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この作家は、初めて読むがクズを描くのが秀逸な気がした。
ただ、文章がダラダラと説明的な所が自分とは合わなかったかもしれない。
でも、決して、読みにくいわけではない。
いまいち、よく分からない作品であるが、こういう暗い青春というのは、少し分かる気がする。
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長編小説だが、大まかな流れは短編小説と変わらない。初めは職場で(表面上)良い関係を築くものの、自身の駄々っ子根性や空気の読めなさによって最後には関係が破綻する。短編でも様々な破綻が描かれているが、破綻したあたりでぷつりと話が終わるのに対して、今作は破綻後の身悶えるような苦しみも描かれている。ショックを受けた後の、思考停止したい気持ち、泣きたくなるような気持ち、自身のプライドを落ち着けようとする様、そうした中で何か熱中できるものを見つけた時それに没頭してしまう様、どれも共感を覚える。
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初の長編らしい。
19歳の貫多が20歳目前として、自堕落な生活をやり直そうと一念発起し、横浜に移り住み、以前よりもまともな労働環境の中で恋をする話し。
内容はほぼ同じですが、エンターテイメント性としてはやっぱり「蠕動で渉れ、汚泥の川を」の方が巻き起こる事件もテンポよく、痛快なスピード感があると思います。
本作はエンタメ性というより、純文学らしいというか芥川賞っぽいというか、自身の不遇さや上手くいかない人生を田中栄光との出会いによって救いを求める、内省的な喪失感と虚しさのある青春文学だと思います。
圧倒的に貫多の行いに問題があるんだけど
常識人たる世間一般の人たちの無遠慮さや、共感性と常識的価値観を盾にした暴力性に関しては一切触れず、自身の異常性だけを非難したように語るのが、謙虚にみえてやっぱり嫌いになれない。