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紙の本
大奥での試練をどのように克服するか
2014/10/26 21:26
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ドン・キホーテ - この投稿者のレビュー一覧を見る
大奥に仕える役人の頭である御広敷用人シリーズである。早くも六作目となる。主人公は御広敷用人である水城聡四郎である。水城は以前、御広敷用人の前に勘定吟味役として活躍したシリーズがあった。役替わりで再登場とは上田のシリーズとしては珍しい。毎回毎回せっかく作った舞台装置を壊すのはもったいないというわけであろうか。
大奥は将軍御台の全般を承る役所である。しかし、本書では将軍吉宗に正室はいない。ということは大奥の主人は不在という異常事態である。そのために、大奥では六代将軍家宣の正室天英院と七代将軍家綱の生母、月光院の暗闘となっていた。
ここにさらに吉宗の愛妾である竹姫が加わり、江戸城内外で暗殺未遂事件が数回起きている。暗殺の対象は御広敷用人である水城聡四郎である。主人公がそう簡単に暗殺されてしまっては話にならないので、水城は相当の使い手ということになっている。
登城、下城の際に伊賀者に襲われることもしばしばである。伊賀者は上田の小説でよく登場するが、言わば身分の低い幕府の使用人である。旗本、御家人の格を得ようと必死で働くが、なかなか望み通りにはならない。将軍の後継争いや派閥の暗闘など、闇で活躍するわけであるが、他の武士とは比較にならない高度な身体的な能力を身に付けている割には評価されていない。
上田はこの伊賀者の置かれた厳しい境遇に光を当てることが多いようだ。一方で、若年寄、老中や大老などのいわゆる官僚の地位とその能力には重きを置いていないように読める。主人公の水城はこれからその幕閣の地位に登ろうとしている若手の官僚である。
御広敷用人は大奥に仕える官僚である。この用人が大奥での暗闘をどうさばくかで今後の地位が決まってこよう。上田の作品の中で、役替わりで再登場するのはこの水城しかいない。大河ドラマのように水城を江戸城での出世物語の主人公にするのも今までなかったことなので面白いかもしれない。
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