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明治維新後に、岩倉具視・三条実美の2人の公家が東京への遷都に関して意見が分かれ、岩倉が消極、三条が積極というのは意外で興味深い。「京都を失っても構わない」とは三条の言葉。明治12年に華族に対して天皇から肖像写真の提出命令があり、それが今に残る。当時の公家の生活を彷彿とさせるが、そもそも写真を通して天皇が彼らを覚えようとしたのだと思うと現代にも通じて微笑ましい。武家よりも公家華族が貧しく従来通り質素な生活をしていた、とは皮肉であり、明治12年の久世家の盗難届の内容が残っており、金目のものがなく、泥棒にも当て外れだった!?とは淋しい笑い話。そんな中での閑院家・西園寺流の梅園家の女性・親子をめぐる不祥事はあまりにもドロドロし過ぎて壮絶としか言いようがない。明治から時代を重ね、京都華族の役割が貴族院議員のみとなり、それが今では文化伝統の保存に変化していったことは当然であり、それでこそ華族とされた方々の貴重な使命なのだと思う。
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前近代を研究している者にとっては、ここに挙げられているスキャンダルは、本来スキャンダルではありません。
ところが、近代になって制度が変わり、西洋式の規範が
求められると、旧時代の人間はついていけません。
近代以降の視点で見ると、すごい話になります。
それに京都の華族は経済的に苦しい。
おもしろかったです。
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京都に残った公家たち 華族の近代
刑部芳則
(株)吉川弘文館
ニ〇一四年(平成ニ十六)九月一日 第一刷発行
ISBN978-4-642-05785-1
京都公家華族とはなにか―プロローグ
公家華族のイメージ/華族とはなにか/大久保利謙の華族評/藤原氏の系統/天皇家の系統/なぜ京都公家華族なのか―華族研究の空白地帯
京都に残る公家華族
京都外出に対する賛否両論
王政復古による公家秩序の変化/戊辰戦争に出撃する公家/公家たちの仕事/大阪親征行幸/東京遷都ではなく東京奠都/明治天皇の東幸/京都を失ってもかまわない
時勢の変化と特権の喪失
天皇の再幸/華族の誕生/文武百官の廃止/天皇の後を追う皇后/今のうちに会っておきたい/家職を失う公家
京都公家華族の存在
天皇との再会/海外に留学せよ/京都に残った公家華族/京都に戻った公家華族/先祖との別れ
四民の上に立つ道程
華族会分局の講演会
集会所の設置/京都華族会館分局/華族会館分局への行幸と西南戦争/講習所の中堅華族/京都公家華族の写真撮影/
三密堂書店にて古書購入
〒600-8033 京都府京都市下京区恵美須之町541
http://www.yoshikawa-k.co.jp/smp/book/b181455.html