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生と死と性についての作品集。
それぞれの作品の設定はショッキングではあるけど
合理化を求めたようでいて
汚いものは見たくないという愚かしさも感じる。
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表題作を含め三作品収録。
プラスおまけ的なショートストーリー。
全作品とも突拍子もない話なのだが、
まぁ、それは、現代の話ではなく、
えらく時間が過ぎている未来の話なので、
どうにでも書けるのだろうが。
読み終わりスッキリとはいかないです。
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常識とか倫理って何だろう
何の疑いもせず、新しい価値観を受け入れることができる方が幸せなのかな
「あなたが信じる世界を信じたいなら、あなたが信じない世界を信じている人間を許すしかない」って台詞が好き
『余命』は、なかなかに衝撃的だった
医療の進歩も行き過ぎると…
今の状況ですら危ういのに、と思わされる
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コントロールされる殺人と出産。
生命の始まりと終わり。
命のやり取りの何が罪だと誰が決めるのか?
数々のあり得ない設定に生理的な嫌悪感を抱く。怖い。だけど、読むことが止められない。久々に価値観が大きく揺さぶられた一冊。
タイトルの「殺人出産」の他、「トリプル」「清潔結婚」「余命」の4作からなる短篇集。
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【殺人出産】
『姉にとって、殺すことは祈りだった。生きるための祈りだった。姉が行きたいと願うたびに、その白い手の中で小さな命が壊れた。そのことが、姉をかろうじて正気に保っていた。』
『靴を脱いで、フェンスによじのぼろうとしたとき、グラウンドから風が舞い上がって、私の身体がぐらりとゆれた。ふわっと宙に飲み込まれそうになったとき、死にたくない、という強い気持ちが頭の中で点滅して強くフェンスにしがみついた。その瞬間、それは急に起こった。
殺そう。殺せばいいんだ。
この時、私の世界が逆転した。』
「世界の変化は止められないわ。いくら叫んでみたところで、『更生』されるのはあなたのほうよ。あなたが信じる世界を信じたいなら、あなたが信じない世界を信じている人間を許すしかないわ」
「かっと身体に熱が灯って、とにかく憎い、こいつを殺せば人生がうまくいくんだ、って極限まで思い詰める感じ。ある意味では、殺す相手のことを信じているのかな。この人さえ消えてくれれば何もかも解決するんだ、って。冷静になると、赤の他人がそこまで自分の人生の鍵を握っているわけないんだけど、一時的な激しい思い込みって感じで…ごく、平凡な感情だよ」
【清潔な結婚】
「性別のくくりに囚われない、仲の良い兄弟のような、穏やかな日常を希望します。」
「僕の理想の家庭というのは、とても仲の良いルームメイトのような、また仲の良い幼い兄妹がお留守番をしているような、そんな穏やかな空間なんです」
「そもそも、恋愛の延長線上で家族を探すということに、僕には違和感があるんです。家族なんだから恋愛感情は抜きで、男でも女でもない、ただの家族としてパートナーと向き合いたいんです」
「やってみませんか? 私と、『性別のない結婚』を」
『「性」を可能な限り排除した結婚は、思った以上に快適なものだった。』
「性とは僕にとって、一人で自分の部屋で耽る行為か、外で処理する行為なんです。仕事でつかれて、ただいま、と帰ってくる家にセックスがある。そのことに生理的嫌悪感があるんです」
「快楽の性行為と妊娠のための性行為とは、今では大きく乖離しているというのに、そもそもそれを一緒くたにするということがナンセンスなんです。現代人の実情にそぐわないのです。」
『私はぼんやりと行き交う人たちを眺めながら、このうち何人が「愛のあるセックス」によって排出された精子だったのだろうかと考えていた。排卵日に淡々としたセックスでできた子供かもしれないし、人工授精かもしれないし、強姦かもしれない。それでも精子は卵子に届いてヒトの形に膨らんでいく。」
「あなたたち、セックスレスだそうですね。女として恥ずかしくないんですか? 私は彼をいつも満足させているし、愛し合っているわ」
「そうですね。愛人なんだから、もちろんそうでしょう。私達は家族なので、セックスはしないんです。」
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殺人出産
トリプル
清潔な結婚
余命
「産み人」となり、10人産むと、1人を殺す権利が与えられる。そんな「殺人出産制度」が認められ、讃えられる100年後の世界。
「産み人」を姉に持つ育子とそんな社会を正そうとする早紀子。
表題作の殺人出産の他、「生」と「性」と「死」についての短編集。
カップルではなく3人で付き合うことがブームになっている世界。
徹底的に性を排除した家庭を築きたい夫婦。
「死」がなくなり、死ぬ時を自分で選ぶ世界。
何か歪に感じるし、でも、合理的かも…とも思ったり。
これが正しいとは決して思わないけど、早紀子さんやトリプルの母親のように自分が正義だと信じて疑わないのも怖いな…と思った。
余命が好きでした。
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2015 キノベス第8位
キノベスは個人的には本屋対象より好みに合うものが多い。
