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自分たちが口にする食肉の行程や歴史が非常に分かりやすく記されていた。
また、単なる食肉の成り立ちだけではなく、現代を構築する様々な矛盾や問題点にも言及している。
この本を読んで大切なことを色々思い出すことができた。
人は忘れっぽいから人に止められ、いつしか何がしたかったのかなにを伝えたかったのか、何になりたかったのか忘れてしまう。
それでも時々、こういういい書物を読んで思い出す。
屠畜だけではなく、自分の源を再認識することが出来た。
子供向けのためすぐ読めるので定期的に読み返したい本。
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当然にしてあるべき食肉加工(=家畜の屠殺)というプロセスがあり、それがあえて目に付かないようにされているということを、子どもに語るように説明した本。この本では、家畜を食べる、ということと、差別について語られれている。著者である森さんはTV向けの映像作成の仕事をしていたときに、家畜を殺して食べる、ということをテーマにして番組作成を企画したが、結局テレビ番組にはならなかった。その理由が、屠殺シーンの問題もさりことながら、それよりも大きかったのが被差別部落の問題だ。
食肉加工という職業が「穢れている」とされて、部落差別の対象となっているということは事実としても知っていた。実際に自分の親も、ときにあまり躊躇いもなくそのことについて具体的な人の名前を挙げて語っていた記憶もある。そして、森さんに言われる通り僕はそれを見ることをしなかった。
2つのこと(家畜を食べるということと差別部落)は事実としてもつながっているが、いずれも見ないことによって助長をしているということでも共通点がある。森さんのメッセージは僕たちはしっかりと自分の目で「見る」という意識を持たなくてはいけない、ということだ。それが森さんの問題意識。彼のオウム問題や死刑の問題にも通じている。その問題意識はどのように共有されるべきなのだろうか。それがこの本の感想。
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(レビュー・感想というより、読むに至った経緯)
代官山TSUTAYAに行った記念に何を買おうかと迷い、食の本棚に目を通して、とりあえず購入した本。
著者は食肉を通して、始終「知ること」が大切だと語っている。見てみぬふりをするのではなく、知って考える事が必要だと。
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人間が生きていく上で、他の生物を殺し食べていく必要があることは、どうしようも無く仕方が無いことではあるが、そのことから目を背けて生活していてはいけない。
牛や豚は工場でスライスされパックして作られるのでは無く、生きた牛や豚を殺して加工されてスーパーに並ぶのである。そんな当たり前のことを忘れずに生活していかなくてはならない。
良い本だとは思うが、こどもが読んでもうまく理解できないのではないか。
こども向けに書いていて実はおとなが読む本である。
私はと言うと、ひょっとして著者と考え方が似ているせいなのかも知れないが、なにか目新しものを感じない。部落民に関する記述も同様である。知識としても目新しいものはあまりない。牛豚の具体的な屠殺方法は初めて知ったが(^^ゞ
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食べることについて、だけでなく、食べることを入り口として、世の中の見方、生き方を教えてくれる本。
生きることと食べること、殺すことは、常に繋がっている。動物であろうと植物であろうと、生きているものを殺すことには変わりない。しかし、私たちは「食べること」には敏感でも、その前の「殺すこと」には目を向けないようにしている。
「食べる」ことに関わらず、そういうことは世の中に溢れている。話は、日本に根付いた差別のことから歴史のこと、社会のこと、宗教のこと、文化のこと、戦争のことへと広がっていく。筆者は、子どもに向けた優しい語り口で、「知ること」の大切さを説く。
著者の信条は私自身が日ごろ思っていることと重なる部分が多く、とても共感できた。
見方や内容が偏っているという批判のコメントも少なからずある。けれど、著者自身が語っている通り、この本はあくまで入り口に過ぎないのであるから、内容そのものではなく、この本をきっかけにして、与えられていることを鵜呑みにせず、自分で調べて、自分で判断していくことが大切なのではないか。
