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読書術と、筆者の紙の本に対する思い、読書ガイドが入り混じっていて盛りだくさん。電子書籍に対する評価の低さは、装丁に関して代替できないのはわかるが、耐久性などは大きく見ればクラウドの考え方と技術の進歩で改善されるだろう。碩学ゆえ、何でも貪欲に呑み込む筆者だが、トンデモ説や間違っているものまで一緒くたに呑み込んでいないかという懸念はある。
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「読書術」と言うより、「雑読記」な感触。
数珠繋ぎにまさに喰らう様に読み尽くしていく様は、「術」とも言えるかも知れないけど。
やわらかでねっとりしたトロみのある語り口が印象的。
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もういい加減ブックガイドブックや読書指南書には飽きたよ、と思っていたが、
立ち読みしたら足穂が頻々と登場したので堪えきれず購入。
読書による時間旅行やしりとり読書術など、一般論は既にわかっていたこと。
しかし本書中には本の馬鹿がたくさんいる。
極めてクレバーな書痴たちの痛快さ。
そして幻想文学以外の博物学の荒俣氏に触れることができた。
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「読書術」と銘打った本は数あれど、荒俣さんのはテクニカルな指南書という体裁ではありません。「ふと気づけば、気が遠くなるような歴史の中に我々はいる」という大前提を本は気づかせてくれる。それを知ることが「文化的価値」を測るということではないでしょうか。大阪こそがそうした土地だったはずなのに、今では荒野への道を歩もうとしていますが(^q^) ウンチクやビジネス書、啓発本にライトな推理小説……いや、本の醍醐味とは自分で自分の世界を切り広げられることだ、なんてことを語っているように思いました。
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副題には「一番おもしろい本の読み方」とあります。
アラマタ流の博物学的本への接近方法。物としての本を強く意識しているところが印象的。
また、全集の編纂意図・体系の読み取り方に触れている章などもあり、1冊の本を超えたところに興味を広げると楽しさ倍増なのですね。
「論じるならまず起源にさかのぼれ」とあるとおり、興味の連鎖をとことん追い詰め体系付けるということで、その行為が著者を形作って魅力あるものにしているということがよくわかります。
だんだん年をとってくると欲が無くなるのと同時に面白いと感じるものも少なくなってくるものですが、それは、自分の好奇心が無くなってきている証拠でもあるのですね。70歳近くになっても尽きない好奇心の塊・荒俣先生恐るべし!
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ケンブリッジ大学での、クリスマスになるとどこからともなく奉加帳が学生間に回されて、あっと驚くような蛮行に成功したら人助けの寄付をしてくれ、と趣旨が書いてある話が面白かった。
なんでも賭けにしたがるお国柄を逆に利用したチャリティ活動で、払わない者にはリンチがあるので回収率も良いという。
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また、本が実体験より勝っている点として、いつでも、どこでも、リスクなく体験できる点としているのはなるほどと思いました。
読書においてはたとえ死でさえも疑似体験ができる。
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読書をしても「聖人にも、悪人にも、また偉い物識りにも、なれません。ただ一つ、メリットといえば、人生に退屈せずに済んだことです。」という著者の言葉に強い説得力を感じる。好奇心の赴くままに様々なジャンルの本を食事するかのように読んでいく著者の楽しそうなことといったら、こちらの読書欲までそそられた。好奇心旺盛さや探求心が思いもよらない本へ著者を導いていく様子が面白く、本の海はとてつもなく広いなぁと改めて思ったので、これからたくさん読書していきたい。
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一時期、流行った「知の巨人」の一人である著者の本の読み方に興味を持って読んでみた。
読書という行為は「食べること」と同じで、いかに無駄なく栄養にできるかがポイントと言う。本は、丸ごと読み、自腹で買い、快感を感じ、そして下らない本にも思いがけない価値がある。だから常に脳に栄養を与えるつもりで読むことが重要。やり方としてキーワードを手掛かりに芋蔓式に読み込んでいく読書法を推奨する。
読んでみて、これまで読んだ類書と比較して特に新しい読書法が紹介されているわけでもなく、書かれていることは普通であまり面白いとは思わなかった。著者は博覧強記で知られるが、その理由は本の読み方にあるのではなく、彼の圧倒的な記憶力にある。普通の人が彼の読み方をいくら真似ても、彼のようになれるわけではない。作家が仕事のネタを集めるためにやる読書と趣味で読む読書では、そもそも読書に対する意気込みが違うと思う。芋蔓式読書で食べた芋が栄養になるのが知の巨人。消化されて何も残らないのが普通の人。
