投稿元:
レビューを見る
タニス・リーにしては大変読みやすい短編集。シリーズ物語の3冊目なのですが、これ1冊でも違和感なく読めます。タニス・リー初心者にも是非。
ファンタジーや幻想譚の、自由自在縦横無尽、なことを味わえる素晴らしい短編集でした。事象に対してなぜそうなのか、という説明を必要としない芳醇な世界観の語りが素晴らしい。ファンタジーとはそうあってほしい。
わたしのイチオシは「世界の内にて失われ」です。なんてなんてなんて幸せな死かと。羨ましいほど。
投稿元:
レビューを見る
『パラディスの秘録』シリーズ第3巻。
『死』をテーマにした短篇を8本収録。そのせいか、生きている人間よりも死者の存在感が強い。また、民間伝承的なものから、モダンホラーっぽいものまで、作品の雰囲気には幅がありながら、『パラディス』という都市の存在が軸となり、それぞれの短篇がゆるやかに纏まっている。
ところで、シリーズの1、2巻は角川書店から刊行され、角川ホラー文庫にもなったらしい……が、90年代の話なので現在は品切れ。創元が3巻を出したということは、1、2巻も出してくれるのだろうか?(でも、次に出るのは4巻なんだよなぁ……)。
投稿元:
レビューを見る
容赦のない目と美しい言葉で物語る。パリに似た架空の街とその近郊で、仮面で鳥と化す女、芸術家として選ぶ女。人の目に映った事件はそのままではない。
投稿元:
レビューを見る
『銀色の恋人』以外にタニス・リーを読んだこと無かったので、彼女の代表作はスルーしてきたことになるんだろうな。こっちのジャンルが本家だよね?たぶん。あやしく、いやらしい感じがなんともいい味出していました。女性主人公の章のほうが読みやすいのは私が女だからか。『硝子の短剣』『月は仮面』とかね。主人公が、いそうなんだよね。現代にも。周りからは真面目で暗くて面白みがないって思われてて、でも個性的で。うん、タニス・リーの描くヒロインは、私結構好きです。あと、人間と動物や魔性の交わる姿が絶妙。都市が舞台なのもいい。
投稿元:
レビューを見る
ダークファンタジー。。。
常に暗い雰囲気を漂わせてくれてるので、
ホラーではないけど、ゾクゾクこわい。
投稿元:
レビューを見る
タニス・リーの創作した、パリをモデルとした都パラディスにまた戻って来れるとは思いませんでした。
死と妖美な退廃の香り漂うパラディスにあっては、この本に収められている8つの物語など、あるいは日常茶飯事なのかもしれません。
どの物語も、狂おしいほどの愛の末に、死を見出し、死に魅入られる物語だったと思います。しかもこの本で描かれる死とは美しいものでも醜いものでもなく、平凡なもの。そのような印象を受けました。(つまり、十人並みの容姿の相手に焦がれて身を滅ぼす者が多数ということ)
正直、この本を読み終わるのにだいぶ時間がかかってしまいました。
死を題材にした短編集だけあって、どこか陰鬱で重々しい冬の夜のような物語ばかりでした。そういう雰囲気がお好きな方には、とてもいい短編集だと思います。ある意味では、非常にタニス・リーらしい短編集ですね。
でも、いかんせん登場人物に感情移入しにくいところがあったりします。短編集だからある程度仕方ないのかも。
でも、パラディスの墓地の様子がよくわかるのは、とても面白かったです。
個人的には、どのお話にもそのお話なりの良さがあって、どれが一番とかは決められませんでした。
不思議な都パラディスの中でこそ許される物語。
やはり我々はリーの目を通して、パラディスを視ているのかもしれません。
このシリーズを読むたびに、そう思わずにはいられません。
この都に住みたくはないけど、この都の存在を忘れないようにしたい。
読んでいると、そんなことを考える短編集です。
投稿元:
レビューを見る
幻想の都パラディスを舞台に、死をテーマにした短編集。ひっそりとした死の影には、激しいほどの情熱や愛が隠されている。その死と生の、そして動と静のイメージの対比が印象的だった。
投稿元:
レビューを見る
短編集。〈パラディスの秘録〉四部作の三作目らしい。
ホラー、ファンタジー、ミステリ、恋愛が混ざり合い、ジャンルの分類が難しい不思議な作品集。
「鼬の花嫁」はホワイダニットもののミステリとして読めるし、「世界の内にて失われ」はコナン・ドイルの名作のオマージュだとしたらSFだし。
全体的に好きな雰囲気。
特に「月は仮面」がダークファンタジーとして素晴らしい。主人公が空を飛ぶ描写が美しい。傑作です。