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もうね・・・言葉が無い・・・
日本製紙石巻工場の震災を通して、かの東日本大震災の実情を目の当たりにする前中盤。
きっと活字では伝わらない伝えられない、もっといろいろなことがあったに違いなく、
そんな状況に思いを馳せると、その衝撃に言葉が出なかった・・・。
日本製紙石巻工場復活だけが、東日本大震災のサニーサイドではないのは十分承知だし、
人の信じる力と血のにじむ苦労と努力の結晶をこう例えるのは間違ってるかも知れないけれど、
あえて言わせて欲しい。これは奇跡の物語だと思う。
個人的に日本製紙製(だけじゃないけど)の紙に近いところで仕事をしている関係上、
震災後に開発された新商品、『b7バルキー』の誕生(名付け)の話とか、未来もあってよかった。
『b7バルキー』は使ってないけど、『b7トラネクスト』は使ってるのだ。
きっと同じ意味だよね、“b7”って。
まぁ“b7”自体が特別マジックワードになっているわけじゃないけど、
その自由さがなんとも言えずに心に残る。
復興後を象徴するようなその自由さが。
そう思うと感慨もひとしお。
普段積極的に紙を意識しない人たちにも、是非読んでもらいたい。
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紙の本の方が良いと言いながら、どこでどのように造られているのか全く知らなかったことに愕然とする。
震災後の良い面だけでなく、正直目を逸らしたくなる状況・人の負の部分も描かれているが、そのような状況下、復旧に奮闘した関係者の方々に頭が下がる思い。
本は様々な人の技術・意地の結晶。思わず紙をなでた。
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本の紙はどこで作られているのか。そんなことは考えたこともありませんでした。
宮城県石巻市、日本製紙石巻工場。
2011年3月11日の「あの日」の絶望から、「半年での復興」という、不可能を可能にすべく立ち上がった彼らのノンフィクション。
奥付前の【使用紙】を見てじんとしました。
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日本の出版業界を支える日本製紙石巻工場の復興までの物語は、逆境に立ち向かう人達に勇気を与えてくれた。いい人ばかりでなく、無法地帯で犯罪に加担する者など、当時は災害と目に見えない恐怖の日々が伝わってきた。
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舞台となった日本製紙石巻工場で産み出された紙を使って出版された本書。ノンフィクションとして、紙を使った媒体として最強の演出。プロジェクトX的な成功美談だけでなく、極限状態での人の汚い部分についても触れており、それによって主人公たちの良さがより際立っているように感じた。こういう作品は教育の現場でも利用できるといいのではないだろうか。
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東日本大震災の被害にあった、日本製紙石巻工場の復興までの軌跡を描いたドキュメンタリー作品。当たり前のように手に取る本の紙がこの工場で作られているということを初めて知った。
そんな工場が復興できたのは、「絶対復興させる」というトップの意思と現場の従業員の尽力、地域の人の支えがあったからこそできたいうのに、素直に感動したし、すごいと思った。
また東日本大震災や津波が発生したときの様子は当事者の証言をもとに書いただけに、どれだけ被害が甚大かということがよくわかった。
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今年21冊目。とっても良い本でした。
見えないところで、誰かのため、社会のために、こだわりと誇りを持って働く人々。
著者の『エンジェルフライト 国際霊柩送還士』にもいたく感銘を受けたけど、今回は、
東日本大震災から半年復興を目指した、日本製紙石巻工場のお話。
震災を生き抜いた人々が体験した、あの日の惨状、その後の街や人々の心の荒廃。
それを乗り越えようと、工場の再建=石巻の復興=日本の出発界の再生に奔走した生身の人々。
報道では語られない震災の様子や、普段意識することのない、名もなき職業人たちの生き様。
涙がこぼれました。
本を読む時、紙も味おうと思います。
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製紙業界に身を置く者として、読みました。様々な奇跡の中、懸命に生きて、懸命にマシンを復旧させる姿が尊くて、電車内にも関わらず、泣いてしまいました。
