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非常に刺激的。
いちいち発想と実験が奇抜で面白い。
日本の大学じゃ難しい実験もあるだろうな。
本文の内容をうっかり読み間違えると,怒り狂うゴリゴリのフェミニストとか一部の熱狂的な宗教家はいそうだ。実際に,本書で書かれている実験や研究を進めていく上では,そうした人たちからの根強い反対意見などはあったろうな,と想像する。
進化心理学とは言っても,手法は実験社会心理学だ。今まで,進化心理学って興味はあるし,面白いなと思っていたけれども,その方法論がよくわからなかった。この本を読んで,進化論的な観点から考察しさえすれば,それはそれで進化心理学と言えるのかな?と少し疑問も残った。
翻訳も良くて,とても読みやすい。参考文献が全部付いているのもいい。ただ,原注も付録で付いているが,本文中には該当箇所が参照されていないので,もったいない。
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米国の進化心理学の草分けによる、素人にもわかりやすい解説書。
煎じつめれば、一見不合理に見える人々の行動は、遺伝子保存の観点から見ると合理的。地球上の最高等動物であるはずの人類であっても、遺伝子保存の本能からは逃れられない。というもの。
「利己的な遺伝子」を思い出す。
著者の主張はわかりやすいが、「進化心理学」がどういう学問であるかはよくわからなかった。そういう学問なのかもしれないが。
訳者によるあとがきは、やや上から目線ではあるが、優れた要約。エッセンスを知りたければ、あとがきだけで十分。残りは与太話ということか。
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なかなか面白い。聞いたことあるような話も多いけれど、著者がアウトサイダーな出目であっての語り口と、山形訳の気安さがマッチ。
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人間心理が、合理的な経済人、あるいは単純なヒューリスティックの固まりで出来ているのではなく、進化に置ける合理的な理由で説明できるとする。特に子孫を残すということに焦点をあて、フロイトの再構築的な要素もある。
例えば囚人のジレンマも単なるジレンマではなく、もし囚人同士が親族であれば、効用は共有でき協調戦略をとるのが解となりうる。
信仰は、基本的には個人の持つ交配原理の感覚が開放的な否かで決まり、宗教が保守性を促進する訳ではないという因果関係を従来と逆に向けている。この裏付けとしては、10代後半で宗教を去り、家族を持ってまた戻ってくるケースが多いことである。
芸術などの交渉とされる営みも目立つことで交配可能性を高めることにあるとしている。
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山形浩生の解説10ページくらいを読めば内容は把握できるが、特に宗教と生殖の無理矢理な理屈付けは面白かった。
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意識について何冊かまとめて読んだときに気になって
いた「性」についての本を集中的に読むことにした。
その一冊目がこの本である。
「野蛮」「セックス」「殺人」とずいぶん刺激的な
タイトルではあるが、書いてあることはごくごく当たり
前のことだけだと思ったのは、前に意識についての本を
読んでいたせいだろうか。内容を知りたいだけならば
訳者あとがきを読めば事足りること。実験の手順や結果
についての詳細な記述が全くないことなどから、軽い
読み物だと思って気軽に読むのが吉かと。
結局子供を作らずに終わってしまうだろう我が人生の
意味についてちょっとだけ考えてみようかなと思い、
正しい答えを得るためには正しい問いを立てなければ
ならないということを改めて思った、そんな本でした。
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生物学の知識がないからか、なんでもかんでも生殖戦略で説明されるのは因果の向きがごちゃごちゃしてる感じがする。人間の場合、やはり「その社会がそうなっているから」性差のバイアスがあるんじゃないの?
で、この疑問への解答は第12章 力学系理論と社会のジオメトリーの以下に集約されてて、えっと進化生物学的な生殖戦略どこ行った?
「集団に帰属している人が下す意思決定は、周囲の人々の行動を促す原因になると同時に、周囲の人々の行動に反応した結果でもあるだろう。時間の経過とともに、人々のあいだで取り交わされるこうした相互作用は自己組織化され、その集団はある特定の方向へと進むようになる。」
やはり認知神経学、認知心理学の本を読もうと思った。
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俗っぽいテーマで進化心理学の研究結果を自伝混じりで面白おかしく書いている本。
「訳者あとがき」でいいまとめをしているので、そこだけ読んだらざっと概要分かる。
・コントラスト効果
・外集団均質化
・男が若い女性を好む傾向
・女が社会的地位の高い男を好む傾向
・古典的経済学と行動経済学、進化心理学の関係
など、何となく自分では感じているけれど、自分だけの感覚ではなく人類の傾向として紹介されている。
ただ、あくまで傾向の仮説とそれっぽい実験結果から述べているのであり、個人個人には全然当てはまらない。
進化心理学全般は鵜呑みにしないことが大切だと思う。
マズローの欲求ピラミッドを置き換えた新しい欲求ピラミッドは、俗っぽくて面白い。
高尚な自己実現、綺麗事を言っている人は最終的には繁殖可能性を高めていると思うと、見る目がちょっと変わる。
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原書は軽く目を通していた。「翻訳出そうだ」と書いてたら山形先生が訳すとは。
社会心理学はかつで「ミニ理論」でばらばらの細かい知見の寄せ集めだったけど、進化っていう観点を獲得することで大きな話ができるようになった、みたいな説明があってなるほど。
全体にベビーブーマーのこの世代の成功者特有の楽観的なところとか性的な自慢話みたいなのとか自省が足りない感じのところとか、「浅い」感じがするのがちょっと気になる。
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人間関係や性に関して著者が進化心理学の観点から紐解いた本。
生物学によくある「生物は自分の遺伝子を広める」ということが本書を通してざっくり書いてある。
E.O.ウィルソンなど権威ある方々と実験をしていたことは個人的に感動。
実験に関しては規模が小さく偏りもあるため最後のあとがき通り本書が正しいとも限らない。
しかしマズローの5大欲求に変わる新しいピラミッドなど読んでみたら納得させられるものがある。
男女共の生活に「そう言う現象あるかも」というのを本書で取り扱っており、特に女性という感情的な生き物がなんとなく分かるような気もした。
読んでいて楽しかったので個人的におすすめ。
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進化心理学を学ぶ学生さんにお薦めしていただいた本。興味深い。
・男は、女性の容姿を見るが、女は男の地位を見る。
・男性の暴力は、集団の中の地位を維持しようとする行動である。
・他人種だと普通の顔はなかなか見分けられないか怒った顔は厳密に見分けられる。
・妊娠すると、自衛のために排他的になり、食べ物の思考も変わる。
・どんな文化でも男は年下の女を求め、女性は年上の男を求める。
・集団への同調性は、男だと、事前にどんな精神状態にあるかで変わる。