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両親が離婚協議をする間、遠縁の親戚が住んでいた別荘にやってきた千星。
母子家庭で男にだらしない母親のせいで新聞配達をして生活費を稼ぐ陸。
家庭事情の関係で千星は泣けず、陸は笑えない。
そんな2人が新聞配達のわずかな時間に心を通わせていく一夏の物語。
人と関わり合うのが得意ではないため、2人の関係は終盤までほとんど進展しない。
それでも惹かれあっていることがひしひしと伝わってきて、やり取りに面映ゆくなる。
ほとんど会話することはなくても人は誰かの心の支えになることが出来るのだなぁ、としみじみとした。
家庭の問題はどちらも解決せず、2人に再会があるのかどうかも分からない。
ただラストの1行を読んだ瞬間、じんわりときた。
静かにゆっくりと沁み入るような作品だった。
1巻完結の作品で、ここで終わるのが物語としては綺麗なのだろうと思うけど、高校生になった2人も読んでみたくなった。
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girl meets boy. 一目惚れして遠くから少年を見つめる、引っ込み思案な女の子。少年もシャイで、バリバリ好意をもってるのに、少女にはぶっきらぼうな対応。でも、お互いの行動の一つ一つに思いをめぐらし、妄想する。うん、初恋ですね。
昭和の頃の少女マンガを読んでるような、懐かしさ、甘酸っぱさ感じる、懐かしい小説でした。読後感も爽やか。
売れっ子作家の自己満足な小説でしたが、私のようなファンにはたまらない一冊となりました。
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2014 7/2読了。Amazonで購入。
野村美月が昔から構想は持っていたという、一巻完結の青春もの。
別荘を訪れている、両親が離婚調停中の少女と、男を作っては家を長期間留守にする母を持つ母子家庭の苦学生(絵を描くことが好き)のお話。
ほとんど直接的なコミュニケーションはせず、お互いにお互いをきっと幸せなんだろうと勝手に空想しながらなんとなく心を通わせていく話。
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野村先生の久々の読み切り作品。
ずっと温めておられた、というかなかなか日の目を
浴びさせてあげられなかった作品だそうですが、
良い意味で納得しました。
これは良い意味でラノベでなくていいというか
ジュブナイルです。狙った要素やあざとさも何もなく
(強いて言えば昔の少女漫画の読み切り風)
ファミ通文庫より「青い鳥文庫」などが似合いそうな
作風です。
安易に甘口にせず、余韻を残す終わり方もとても素敵です。
一見時代錯誤にも見えるアナログなお話ですが、
今の時代だからこそ、
「相手を知ろうとしないと勿体ない」と思わせてくれました。
意外とこれはデジタル化した今の時代のほうが
少なくなっている気がしますから。
あと「自分の尺度だけで計っていていてはいけない」
かな。
ヒロイン・千星ちゃんのあの姿はこっちのほうがいいと
思った方が多いかと。
意外と自分の目と他人の目にはそれくらいの違いがあるかも。
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大きなことが起きるお話ではありません。
一夏、ただ毎朝出逢うだけの少女と少年の、淡い恋のお話。
読んでいて悲しくて、胸が痛くて。何度も本を置きました。
終りが来ると分かっていて、
どうしてそれでも惹かれていくのでしょう。
絵を描くことで自分を支えている少年、陸。
彼は最後に、初恋の少女を画布に写し、賞を取ります。
彼はきっと孤独の中で自立して、名のある画家になるかも
しれません。
その受賞と、彼の想いを受け取る千星も、今のまま
ひとりで日常を丁寧に生きて、多分進学し、いずれ
静かな家庭を持つでしょう。
いつか届けば。
そう願いながら、きっと彼女たちは
名実ともに大人になっても、思い出の夏にしかなりえない。
けれど…。
なんてきれいな夏。
清冽で、淡くて。おとぎばなしはいつもかなしいと
決まっているなら、これもまた。
荒れた言葉は出てこずに、食事や小物や、風景や
全てが綺麗です。
ただ、世界を握りつぶす大人たちの存在だけが
