紙の本
意外でなかった若者の生態を統計データで読み解く
2020/08/08 11:37
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投稿者:もちお - この投稿者のレビュー一覧を見る
若者論はローマ時代から延々と語られ続けているが、大抵は単なる個人の感想であったり、そもそも時代背景が違う中での最適化だけであったりするが、それらの理屈を統計で読み解くのが本書である。若者かわいそう論に対しては、彼ら彼女らは本人たちの幸福度や満足度が高いから、かわいそうということには該当しないとか、若者の未婚化晩婚化みたいなものをデータで追っていくだけの本。
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どこにも「意外な真実」がなかった…。良くも悪くもマーケティング用の基礎資料でしかないので社会学・経済学的な価値はあまり期待しない方がいい。
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今まで何冊か最近の若者は格差が広がっていて昔と比較して可哀相だという本を読んでました。特にこれから社会人になる予定の二人の娘を持つ親としては心配は募る一方です。
ところが冷静になって私の若いときと今を比べてみると、今の若者は携帯電話を持ち、友達と自由に連絡が取れて、パソコンの機能も持ち歩ける環境にいます。またお小遣いやお年玉も、インフレを考慮しても、娘たちのほうが多くもらっている様な気がします。
そのような感じを持っている私にとって、この本でデータと共に検証されている内容はとても興味の持てるものでした。
以下は気になったポイントです。
・良い統計データを見つけるためには、1)調査対象は偏っていないか、2)サンプルサイズは十分か、3)調査方法や設問によって回答にバイアスがかかっていないか(p14)
・統計データを時系列でとらえるとともに、性年齢や様々な属性で分解すると、知りたかった事象を深く理解できる(p34)
・後期高齢者になると、5歳年を重ねるごとに要介護・要支援認定者の割合は倍増する(p46)
・2012年改正では、原則として希望者全員を雇用確保措置として継続雇用制度を導入することとなった(p49)
・未婚者の多い若年層の生活満足度が高い背景には、時間・お金が自由に使えることがある(p57)
・統計データによると、バブル期の89年よりも09年のほうが可処分所得も貯蓄現在高も多い、この背景の一つに、高学歴化で新卒待遇が改善されている可能性がある(p71、72)
・実際に月々手にしている金額を推計すると、バブル期の若者よりも、家族を持つ中高年よりも多くを手にしていて、目先のお金は案外不自由していない(p92)
・今はお金をかけなくても美味しいものを食べられる環境にある。外食よりも、むしろ楽しんで家の中で食事を選択している可能性もある(p108)
・若年単身世帯の自動車保有台数は、男性では94年をピークにやや減少傾向だが、女性では増加傾向(p126)
・2002年には人口普及率が過半数を占める、同時期に携帯電話契約数は8000万件(p131)
・デジタルネイティブとは、1)インターネットを通じて現実に会うのと変わらないコミュニケーションができる、2)情報を選別する眼を養うことができる、3)フラットな人間関係になじんでいて肩書きでなく本質的な能力をみる(p134)
・94年に航空券の割引が初めて認可、96年に事業者が運賃設定可能(一定制限あり)、98年には新規参入認められる、2000年に運賃設定が原則自由化、2010年からLCC事業者が本格参入(p146)
・96年以降は女性では大学進学率が短大進学率を上回った、90年後半はオフィスのIT化が急速に進んだ(p215)
2014年7月27日作成
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2014年6月初版
久我尚子 著
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酒、車、趣味からフルーツまで、●●離れと言われるもののその実をマクロデータからアプローチ検証しているので、それぞれの業界の若者の概況を知る上で辞書的にいい本。あと、マクロデータはちゃんと把握した上で語ろう。
というまっとうな一冊。「面白い発見感はない」といってしまえばそれまでなのですが、発見感がないことを即悪だと言ってしまうスタンス自体に、異を唱えているのが一つのコンセプトな気もします。
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結論からいうと、実はバブル期の若者より、今の若者のほうが多くの所得を手にしているらしい。まあ、確実に自分はその中では少ないほうだろうけど。
