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内容がブラックスワンかどうかは別として、事例研究で留意すべき視点について、示唆に富んでおり、非常に参考になる。
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タレブの本やナタリー・ポートマンの映画とは関係ない。AMJ(Academy of Management Journal)の優秀論文のうち、ケーススタディの手法を利用したものを紹介。アカデミックなケーススタディの方法論を説明するとともに、その方法論が研究以外の実践にどう活用できるかを示す。実務家の人にはアカデミックなケーススタディがどのように行われているかわかるし、ビジネススクールの人には教育のためのケーススタディと研究のためのケーススタディとの違いやHBRの論文と学術論文との違いがわかる。論文書く人には優れたケーススタディのレビューとして使える。
個人的には1章、2章、3章がとてもいい。とくに、2章はEisenhardtのメソッド(89年のやつ)を利用した論文で、メソッドが実際の研究にどう適用されたのかがよくわかり、たいへん参考になる。
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日経新聞の日曜日の書評欄で知った本。
タイトルが判りづらいし、映画「ブラックスワン」のことかと勘違いさせる危険大。
アカデミー・オブ・マネジメントの再優勝論文賞を受賞した学術研究を通し、ケース・スタディ=事例研究という学問を紹介する内容。
統計学が全体的傾向を把握する手法なのに対し、あり得ないと思われている事例に注目していく辺りに特徴がある。先端事例、代表事例、逸脱事例、原型事例などの解説もあり、判り易い。
紹介されている事例研究は、予言を外しまくりながら団結を強めるカルト教団、リーダー不在で劇的変化を成した教会、脚本家とスカウト側のプロデューサー、スタジオ役員の両面から見た採用のプロセス、優れた医療イノベーションが普及しない理由、ベンチャー企業のM&Aなどと読み物としても中々面白い。
NHKのクローズアップ現代の分析力に対する評価、公文が社内で行っている事例研究など、成程と思う処は多い。
今後、新聞やビジネス記事を読むのに、こういう分析的な目は必要だなと思う。出来るかどうかは判らないが。
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5つの経営の常識に反するケーススタティを取り出して説明している。
1. 凋落している教会の再生事例。リーダーシップ(通常、変革には最も重要とされる)とは異なる細かいアクションの積み重ねで組織の方向性が大きく変わった。
2. オンラインに対する新聞社のアクション。複数社が同時に同じ経営課題に対処し、論争のある環境変化に対して硬直的加重なんかという疑問に対してそのケースでは、素早く行動する経営と硬直的な経営の2つの相反する行動がそれぞれの新聞社で見られた。8社中ほとんどがオンライン子会社など新組織は素早く設立したが、その新組織に対してはトップダウンで行動を決定し、結果としてそのオンライン対応新組織は本社の利害に縛られ柔軟な行動が出来ずコストを食っただけとなってしまった。
3. ハリウッド脚本家の創造力測定。新規脚本家を採用する際の面接のチェック事項。プレゼンだけではなく、プレゼンに対して面接官がどのようなアクションをとったかが、その面接官の判断にフィードバックされて印象を決定づける。その点で実験と実際は異なる。プレゼンターは面接官を同志(上下関係ではく)としてプレゼンに参加させることが重要となる。
4. 医療技術の普及の差異。優れた技術が必ずしも普及するとは限らない。その理由としては、専門家(領域、病院/プライマリー)の壁が多くあり、それを超えるような人々への働きかけが重要。
5. ベンチャー企業のMAの買い手売り手の裏切り行為の理由。買い手と売り手双方に調査したのがポイントで、2者に信頼/非信頼の4通りのパターンが存在するが、相手は自分を信頼しているが、自分が相手を信頼できない時買い手は裏切る。
細かい事例が多い割に5例は少ない。
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自分自身、1年前まで経営専門職大学院に通っていただけに、在学時代に出会いたい本であった。
経営学における「ブラックスワン(=ありえないような発見)」は、統計分析による研究よりも、事例研究によって明らかになることが多い。
著名なマネジメント学会誌『アカデミー・オブ・マネジメント・ジャーナル(AMJ)』の受賞論文の多くは後者によるものであり、本書ではアワードにおける最優秀論文の解説を通じて、“通説”を覆した事例研究とその方法論を解説している。
「ブラックスワン(という事象)」に関してというよりは、「ブラックスワンを発見するに至るまでのアプローチ」について書かれているため、経営学を学ぶ大学生・院生や研究者向けの本と言えそうだが、一般のビジネスマンには役立たないかといえばそうではない。
むしろ筆者は「ビジネスに携わっている実務家が、普段あまり意識することのない調査方法について、改めて考えるきっかけを提供したかった」と述べている。
最終章において述べられているのが、学術と実務の違いについて。
学術の使命は、真理の探究と学界における新しさの発見であり、論文が1つのゴールであるのに対して、実務は実践によって効果を上げること、あるいは問題解決がゴールである。その違いを意識し、「こだわるべき部分」と「わりきってよい部分」を区別しつつ、事例研究の知的作法を学んでほしいということである。
どのような事例に対して、どのような研究アプローチを行ったのかを書き出して、今一度個人的に整理してみようと思う。
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ブラック・スワン=ヨーロッパで「ありえない」ことの象徴。この本ではマネジメントの「アカデミー賞」受賞作品を事例に、事例研究の中で「ブラックスワン」を見つけるための方法を示唆。統計学と事例研究の違い、事例研究が持つ有用性について言及。事例として取り上げられているそれぞれの論文はいずれもわかりやすく、初級の入門書ともいえそう。事例を研究することは大事だけど、そこから「ブラックスワン」を見つけ出すための読解力、仮説立案の力が必要なのは当然であり、自分にそこが足りないのは痛いところ。