レビュー全文http://preciousdays20xx.blog19.fc2.com/blog-entry-466.html
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「大きな肉のかたまり(豚角煮とか)を見てテンション上がる人には、超美味しそうじゃん」
と、品川と場を以前見学させていただいたとき思いました。
大きなコンベアー、大きな肉のかたまり、大きな包丁、あちこちから出ている水蒸気…。危険が伴う仕事の最中なのに、見学者にも気を配ってくれる優しい職員の方々が多くて、あたたかい気持ちになったことをよく覚えています。
この本でも解体作業の様子がよくわかりますが、興味を持った方にはぜひ自分で見学に行ってほしいです。自分が良い経験だったと思っているので。
本書の内容としては、食肉、部落差別について、考え方の基本になることが分かりやすく解説されています。子どもに向けた語り口ですが、大人にとっても良い入門書になりそうです。自分達が食べるために殺しているのに、なのに何も知らない、じゃあ知ることから始めよう…というスタンスで、価値観の押し付けにならないようにと配慮を感じる文体でした。
知識的な面でも、農耕の起源、部落の起源など諸説あることについても、基本を抑えつつ1つの説に偏らない説明でした。
ただ実際子どもにこの本への興味を持たせるのは…ちょっと自分では上手くやれる気がしません。説明が丁寧だし、おさえてほしい部分(自分達が食べているのだから…)は何度も繰り返しているので、少しくどい部分もあります。それくらいじゃないと子どもには伝わらない、のかも知れませんが。
大人が読んで、この本のスタンスや語り口で子どもに語っていくしかないのかなぁ。
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分かりやすく、でも大切なことに目を向け気づかせてくれる本。
毎日食べている肉はどこから来たのか。
頭では分かっていても無意識に目をそらしていた現実、関わる皆さんの思い。
ベジタリアンになれない私はせめて、買ったお肉頼んだお肉には責任を持ってありがたく命をいただこう、食べ残したり傷ませたりしないよう適正な量を選び、精いっぱい美味しい料理に変身させようと思った。
小・中学生は夏休みの課題図書にしても良いかも。
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とてもわかりやすい文章でしたよ。
最初は肉や食べ物の話が中心で、表紙のイラスト通りの内容かと思いきや、日本の歴史が充分に盛り込まれた1冊になっていました。
話が二転三転して落ち着くところに落ち着く様になっています。
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キレイに加工・包装された食べものに囲まれて、なんの気なしにいただきますと言って口に運ぶ。でもやっぱり、それじゃいけないと思わせてくれました。
いのちは巡るもの。何かをたべないと生きていけない私たちにとって、避けられない葛藤が描かれています。
読んだ後はきっと、スーパーで売られる食べものを、いや、世界を見る目ががらりと変わるはず。
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同僚に勧められた本。
肉食に関する話だと思ったら、日本の歴史や差別の話にも拡がっており読んでよかった。と場見学もしたい。
同名別監督のDVD作品があるので観る予定。
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肉を食べることから、世界の問題まで考えることができた。すべては繋がっていて、きちんと知ることが大切なんだと実感できた。無知は無力。大切なことを本当に大切にできるよう、知る、理解する、よく学ぶ。これからも、いのちの上に立っていることを忘れずに生きていこうと思った。
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もう十年ほど前でせうか、駅で聞いた、大学生くらゐの若い女性ふたりの会話。仮に夫々A、Bとしませうか。どうやら共通の知人宅へ行く為に駅で落ち合つたやうですが......
A:何か買つて来た?
B:うん、これ......(と言つて袋の中を見せる)
A:ああ、食べ物ばかりだね。
B:まあ、元は生き物なんだけど。
A:さうだね、人間に食べられる為に生れてきたんぢやないからね。でも、すると「食べ物」つて何だらうね?
B:うーん......