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2014年刊行。◆著者の体験的読書、蔵書論。ということで、著者のファンなら読んで損はないはず。◇ただ、個人的にはそれほどの気づきや糧となるべきものはなかった。もちろん、悪書でないのはいうまでもない。
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面白いが、紙に偏重している。
荒俣さんは本オタクでもあるが、より、情報オタク、知識オタクなのだと思う。好奇心が引っかかるところが、誰も知らない、レアな情報という人なのだろう。
情報と情報から知識を生み出す部分には、あまり興味がないようだ。
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つい読んでしまう読書術系の一冊。本の紹介を兼ねていることが多いってのが、つい読んでしまうポイント。本作が類書と一線を画すのは、読書の有害性から論じ始めている点か。確かにそのために犠牲にしなければならないものは多く、ときどきふと『ホンマにこれでええんか?』と自問自答してしまうしね。まあでもそんなの一瞬で、好きならばこそ、って思っちゃうけど。後半の、読書に関する云々かんぬんについては、特に目新しい主張も感じられず、オススメされている本にもあまり惹かれず。
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本なら結構読んでるよという輩に、キミキミちょっと、こんな読み方もありまっせ、読書は面白かったらええねんと、次々と視点を変えた読み方を披露しながら、最後に、面白けりゃええねんけど、でもやっぱ基礎はあった方がええで。
「読書術」のタイトル由来はそこにあると見た。
タブレットPCで読むのが今ひとつ楽しくないわけがこの本で漸く分かった。「活字」じゃないからだ。気が付かなかった。
書籍は活字でできている。今は電子化されてはいるが、それでも様々な字体があり、著者や編集者はどういう活字をどう配置するか、表紙からオビからそんなことにまで心血を注ぎ、総体としての「作品」である書籍をつくりあげている。電子ブックは代わり映えのしない「フォント」だし、本文以外の部分をしげしげと眺めることもなく手触りもない。愛着が持てないわけだ。
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本好きのための本にまつわる話。
読書はすればするほど面白くなる。
世界観が広く深く構築されていくからだ。
ベストセラーを書けたら、本を買うお金に困らなくなる。
でもやっぱり買うお金に困る時から買ってる人間だからベストセラーも書けるし、お金に困らなくなってからも買い続けるような人がベストセラーを書くのだろうと、知人のベストセラー作家の方の話を聞いても思う。
読書をして歴史を学んでいけば、時間感覚が養われる。
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本の虫を地で行く博覧強記の荒俣宏氏が、長年培ってきた本の読み方について紹介する本。
「アラマタ流読書術」とはいったいどんなものなのか?
読書という行為はすなわち「精神の食事」だと考える彼は、人間が発明した物の中で本が最もよい頭の栄養物だと言います。
上手な摂取法は4点。
①本はなるべく「まるごと」食べる
②本は自腹で買う
③本は「目から鱗が落ちる」快感があるのがいい
④本はクズや毒でも、思いがけない価値がある
そのセオリーのもと、彼は〝知の大食漢〟となり続けているというわけです。
読書のすばらしさを語りつつも、「本を読んでいたから、妄想の大家になれた。いじめられている自分を相対化できた」という氏の言葉には、むしろ本を救いにしていた感があります。
セルバンテスの『ドン・キホーテ』やゲーテの『ファウスト』など、本の虫が現実不適合で悲劇(喜劇)を招く例を挙げられると、本の読みすぎの功罪に多少不安感も生じますが。
「読書のただ一つのメリットといえば、人生に退屈せずに済んだこと。」
この一文はかなり響きます。たとえたったひとつしかメリットがないにせよ、とても大きな魅力であることにまちがいありません。
氏のように思いきった読書をすることは、それだけ日々を楽しく過ごせるだろうと納得できる内容になっています。
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著者、荒俣宏さん、どのような方かというと、ウィキペディアには、次のように書かれています。
---引用開始
荒俣 宏(あらまた ひろし、1947年7月12日 -)は、日本の博物学研究家、図像学研究家、小説家、収集家、神秘学研究家、妖怪評論家、翻訳家、タレント。元玉川大学客員教授、武蔵野美術大学造形学部客員教授、サイバー大学客員教授、京都国際マンガミュージアム館長、日本SF作家クラブ会員、世界妖怪協会会員。
---引用終了
で、本作の内容は、次のとおり。
---引用開始
「人間が発明した物の中でもっともよい頭(精神)の栄養、(他人の経験が詰まった)いわば頭の缶詰みたいなものが『本』です」。-「第一章」より。本書では、「知の巨人」「博覧強記の怪人」など、数々の異名を持つ著者が、何千、何万冊と本を読む中で得た、もっとも美味しく(おもしろく)、頭の缶詰(本)を食べ(読み)、無駄なく頭の栄養にするための「アラマタ流読書術」を初めて紹介します。
---引用終了
知の巨人の異名をもつ方は数人いると思いますが、その中の一人、荒俣宏さん。
やはり、知の巨人の読書術というのは、一味違うものです。