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ローカルビジネスに興味があるのであれば、こういう本をちゃんと読まなきゃいけなかったよなと後悔。ただ、過去を悔やんでもしょうがないので、これからちゃんと勉強しよう。
日本全体が人口減少している中で、これまでと同様に地方の産業政策が「工業団地造成&企業誘致」では立ち行かなくなるだろうというか、すでに立ち行かなくなっていると実感しており、じゃあどうするかというと「質の高い産業だ」とロボット産業などの誘致になっているのだが、果たしてそれでいいのだろうかと思っていた。そういう意味では、この本で語られている、ローカルビジネスは密度の経済性が働いており、グローバルトップを目指す必要はなく、生産性の向上を図るための企業集約を図るべし、というのは腑に落ちた。ただ、それを行政政策に結び付けるのはなかなか難しい。転廃業の促進はできるかもしれないが、金融機関のデッドガバンス強化や、再編促進型の倒産法の導入といった解決策は、国や民間と協力しながらでなければ進められない。が、そういう視点を持つことが重要なんだろう。
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2020.03.21 予め、グローバルでオリンピックチャンピオンを目指す企業(Gの経済)とローカルでの勝利を目指すサービス業を中心にした企業(Lの経済)を分けて考えるという切り口はとてもおもしろく、同意すると同時に感心した。Lの経済における生産性の向上という考え方はとてもよく理解できる。どう進めるかを考えないと。
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朝日新聞のインタビューを読み注目していた。みちのく交通の話などとようやく符号。人口減社会の中で、生産性を上げないといけないというストーリーには大変納得。林業の将来もこれで解けそうである。
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抜群だった。正直『シン・ニホン』よりも、いま読まれるべきはこちらではないかと思う。机上の仮説ではなく実戦の中で得た洞察なので、迫力が違う。
トレーダブルなグローバル経済の世界の極北にはPh.D.持ちCEOたちの世界観があり、熾烈な資本獲得競争が続く。なんちゃってガバナンスの「日本基準では一流企業」の文句を聞いている暇はなく、グローバル基準のオリンピック選手育成環境を整備する必要がある。
アントレーダブルなローカル経済の世界においては、規模の経済は幻想であり、元々PLさえ安定させられればディフェンスは強い。それに加えて労働人口不足という環境変化が重なり、ROEよりも労働生産性、資本市場よりも労働市場によるガバナンスがゲームのルールとなっている。この世界における本当の課題は、新しい企業を生むことよりも弱い企業・集落を整理・集約することにある。
注意すべきは、良くも悪くも現場視点であるからこそ、時間軸を飛ばした大胆な構想にはなっていないこと。20年30年先を考えると、地方の高齢者まで漏れなくAmazonやUberを使いこなし、GがLを侵食していくシナリオもありえるのではないかと思う。
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これからの日本のいく末可能性について考えるべく読書。gとlの社会は構造が違うという話。改めて興味深い
メモ
・製造業、it業はグローバルの経済特性。規模の経済・ネットワークの経済性が効きやすく、国際競争に巻き込まれやすい。
・ローカル経済圏はコトの価値。分散的な経済構造、密度の経済が働くことが多い。
・新陳代謝の不足
・グローバル優良企業はトリプルテン(利益率・ROE・成長率)
・Gの世界の戦略 高株価・新陳代謝・成長産業・労働市場
・銀行も通信もローカル産業。グローバルかどうかをみるには寡占度合い。
トップ10位でほとんどをしめていたらグローバルの産業
・再生における問題の本質はBSでなくPL
・ローカル経済は緩やかな退出と寡占化を
・ローカルの場合、ベストプラクティスアプローチが有効。同一地域でなければ、競合とならない
・緩やかな退出を促進するためには資本市場や製品市場でなく、労働市場から。最低賃金をあげる。
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なぜローカル経済から日本は甦るのか GとLの経済成長戦略 (PHP新書)2014/6/13