統計におけるサンプル数は、母集団が10万人以上になると、1500程度あったら十分らしい。新聞の世論調査が1500人程度なのはこういった理由からなのだとか。これは知らなかった。
若者のクルマ離れと言われてるけど、男はそういった傾向が見られるけど、女性はむしろ自動車関連費の支出が増えてるのだとか。そういや、トヨタのCMでも女性をメインにそえたCMって増えたような気がする。
なお、ゴルフ離れはしているんだとか。最近のほうが若いゴルフ選手が活躍しているイメージがあるけど、普通の人はゴルフしなくなってるのか。自分もしたことないけど。
若者の結婚観については、結婚したいと思ってる人は多いけど、300万円の壁があって結婚できない人が多いのだとか。そこで述べられてるのはだいたい非正規雇用にういての話なのだけど、自分の場合、正規雇用のはずだけど年収300万円未満なんだよね・・・。自分の場合、優柔不断男子だから交際相手すらできないのだけど。ところで、草食系男子の意味を初めて知った。『恋愛にガツガツせず、心優しい女性が苦手』という意味らしい。前半はなんとなくそんな気はするけど、なんで心優しい女性が苦手なんだ?
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統計データを基に淡々と若者の実態を分析していく本。心が踊らない。若者論を語る時は、必ず対比すべきものがいる。おじさん?高齢者?
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図書館より
第1章で統計のサンプリングの抽出や問題設定、データの読み取り方などの話があり、2章以降が若者の話に移っていきます。
タイトルにお金とあるので、支出の話や消費の話などはもちろんのこと、結婚や労働に関してなどタイトル以上に幅広いことを統計をもとに分析されていたと思います。
特に目新しい話があるというわけではないのですが、出版が2014年6月と新しかったので(自分が読んだのは201411月)ちょうど若者論を調べていた自分にとってはありがたい本でした。
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統計数値を使って、今の若者を分析するという本です。統計に基づいて議論するという姿勢は勉強になりましたが、結論がありきたりなのが残念でした。
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いろんな統計データを元に、データからどんなことが読み解けるかを一つ一つ読み解いていく本。データ分析の手法例や、こんな統計があるんだ!という発見も。
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今の若者はお金も持たず車も買えない。本当にそうなのだろうか。統計データをつぶさに検証してみると全然違う実態が見えてくる。若者は厳しい経済環境にありながら所得、収入、貯蓄は多く生活満足度は高い。可処分所得や貯蓄現在高はバブル期よりも多い。40~50代は正規職員も多く所得も多いのになぜか満足度は低い。満足度の高さは成熟社会の恩恵からくる。今の若者は、いつでもどこでも簡単に、しかもお金をかけずに多様な手段でコミュニケーションを取ることができる。多様な商品、サービスを楽しめる。さしてお金を出さなくても美味しい物を家で食べられる。安価で高品質な商品・サービスがあふれ、娯楽も多様化。選択できる対象も増えている。いきおい車や高級ブランド品への興味は薄れる。若者はお金を使わないわけではなく使わなくていいから使わないだけなのである。統計による肌感覚と実相の大きなズレを思い知らされた。
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本書は、統計の入門書としての位置づけ。伝わりやすいように若者の○○離れの観点から読み解く。
元々論文から本にしたもののため、文章は論文口調となっている。図は使用されているものの、強調や補助線がないため理解しづらい。また、文章で図の説明がされているため理解のしづらさに拍車を欠けている。あと、結論付けが弱いかなとも感じた。
ただ、この本は、若者および高度経済にいた方々が読むべき内容である。私自身は88年生まれのため若者部類となるが、"えっ!そうなの?!若者の○○離れって嘘じゃん!"とか"たしかにそうだ"と驚き納得する箇所が幾度となくあった。
この本から学んでどうするかという行動を変えるというよりも、現状を理解するのに役立つ本であった。