか」より「何を言うか」、要点を絞って伝える、など、まとめの部分だけを見るとよくあるビジネス本と同じような内容に思えるが、著者の方々が実際に仕事の現場(難民キャンプや国内紛争の最前線など)で経験したエピソードと共に述べられているので説得力が違う。
また、本書に登場する著者の経歴は海外への留学、国連機関や国際NGOでのリーダーなど輝かしいものが多いが、エピソードひとつひとつは自分にも起こり得るような身近なもので(すぐそこで銃撃戦が起きている、水や電気が十分でないなどの環境は全く異なるが)共感できる部分も多く、仕事で悩むことは似てるものなんだなぁという感覚もあり、参考にしたいと思った。
印象的だったエピソードはたくさんあるが、あとがきにあった「グローバルに生きるということはローカルと丁寧に付き合うこと」という大前研一氏の言葉にすべてが集約されているように思う。グローバル化、グローバル人材という言葉が叫ばれるようになって久しいが、国際的な舞台で活躍する著者の皆さんは非常に「日本人らしさ」を大切にしている。それが異文化・多様性を理解することの一歩であり、決して英語を話せるようになること、日本らしさを打ち消して「海外基準」に合わせることがグローバルに生きることではないということを意味しているのだと思う。