G経済圏とL経済圏それぞれで別の戦力を用意せよ
2015年4月15日記述
産業再生機構元トップの冨山和彦氏の著作。
本書では企業、産業がかつてに比べG(グローバル型)、L(ローカル型)とはっきりと分かれていてそれぞれに効果のある対策は異なるということを示している。
これまでも感覚的に思っていたことではあるけど、国際競争に耐えずさらされているメーカーとJR、バス会社などを同列に扱うことにそもそも無理があるのだ。
(国の産業政策だけではなく個人にとっても同様。MBAを取得や高レベルの英語力が日本人全員に必要かどうか等・・・)
G型企業のこれから、ガバナンスがどうあるべきかは本書に加えてビックチャンスという著作に冨山氏がまとめているので参考にされたい。
L型については本書がよくまとまっている。
雇用にしてもGDPにしてもおよそ7割をしめているというのは意外だった。
L型では密度の経済性が効く。
L型経済圏に対して単純な規制緩和ではかえってブラック企業などが増えてしまう。
スマートレギュレーション(賢い規制)が必要である。
サービス業などは国境を越えることは出来ない。(バス、鉄道、観光・・)
サービス業の最低賃金を上げ生産性の低い会社の退出を促す。
地域金融機関、保証協会のあり方の見直し。
特に信用保証協会からの代位弁済が毎年一兆円を超えている。
これを見直し生産性の低い企業へ緩やかな退出を促す。
個人保証でも贅沢品を除いた財産は取り上げず路用に迷わないように変える。
税制や補助金も生産性の高い会社に傾斜的に配分するべき。
失業対策も対企業ではなく直接個人に対して。
人手不足対策を真剣に行う(放置すれば人がいなくて過労死する場合も・・)
非高度人材の外国人を移民としていきなり受け入れると
劇的なショック反応が起こる可能性がある。
日本国内で少子化対策、生産性向上、女性と高齢者の更なる活用を徹底的に行う。
いきなり外国人労働者を入れることは最低賃金の引き下げとほぼ同じ効果を持つ。
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先日の衆院選の争点だったらしいナントカミクスの効果でトリクルダウンが起きてそのうちみんな潤う、という設定だそうだ。ホンマかいな、と僕も思うし、多くの人の実感だろう。
そう、起きないのだ。なぜか。グローバルとローカルの経済圏は、いまや直結していないから。
「年収は住むところで決まる」のように、グローバル企業の周辺サービス業はある程度潤う、ということはあるだろう。
けれど、昔のように、大手の周辺に下請けが集まっている、という時代ではない。グローバルに扱われるモノや情報は、ご近所ではなく、どこか遠くからやってくる。だからトリクルダウンは起きない。
アメリカで最も安定的に高収益をあげている金融機関はウェルズ・ファーゴという地銀で、地域の教育ローンや住宅ローンなど地味なものを、高密度かつ高効率に行っているという。グローバル市場には出て行かなくても儲かる。金融も本来はローカル経済圏のものである。
通信も、一見グローバル化しているようでいて、トラフィックのほとんどは国内のものが占めている。
かなりの割合のビジネスは、実のところローカルである、ということだ。政治やメディアは大手製造業を基準にしたものいいをすることが多いが、そんなのは極少数のスーパーエリートで、しかもトリクルダウンも起こらない。
と、トリクルダウン批判が楽しくてたくさん書いてしまったが、それだけをいう本ではない。
ローカルはローカルでやりますよ、という呑気な話ではなく、ローカル経済圏の生産性の低さやゾンビ企業の延命も斬りすてられてしまう。ローカル経済圏の効率をいかにあげるか。生産性向上のための多能化や集約化といったこともあげられる一方で、ローカルにはローカルのゴールがあり、矜持が示される。
問題は「新陳代謝」、とくに「新陳」ではなく「代謝(退出)」であろう、と。そうかもしれないなあ。
テンポよく読んで気分がよかった。ローカル視点の感想だけど、グローバル側の人も楽しいと思うよ。
反面、怖くもなった。頭切り替えよう。
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経営の専門家として多方面に渡って現在も活躍中の冨山和彦が、日本経済を立て直すにあたり、グローバル経済とローカル経済に分けて考えないと、国の政策から何まで見誤りますよいう警告を2014年の時点で発した本。