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1945年8月15日、日本敗戦。焦土と化した東京で、異端の石油会社「国岡商店」の店主である国岡鐵造は、社員を見渡して、よく響く声で言った。
「愚痴をやめよ」「日本には三千年の歴史がある。戦争に負けたからといって、大国民の誇りを失ってはならない。すべてを失おうとも、日本人がいるかぎり、この国は必ずや再び立ち上がる日が来る」
本書は、出光興産の創業者、出光佐三をモデルとし、度重なる窮地にも決して妥協を許さず、国と国民のために立ち上がった国岡鐵造の波乱の人生を描いた小説です。
よい小説というのは、多角的な視点で楽しめるもので、本書を「出光佐三の自伝的小説」として楽しむことができれば、「優れたビジネス書」として仕事への姿勢を見直すきっかけになることもあるでしょう。そういったいくつかの視点のなかで、とりわけ注目したのが、本書が、エネルギー問題について、幾度となく警笛を鳴らしていることです。「石油のために戦争を始めて、石油がなくて戦いに敗れ、今度は石油によって支配されるわけか」という国岡鐵造の台詞は、本書において何度も遭遇しますが、いかにエネルギー問題を最小化するか、というのが、国家の興亡にかかわる核心であり、それを理解するがために奮闘する国岡鐵造の姿、そして彼を支える良き理解者の努力には、感涙せずにはいられません。
「すでに日本の石油自給率は限りなくゼロに近いものになっていた。つまり日本はエネルギーのすべてを外国に頼っているのだ。もしなんらかの国際的なトラブルに巻き込まれ、石油が入ってこなくなるような事態になれば、この繁栄は砂の城のようにたちまちのうちに崩れてしまう」
本書が、エネルギー問題に対して警笛を鳴らすのは、それがながきにわたってつきまとう難事であり、それを理解することが、いまの我々にとって重要だからかもしれません。震災をうけ、エネルギー問題が再浮上した昨今だからこそ、本書が放つメッセージはとても価値のあることと思うのです。
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2013年の本屋大賞に輝くこの本、国岡鐡造という人物を中心に、上巻は、終戦直後の辛苦から、遡って戦前から戦中、会社を興すまで、起こしてからの艱難を描く。
主人公のみならず、作中いずれの人物も厳しい状況の中で確固とした価値観を持って生き抜き、「永遠の0」もそうだけど、国や民族に対する作者の自負と思いが強く溢れる(まあ、ついこの前みたいに『NHK番組の強制連行発言に意見。放送法抵触か』みたいな記事を見ると、ちょっと複雑ですけどね)。
『日本は石油のために戦争をし、石油のために敗れた』とあるけれど、第二次世界大戦に対するこういう見方は、私にとってはなかなか新鮮、腑に落ちて、物語の背景を厚くしたと思う。
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国岡の執念がすごい。起業というのはここまでタフなことなのかといろいろ考えさせられる。自分には絶対に真似できない。
後半、『永遠の0』の宮部の名前が出てきて鳥肌。
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※メモ
【きっかけ】
空港にて、出張中の娯楽用
戦後の経済復興がらみで気になった
【概要】
伝記的小説
【感想】
明治から昭和にわたる経済、技術、国際情勢をめぐる荒波の中での主人公のダイナミックな行動、一気読みさせられた。
下巻も楽しみ。
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読み進む内、主人公にはモデルがいるなと思い、しばらくして、出光佐三と知る。
どちらかというと、ビジネス小説であり、成功の物語である。しかし、日本人として主人公の生き方に共感出来るし、同じ日本人として誇らしくもある。一方で、現実はそううまくいくのかなと懐疑的になる自分がいる。
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出光興産、出光佐三の話。
石油という生涯をかける仕事に若くして出会い、
恩人の教えを守り通し、権力に屈さず、困難に立ち向かい、諦めず、常に他人、家族=社員、そして国のために尽くす。
それを知っているから周りも助けてくれる。
主人公は本当に諦めないし、だいたいなんとかなる、ということを何度も教えられた。
何より人のため、国のために尽くすという姿勢に、自分のことばかり考えている自分自身が情けなくなった。
こんな漢になりたい。そう思わせてくれる一冊。
永遠のゼロの10倍は面白い。
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http://hinbeee.blog31.fc2.com/blog-entry-1683.html
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百田尚樹だよな? 半沢直樹じゃないよな。
面白くって途中止まりませんが、個人的にはちょっと違う、という印象です。
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難しそうだと思いながら一気に読んでしまいました。
彼のように信頼できて尊敬できる人が上司だったら、もっと頑張れたかな。
2014-07
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2013年本屋大賞ということで初百田尚樹。今まで、気にはなったけれど、作者の右寄りな印象から手に取るのを避けていた。
読んでみて、読みやすいし、面白いとも思う。
けれど、主人公があまりにもまっすぐで、正義感にあふれ、やることなすことすべてが正しいという展開に違和感を覚えた。もちろん失敗談もあるのであるが、読んでいて失敗とは感じない。すべて成功への布石であるように感じられた。その点が、人間臭くなく、いまいち共感できなかった点であると思う。
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熱い。
相変わらずこの作者の文章には熱くさせられる。
会社や組織に属している人なら一度は読むと良い。仕事やる気出るかも。
上巻ではちょうど一番キツいところで終わったので下巻でカタルシスを得られると期待。
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文庫化楽しみにしていました。
読みやすく、そして熱い。
「宮部」の名前が出てきたときは鳥肌立ちました。
面白い。下巻へ。
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ひねくれてるのかもしれないけど、こーいうふうに終始まっすぐ正義感がありすぎるのは、共感できない。
しかもそれが、長編にわたるならなおさら。
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百田尚樹お得意の戦争史実もの。
とても良いが、431ページの一文は好きになれない。
御都合主義すぎる。
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確かにテンポが良くて読みやすかった。
でも、読み進めるうちに展開が単調になり、小説と言うよりも、内容を書き込んだ出光の社史のように思えた。
登場人物の苦悩が描かれている山崎豊子の作品にはとうてい適わない。どうしてあれほど絶賛されるのかな。