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日本ではあまり盛んでない事例研究の本。ありえない事象「ブラックスワン」から既存のルールをくつがえすビジネスの在り方を発見する道を説く。日本企業も欧米礼賛や懐古主義にひたるくらいなら、ブラックスワンを発見することを必死に頑張ってみるべきだ感じる。
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名著「ブラックスワン」の中で著者のN・タレブは、予測できなかったにも関わらず、いったん発生すると「後づけ」で「それらしい説明」がなされるため、予測可能だったと思ってしまう事象を「ブラックスワン」と名付けた。そのブラックスワンが“予測”できる可能性を「事例研究」の手法に求め、経営学界の優秀論文を題材に、実務にも応用できる要点を解説した一冊。
数値データから相関関係を分析する統計学的手法と異なり、「コンテキスト」(脈絡や状況)や仮説思考といった定性的要素を重視しつつ、様々なバイアスを排除することで客観性を高めた事例研究では、仮説を逸脱した事例を排除することなく、さらに異なる視点からの分析を重ねることにより、“それまでの常識では計り知れなかった新たな因果関係のメカニズム”(=ブラックスワン)を明らかにすることができる。
デジタル技術の力で膨大なデータから相関関係さえ抽出できれば、仮説も因果関係も必要なし、という「ビッグデータ」のような手法とは対極に位置する「アナログな」やり方ではあるが、人知の限界への挑戦という意味では、事例研究も統計学同様、進化し続けていることがわかる。「データサイエンティスト」の双璧として「コンテキストサイエンティスト」が出てきてもおかしくないのかもしれない。
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事例研究の効果、方法論、ノウハウを示しながら、最近の興味深い学説ストーリーを語る。カルト団体が予言が外れても存続する理由は認知的不協和にある、組織が脅威に直面したときにねじれ現象がおきる、など。
研究者向けには事例研究の方法論ですが、一般人には、ともに語られる様々なストーリーの面白さ、です。
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学術から1年遠ざかっているとこうも咀嚼感がないものかと感じた。決して内容が悪いのではなく、今の自分には響かなかった。
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• 事例研究(ケース・スタディ):まさか、ありえない→逸脱事例
• 普及(イノベーション、技術)⇔見えない壁
• 問題意識→仮説→往復運動
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ネタは面白いのだが、文章が何とも。
ちょいちょい教授のアピールが煩い。
内容よりもそれが鼻について記憶に残らなかった。
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めっぽう面白かった。
「世界の経営学者は〜」の方は、統計的手法が強調されていたが、
こちらは、実務家かつ研究者である私の立ち位置とマッチしている。
引用文献も広がりそう。
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『#ブラックスワンの経営学』
ほぼ日書評 Day325
「定説」を根本から覆すことができる "ブラックスワン" の発見、これを事例研究から紐解く経営学書…という触れ込み。
奇を衒いすぎることもない真摯な展開、著者の人柄も偲ばれる。が、はっきり言って詰まらない。
もちろん、本の価値は受け手との相対的なものであり、あくまでも個人的感想である。が、…
以下、主だった章の感想を。
多くの新興宗教で見られる現象…教祖の予言が外れた方が、信者の結束・信仰心が高まる。それは何故か?
★冒頭の章だけあって、なかなか面白い。
60年代のニューヨークで起きた殺人事件、被害者女性は35分に渡り大声で助けを求めたが、周囲の人間は誰ひとり警察に通報しなかった。
★現実世界の出来事と実験室における「再現」実験で、どれだけ再現性を高め仮説検証力を持つのかの問題提起は興味深い。
調査における「原型」バイアス。S.ジョブズが創造的な人物の象徴と信ずる人は、ジョブズの振る舞いや発言に近いことをする人をみて、その人も創造的と判断しがち。
★この辺から、当たり前じゃん感が強くなる。
80年代、マッキンゼーが提唱した「エクセレントカンパニー」の条件、その必要条件を備えたはずの企業群が一斉に業績悪化の坂を転げ落ちた。
★ま、そやろーなー。
M&Aで、人的資産を企業価値の大半に置くIT企業のような業態では、単に報酬面だけではなく、立地や就業環境まで保証しないと人的流出が避けられない
★あまりにも当たり前すぎて論点が正直よくわからなかった。
一番最後のKUMONにおける指導法の共通言語化の取り組みが、最も興味を惹かれた。
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「ブラックスワン」は全く関係なく、ただの(最優秀論文賞を受賞した)事例研究の偉大さを訴えるビジネス風自己啓発本。
事例研究は統計に劣るだなんて誰が言っているのか知らないが、
わざわざ『事例研究には3つの力がある「人間の知性を活発にする力」「複雑な現象に対応する力」「アナロジーベースで将来を切り開く力」だ!』みたいな恥ずかしいことを第1章から述べられるので、大抵の人はここで本書を読み進めるべきか判断できるだろう。
とりあげる事例研究も、その正当性を「最優秀論文賞を受賞したのですから、彼らの判断は正しかったと言えます」と自らの判断力すら捨て去り、引用や追試の調査さえもしていない。
案の定、家庭の経済性が大きな要因であったと注釈がつけられたマシュマロテストを「事例研究の成功例」と取り上げるところからして、単一の事例研究のみから結論を得ることの怖さを教えてくれる。
さらには、個々の事例研究から学べることとしては「現場で聞き出す」「綿密さと柔軟さを併せ持つ」「特定の調査協力者に頼らない」というように、高校生向けにしても恥ずかしい事しか述べられない。
"ブラックスワン"と"経営学"というタイトルに釣られてしまった自分を恥じるのみ。