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人殺し侯爵の汚名を着せられ、父親の婚約者を殺したと罪悪感に苦しんできたテンプル。
彼は、ウィリアムという名を捨て、“人殺し公爵”の名にふさわしい賭博場<堕ちた天使>で、無敗の賭けボクサーを続けてきた。
彼に勝てば借金は消える…借金にまみれた男達の最後の希望であり、絶望を引き渡す役目だ。
ある夜、彼が捕まえたのは、あの日彼の人生の全てを奪うことを仕組んだ女、マーラだった。何故、マーラは殺されたように見せかける必要があったのか…
表紙裏には”RITA賞ファイナリスト作品!”とありますが、シリーズの一巻目に続き、見事2014年ヒストリカル・ロマンス賞を受賞した作品です。
シリーズ三作目に当たるので、この巻だけで読むのはあまりおすすめしない。
一巻目ほど、ホットなシーンは多くなく、物騒な始まりの割には、どこか微笑ましい雰囲気のある作品。
真実を求め苛立ちをぶつけるテンプルの感情から容赦ないと思い込むマーラは、自らが運営する孤児院の子供たちを救うために、情けない真実をいつ告げるべきか思い悩みながら、彼との駆け引きに必死になるのです。
展開は素直なストーリですが、テンプルの感情の移り変わりや、マーラが失踪中必死に作り上げた自分の居場所への想いが、激情ロマの後にぐっとくる良いお話となっております。