『いのちの食べかた』は、元元年少の読者向けの叢書「よりみちパン!セ」といふシリーズの一冊として刊行されました。ゆゑに、本文は小学校の先生口調で、多くの漢字に振り仮名が付されてゐます。
しかるにその内容は深く、老若男女すべての人間に関係するものであります。
まづ牛や豚の肉について。我我の食卓に並ぶまで、いかなる経緯を経てゐるのか。誰がどんなふうにして殺してゐるのか。
人類の肉食の歴史について。日本ではどうだつたか。鎖国下の肉食事情とはどんなだつたか。
そもそも肉を食べる事は「残酷」でせうか。確かに他の生命を奪ふことは残酷でせう。しかし人間が生き延びる為には必要なことであります。生命といふものは食物連鎖の中で自然界に存在します。弱肉強食。
菜食主義者なら良いのかといふと、さうでもありません。植物だつて生きてゐます。人間がその生命を絶つた瞬間に「痛い!」と叫んだり涙を流したりしないので、罪悪感を感じないだけの話であります。
人間は他の動物よりも少しばかり知能が発達した為に、逆に生物界ではさまざまな矛盾を抱へた存在になつてしまつた。
そして差別問題。屠殺に関はる人たちが受けてきた言はれなき迫害。人は自分の存在を守るために他者を差別する。男女差別や職業差別、民族差別、出自による差別や宗教差別など。差別が助長する先に戦争があります。
かういふ事柄は、多分多くの人が知つてゐます。しかしながら差別や戦争はなくなりません。わたくしたち人間は歴史に学ぶことを忘れ、考へることを放棄し、楽な方へと流れてゆく。これは時の為政者によつて大変都合の良い状態です。
森達也さんは警鐘を鳴らします。様々な悲劇は、わたくしどもが「思考停止」に陥つた時に起きる。
だから、嫌な事でも目を逸らさずに現実を見なければならない。そして知ることが大事。
知つたら、何が問題なのか考へる事。この世の色んな矛盾に気付くでせうが、それを忘れてはいけない。
ううむ、改めて人間は罪深いものだと思ひます。しかしそれに気付く事で、避けられる争ひも災難もあります。世界を動かすのは一部のカリスマではなく、結局わたくしたち一般大衆と存じます。本書のテエマは極めて重いですが、万人に手に取つていただきたい喃と勘考する次第であります。
http://genjigawa.blog.fc2.com/blog-entry-819.html
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僕はお仕事の一つとして、「お肉はどのように作られて僕らの食卓に届くのか?」というお話をするために、小学校に招かれて授業をすることがごくごくたまにあります。名付けて「いのちの授業」というものです。
僕らが生きていくためには、栄養を摂らなければならなくて、そのためには「他の生き物の生命」をいただかなくてはならないわけで、それを残酷で嫌なことだと思ってしまうと、食べ物を食べることができなくなってしまうわけです。
でも、それでは健康に成長することができなくなってしまうのですから、「他の生き物の命」をいただくことについて、何らかの折り合いをつけなければならないということになるのだと思います。
僕のお仕事からすると、食肉を大切に、ありがたいという気持ちで頂いていただければいいなあ、と思うわけですが、この本ではもっと話を深めて、僕たちが生きていく上で出会う様々な矛盾についても目を向けて、生きていく力を身につけていくことに狙いがあるように感じました。
小学生にも読むことが出来るようにルビのふられた文章は、読みやすく噛み砕いた表現で、この作品を読んだいま、「いのちの授業」に招かれたら、この作品の中からの一節を引いてお話に加えたいと思っています。
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「たべる」ことについてだけではない、「考え、生きる」ことについて、大人だってわかっているつもりで忘れてしまうことについて、再度気づかされる本。
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屠殺について見たり聞いたりする機会って、確かにないよな~。そしてそれをあまり不思議に思わないってことも、考えてみれば不気味な話だよな~。あちこち興味を持って動かない個人にも非はあるかもしれないけど、それをそうと気付かせない体制の側にも大いなる瑕疵があるのは間違いない。掘り起こさないと見えてこないものを見出す視点を、これからも根気強く涵養したい。本作の感想としては、第一にそれ。