そんな中での1冊。
読後しばし茫然。「10人産んだら1人殺してもいい」生と死の交換が効率的に行われる社会での正義とは。命の手触りとは。考え続けてしまう。覚悟と想像力をもって、この世界の価値観と戦い続ける村田沙耶香という作家を、もっとこの世に問うてみたい、そう思った。【今井麻夕美・新宿本店】
まるで宇宙の遠く離れた場所から地球の人間という生物を観察しているかのような視点。どうやったらこんな発想が出てくるのか......読んで半年経った今でもどうしても気になり続けている作品。【桐生稔也・川越店】
さすが書店員さんの書評。的を得ていて簡潔。
表題作の殺人出産を含め4編の短編集になっている。
どの作品も今ある価値観を覆す内容。こうやって価値観というものは歴史の中でどんどんと変化していくのかもしれない。
2014.7 講談社 装幀:帆足英里子
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殺人出産…評価はこの作品。面白い発想だと思うけれど、10-1=9はしっくりこなかった。出産は出産で殺人は殺人であり、その2つを分けて考えてしまうためかもしれない。
トリプル…一夫多妻制なら聞いたことがあったけど、調べたら何と多夫一妻制やら多夫多妻制というのも人間社会に実在することを知り衝撃を受けた。
清潔な結婚…こういう需要は今でももしかしたらあるのかも知れない。
余命…命は守るものでは無く捨てるものみたい。
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話題になってたから読んだけど、あんまり好きな話じゃなかったな…
生と性と死についてがテーマみたい。
設定は面白いのに、話がそれ以上広がっていかないし、その先にどーなるの?っていう気持ちにもならないから、最後まで読むのが辛かった。好き嫌いが分かれる本かな。
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なんとも衝撃的なストーリー‼︎
近未来的な、本当に起こりそうな、全くの虚空でもなく、もしかしたら未来はそうなるかもしれないと思考を惑わせる話。現代社会の常識や仕組みは崩壊しつつあるもの。出産や結婚制度、セクシャルなネタ、非常に重たいし、秩序や倫理観が問われる話。
先日、TVトーク番組で著者を拝見したが、おっとりした女性で、そのギャップがまた面白い‼︎
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「産み人」になり、10人産めば1人殺してもいいという「殺人出産制度」が認められた近未来社会。「死に人」にされた罪もない1人の命は、尊い犠牲でいいのか?倫理感の倒錯した近未来社会が描かれている。著者の他の短編からも、性への強い執着のようなものを感じる。
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なぜ読みたいと思ったのかはすっかり忘れてしまったけれど、読まなくてもよかった。
何が伝えたいのはよく分からなかったけど、少し全体的に気持ち悪かった。
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恋をしてセックスをすることと、妊娠をすることの因果関係はどんどん乖離。恋愛とセックスの先に妊娠がなくなった世界では、強烈な命へのきっかけ必要で、殺意のみが、その衝動になりうるとされた。死は死をもって成敗するのではなく、命を奪った者は命を生み出す刑により処せられる。闇の中で、一本の道が殺意という光に照らされ、壊れかけていた命が、殺意によって、辛うじて未来へと進み始める。殺意に背中を押されるように生きる日々。殺人という光に照らされ、殺意は世界に命を生み出す養分に転化される。恐るべき残酷に現代の残酷を見る。
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作家さんどおしの対談の時、西加奈子と朝井リョウが二人して著者の作品をオススメしていて興味が湧き、図書館で借りました。
別に二人のファンではないんだけどね。
初めての作家さんを読むときはいつも、期待と不安が入り混じって少し気分が高揚してるのだけど、そのテンションで読み始めたらちょっと尻込みしたくなる内容でした。
10人産んだら人を一人殺しても良いとされる法律が奨励されている世の中。
2人ではなく、3人でする恋愛が許容されつつある世の中。
家庭に性を持ちこみたくない夫婦が尊重される世の中。
医療の発達により、自殺以外に死ねない世の中。
こんな近未来が描かれた4つの短編集。SFです。
どれも生死と性をテーマとしたもので、私たちの今の常識や価値観を取り上げたうえでどう考えるかを突き付けられた衝撃作です。
産まれることと殺すことを結びつけたり恋愛と性行為を切り離したり、強烈だけど、世の中の変化に合わせて常識が変わっていくことは当たり前だなと思ったりして。
歴史を振りかえれば価値観の転換はよくあることだし、私の立ってるところはどこなんだろうなんて考えてしまいました。
面白かったけれど、読後感があまりよくないので☆は厳しめです。
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村田さんの本「ギンイロノウタ」の後に読んだ二冊目だったせいか、分かりやすく感じました。
発想がおもしろい、、フィクションですが、自分でお腹を痛めて産んだ子をなんの愛着もなく手放せる時代が来るのか…とも考えさせられました。
ただ最後の落とし所、ここまでか凄かっただけに、案外普通なエンディングだなと。