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東日本大震災で被災した製紙工場。そこでその日起こったことや誰もが再稼働は困難という中、わずか半年で一部再稼働にこぎ着けた過程、また廃部の危機にさらされた野球部の奮闘が綴られています。
大地震の壮絶さ、治安の悪化、人々が疲弊する様子する一方、自分たちにできることに全力を尽くした人々の姿に勇気づけられました。
また、本の紙がいかに読者に愛されるように工夫されているかも書かれており、勉強になりました。
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ドキュメンタリー本を初めて躊躇せず手に取った瞬間でした。
石巻の製紙工場が復帰するまでの経緯、それぞれの方が胸にしていた思いがつづられています。
3.11に改めて向き合うきっかけになった本ですが、紙の本がいかに素晴らしいか、どれだけの人の手を渡り、自分の元へやってくるのかを改めて実感する一冊です。
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2011年3月11日、日本製紙石巻工場は津波に呑み込まれ、完全に機能停止した。
震災後、人の手から手へと手渡された「意地の結晶」によって作られた本。
「表紙を開けて、本文の紙をめくってほしい」
そんな思いで造られた本。
自分の本棚のすぐ文庫本の見比べてみた。
本文の中で「たすき」という言葉が幾度か出てくる。
「読者もまたそのたすきをつないで、それぞれが手渡すべき何かを、次の誰かに手渡すことになるだろう。」
確かに受け取ったのだから、次へと手渡さなくてはいけないなぁと改めて思う。
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こんなに本をめくる指で紙を味わったのは初めてかも!
あの震災でいろんなところで
人のつながり、強く熱い思いが一歩ずつ復興へとつながっているのだと思いました。
そして、決してその場にいなかった私たちには
到底共有できることのないものが心の奥に重い記憶として刻みこまれていることも感じました。
共有できないからこそ、少しでも知らなくてはいけないことだとも感じました。
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この紙が・・・
というノンフェクション。佐々涼子さんの取材力に感服。
大震災はいろんなところでいろんな影響を及ぼしていました。
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地震や津波そのものよりその後の復興に重点を置いたノンフィクションなのだけど、どうしても災害そのものの場面が印象に残る。
これは実際に起こったことで、あれだけ報道されていて、映像だって見ていて、ちょっと考えればどんなことが起こっていたかわかったはずなのに…私はきっと、出来るだけ想像しないようにしていたんだと思う。
やっぱり考え始めてしまうと怖いしやるせないし辛い。
そして全然他人事ではないのだ。
寝る前に読んだらざわざわとして眠れなくなってしまいました。
いま私にとってただの「歴史」になってしまっているものも、全部こういうふうに実体があったのだと、改めて思い知らされた。
もちろんこの震災はまだ「歴史」にしてしまうには早いけれど。
私自身、紙に関わる業界で仕事をする身。読書が趣味。
でも今まで本の紙にそれほど注目したことがなかったのはなぜなんだろう。
まさか出版社によって文庫の紙がそんなに違うだなんて!
快適で素敵な世の中はこういう仕事に支えられているんだよね。
これからは本を見る目がまた変わりそうだ。
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店頭に置いてある販促用のチップ(木片)をなんだろうと手に取った。一方は軽くて乾いている、もう一方は少し重くてすべすべしていた。両方とも紙の原材料になるもの。本の帯には、子供用の漫画雑誌ひとつとっても、めくりやすく軽く、それでいて手が切れないよう、技術の結晶であることが書いてある。
震災後、東北で作られていた出版用の紙がないというのは、仕事柄伝え聞いたことがあった。このことだったのか、と今になって思う。日本製紙石巻工場が、震災の被害を受けてから、半年で再稼働を目指した軌跡。どうしようもない絶望の中で、半年でやると決断したことも、それをやり遂げた意志も、ただただすごいとしか言えない。当たり前のように日常の中にある紙が、どんな思いを経て出来ているのか、思い知った。