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「縄文・弥生 日本人の本当のルーツは
どっちだ!?」と刺激的な帯に惹かれて、久しぶりに縄文時代について勉強しようと思い購入。
これまで、縄文人・縄文時代は原始的で未開なものとして描かれることが多い時代ですが、この本を読めば縄文人・縄文時代人はそんな人たちではなく、もっと賢く生きていた人たちだったということがわかるでしょう。
しかし、考古学的な用語や、発掘現場での出土状況の話などが多いような気がします。広く多くの人に読んでもらう新書の形にふさわしい内容ではない気もしました。
どちらかというと、同じ著者の『縄文の生活誌』という本が縄文の暮らしを分かりやすく(イメージしやすく)書いていると思います。
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この本の著者は、かの「縄文の生活誌」(講談社日本の歴史シリーズ)、名著であると同時にとんでもない悪書であったあの本の著者である。
名著と言ったのは、当時の縄文人の生活を学者の視点から「物語」として再現して見せ、縄文人がいかに物質的にも精神的にも豊かな生活をしていたのか、きちんと見せたこと。
悪書だと言ったのは、かの旧石器捏造事件の当事者を学会的に評価していた人物の1人であり、(のちに訂正版と反省文を載せた本を出したとは言え)この本でも肯定的に取り扱ったこと。
昔のことをわざわざほじくり返すのは、そんな人物が引退してエッセイ的に書いた縄文解説書だからといって、この本を評価しないということではないと言いたかったからである。しかし本当は、もっといろんな人が「わかりやすい」解説普及書を出して欲しいという気持ちがある。
「わかりやすい」縄文解説書がもっと定期的に考古学には必要なのだ。なぜならば、弥生も縄文も、年々教科書が塗り替えられるぐらいの進歩を日々しているからである。
面白かった処を以下にメモする。
●縄文里山の立地は考えられた上での決定。現代まで続いた村が多い。立地(日当たり、風、川、湧き水、災害)、採取植物(クリ、ウルシ、等々)、鉱物(アスファルト、水銀朱)などを検討。
●焼失竪穴建物の原因。多くは「送りの儀礼を伴った焼却解体処分」であり、不慮の失火や焼き討ちは少ない。
●子どもは多く死んだが、そのあとは20歳から次第と死亡が増え、40-50歳代では15歳まで生きた大人の約半分が死亡。但し、60歳以上も男で3%、女性は9%が生きながらえていた(1000体対象)。長岡朋人氏は、岩手貝鳥貝塚や千葉県祗園原貝塚の九遺跡89体を調査、65歳以上が32.5%もいた。
●土偶は「シャーマンの形をカミ・精霊のイメージ含めて女神像として作り、それに受胎・安産、子の成長、厄払い・家内安全などの集落全体や家族・女性の願いを込めて作ったもの」「そして、使用に耐えなくなった土偶を、周辺集落の人々が拠点集落に持ち帰って「送り」や祭祀を行った」と岡村道雄氏は述べている。←私は否定も肯定もしない。
●のちに男女対になって出てくる木偶の「オシラサマ」は、土偶祭祀に通じるのではないか。
●早期後葉に定住集落が出来ると、注ぎ口土器や砥石、早期前半の函館市中野B遺跡の土坑墓からは石皿、磨石、石きり、敲き石、磨製石斧、石匙が出土。ベンガラも振りまかれるようになった。実用的な道具があるのは、来世が信じられていたのか。
2015年2月19日読了
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第1章 数百年から千年以上も続いた縄文集落
第2章 海・山の幸と自然物の利用
第3章 定住を支えた手作り生産と物の流通
第4章 縄文人の心と祈り
第5章 墓・埋葬とゴミ捨て場・「送り場」
第6章 縄文的生活文化の終わり
著者:岡村道雄(1948-、上越市、考古学者)
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【由来】
・図書館の新書アラート
【期待したもの】
・「縄文」だから、例えば梅原猛の人類哲学辺りとの関連で資するところがあるかと。
【ノート】
・ちょっと学のある素人が飲み屋で明確な根拠の薄い自説を自慢気に披露しているという印象。縄文時代に興味を持って読み始めただけに、時間のムダとなった感が強く、残念。
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クリは日当たりのいい大地に適した樹木で、低湿地に発見されたものは人間が育てていたことを意味する。
4・5章は読み飛ばし。