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◎イスラエル軍14万人vsアラブ連合軍66万人
最高の作品である。
1948年の第一次中東戦争の時は、イスラエルは国連のパレスチナ分割決議案に世界の圧倒的な承認を受け5月14日に建国、その翌日15日からイスラエルに対して「アラブの大義の為に!(ユダヤ人皆殺し)」をスローガンに掲げるアラブ連合が攻撃を仕掛けイスラエル軍14万人対アラブ連合軍7カ国(エジプト、ヨルダン、シリア、レバノン、イラク、サウジアラビア、イエメン)の66万人と圧倒的に不利な状況のなか死闘を繰り広げ奇跡的な勝利を収めました。
これ以降、第四次中東戦争まで絶対に負けなかったイスラエル。
今や中東最強の軍隊にして世界で最も実践経験豊富なイスラエル国防軍。
そのイスラエルの聖書以前から聖書に収められた戦いを地政学、歴史学、聖書学、考古学を駆使して丹念に検証した作品。
著者のモルデハイ・ギホン氏と共著者のハイム・ヘルツォーグ氏は共に実戦経験者であり軍事史と考古学の専門家で、特にハイム氏は第6代イスラエル大統領ってんだから説得力がないわけがない。
各時代のイスラエル軍がどのように動き、戦ったかを図説されているのが有難い。
聖書を読まれた方が、若しくは現在のパレスチナの地図と聖書を片手に本書を読めば面白さは倍増。
他の戦争史や軍事史に無い高いレベルでの教養が得られる戦史ではないでしょうか。
ただ、地政学的研究とサブタイトルに在るような純粋に地政学視点と云う訳ではなく、ほぼ地理学的な視点。
現在、2023年10月7日のイスラエルに対するハマスの大規模攻撃から半年。
とにかくイスラエルはその強さ故に、また反ユダヤ主義故に批判されがちだが古代から現在に掛けてイスラエルの民たちは自衛の為の戦いであったことがその片鱗でも理解出来るのではないだろうか。