どうにもならない闇の色を しています。
文学少女やヒカルより、こちらのお話が野村さんの本質
だと思います。どうかお手にとってみてください。
せつなく。悲しいお話ですが。
ラムネの瓶を陽に透かすような、薄青のおはなしです。
私はどうして あなたに出会ったのかしら。
いつかお別れの時が来るなら
何も知らずにいたら良かったかしら。
だけれど、あなたと見たあの空は ひかりは。
いまも目を閉じれば。
揺れる白いスカートの裾
空に舞った麦わら帽子
あなたのそばには どんなひとがいるのかしら。
あなたの手はもう触れないのに
私は
あなたをいまも。
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夏休み、別荘へやってきた女の子とその近くの村で新聞配達をする男の子の話。
互いが互いの身を思う姿に心を打たれた。
展開的にくっつくのかな?と思ってたらそのまま二人は離れるのだけど、最終章で見せた男の子の行動とその結果を読んで、ああこの作品はこういう終え方のほうがいいんだなっていうのを深く実感した。
くっつききらない、ということもありなんだなとひしひし。
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爽やかな恋愛小説かと思って読み始めたら
ちょっと違った。
陸と、千星、それぞれの抱えるものが
お互い見えないながらも相手が幸せであるといいと想いをはせ、
それぞれが居てくれることが心の支えになっている。
いつ壊れてもおかしくないような関係だけど
綺麗なものに感じられました。
千星の泣けない、笑わなきゃ、弱みを見せても
嫌われるだけだ、って思いは自分も感じることがあるので
胸が苦しくなる思いでした。
この話のあとの展開が二人にとって幸せなものであるといいなぁと思いました。
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別荘のお嬢様と新聞配達の少年のひと夏の淡い恋。お互いに想いあっているのにね…もどかしい。確かに少女漫画っぽい感じ。「一番素敵なメモリー」で、作品のタイトル…区切りをつけてしまってるのかな。
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文学少女シリーズをきっかけに野村さんを知りました。
野村さんの描く世界や言葉はいつも優しくて淡くて、竹岡美穂さんの絵と融合して穏やかな気持ちになります。
避暑地の別荘にいるお金持ちのお嬢様と、貧乏な新聞配達の少年が出会うというシンプルなストーリーの中に2人の家族関係や美しい自然描写などが丁寧に描かれていてあっという間に読めました。
もう少し先まで続きがよみたかったというのが正直な感想ですが(笑)
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平凡な話である。地味な話、と言い換えてもよい。
だが、私は、この物語を心底愛している。
この話は、砂浜を歩きながら、可愛らしい貝がらや、水にぬれてきらきら光る海ガラスを拾い集めているような話だと思う。もしくは、春の田舎道を歩きながら、そこここに割く小花を詰んでいくような話だ。
ささいな、小さな、気づこうとしなければ見逃してしまうような美しいものを、ひとつずつ見つけていくような、そんな話だ。
壮大な物語ではないけれど、優しい気持ちになれる。そういう物語である。
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【あらすじ】
両親の離婚話に立ちすくむ千星。明るく笑ってみせることで、壊れそうな家の空気を辛うじて保ってきた。けれど本当は、三人で一緒にいたいと、素直に泣ければよかったのだろうか…。新聞配達のアルバイトを続ける陸。母は家を空けたまま帰らず、生活のために必要だった。ただ絵を描いていたい、そんな願いも叶わない。それを恨んでも憎んでもいないけれど、今まで自分は笑ったことなどあったのだろうか―。そんな二人が、出会う。切なく繊細な一夏の物語。
【感想】
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1巻読み切り。
純愛ライトノベルの名品。
二人の世界がとても辛くて、でも、互いに相手の幸せを祈っている描写が好きです。お薦めライトノベル。